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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編
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エルリンちゃんは可愛いエルフ

 

 家に帰還。

 今日の晩御飯何かなー。

 あっ、エルリンちゃんが実家の前に居る。

 エルリンちゃんとは私の幼馴染の女の子なのだっ。

 エルフの女の子で、年は私の一つ下。ちょっと口が悪いけれど、可愛い幼馴染なのだ。

 ピンと長い耳をはむはむしたい今日この頃……


「よお地味クソ眼鏡野郎、今日もシケた面してんな」

「やぁエルリンちゃん、なんか用事?」


「あぁ、晩御飯のお裾分けだ。ありがたく戴けクソ野郎」

「ありがとー」


「はっ? 近付くんじゃねぇよ。マジきめえな!」

「じゃあまたねー」


 ギロッと睨んで、エルリンちゃんはズンズンと隣の家に入って行った。

 エルリンちゃんのお蔭で学院で何を言われても大丈夫になったんだよね。感謝しているぞっ。

 地味眼鏡のルナードが心底嫌いらしく、ストレートにボロクソに言われる。

 でもでも可愛い所があるんだよ。

 眼鏡を取って……


「エルリーン」

「あっ! ルナードさまぁっ!」


 バンッ! と扉を開けて抱きついて来たエルフの女の子。

 さっきのエルリンちゃんと同一人物だ。

 私にすりすりして、至近距離で私の顔を見て赤面しながら唇を近付けてきたので、人差し指を立てて防いだ。


「良い子にしていたかい?」

「はぁいっ! ルナード様の為に身体を綺麗に洗っておきましたよっ! 早く抱いてくださぁい!」


「こらっ、まだ私達は子供じゃないか」

「んもうっ! 子供だとか関係無いですよぅ! チューしてくださいぃ!」


「だーめ」

 スチャっと眼鏡を掛けて地味モードに変化すると、一瞬で離れ睨み付けて来た。


「てめえ私に近付くなって言ったよなぁ? 消えろクソ眼鏡!」

「また明日ねー」


「はははっ、挨拶なんてする訳ねえだろカスがぁっ!」


 こんな感じで人格が変わる。

 スイッチが私の眼鏡という変わったエルフだけれど、これが日常だから違和感なんて無い。

 ただ、王都で会いたくないナンバーワンのエルフなのは確かだ。

 最近知ったんだけれど居るんだよ、魔法学校にさ。そして今度行くんだよ……クルルとして。嫌な予感しか無い。



「ねぇねぇルクナー、何か良い事あった?」

「んー? 無いよー。あっ、これ作ったんだー」


「猫さんっ! えーっ、私も作るー。一緒に作ろうー」


 ──ウーッ! ウーッ! ウーッ!

「警報鳴っているじゃん。行かないの?」

「晩御飯作っているから、お父さんと行って来てー」


「はいはい、お父さーん」

「あぁ行くかぁ……ふぁぁ」


「寝不足?」

「あぁ、まぁな。えーっと……今日は東か」


 父の背に乗り、家を出るとエルリンちゃんが窓からこっちを見ていた。

 眼鏡を取って投げキッスをすると、くねくねしてハートがあちらこちらに飛んでいる。今日も可愛いね。


「ルナードさまぁー! 今度私も連れてってくださーい!」

「今度ねー」


 エルリンちゃんのお見送りを、父は微妙な顔で見ていた。

 普段と変わりようが凄いからね。


「……エルリンちゃん、ルクナにベタ惚れだな」

「羨ましいでしょー」


「どうするんだ? 女の子だろ?」

「エルリンちゃんが女の子でも良いよって言ってくれたら、結婚するかなー」


「えっ……」

「私の男嫌いは治るか解らないし、惚れてくれる人ってエルリンちゃんくらいじゃない?」


「いやぁ……もっと居ると思うぞ。ルクナ可愛いから」

「うーん……居ないね」


 この国は女同士でも結婚は出来る。だから男嫌いが治らなかったら女子と結婚しても良いかなーなんて思っている。

 思春期になったらどうなるか解らないけれどね。

 だから今の所、エルリンちゃんが私のお嫁さんになる可能性が高い。可愛いし、エルフだし、私にベタ惚れだし。

 魔物の氾濫場所は直ぐに着いた。


「おっと、今回はオーガの群れか。ルクナ、よろしく」


 はいはーい、どうしようかなー。

 黄色い魔法陣を前方に展開。

 右手に黒い魔法陣、左手に赤い魔法陣を展開し……一つに合わせる。


「広大な大地に開いた闇の門より溢れる黒き炎、大地を溶かし、生命を根絶やす災害は、地の果てをも溶かし尽くす。魔法合成・獄炎大地」


 魔法陣が輝き、地面から黒い炎が溢れ……走ってくるオーガの群れを次々に飲み込んでいく。

 断末魔の叫びを聞きながら、魔法の範囲を奥へ奥へ……やがて、眼下に広がる光景は、黒焦げになった大きな人型の群れ……今日も良い感じに虐殺した。


「うん、良くやったな。ルクナが頑張ってくれるから、お父さんとお母さんは嬉しいよ」

「エリスタ領の内は頑張るよー」


「ははっ、そうだな。あと二年もすればブルース家がこの土地を貰ってくれる」

「ブルース家って良い家なの?」


「いや、感じは悪いからルクナは会わない方が良いかな」

「ふーん、じゃあ私はもうすぐ平民だね。じゃあさ、出来るだけ迷宮攻略しても良い?」


 エリスタ領じゃなくなるなら、今の内に迷宮を攻略してお宝や迷宮の核を手に入れたい。

 どうせどんどん迷宮は増えるし、大きな迷宮の核で強くなりたいし。

 お金欲しいし。


「そうだなー。ルクナの特訓も迷宮攻略メインにしていくかぁ」

「やった。一週間に一つは攻略したいねっ」


 一週間に一つなんて普通じゃ考えられない。普通なら年単位だから。

 まぁエリスタ一族だし、多分イケるでしょ。



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