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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編
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ふむ……父と副学院長は仲良しだったんだね

 


「失礼しまーす。副学院長って……あっ、終わりました」


 職員室に入って、奥にクベリアさんを発見。

 担任のヘクトルさんに会釈して、クベリアさんに近付いた。


「お疲れ様、どうだった?」


「セイランって子に睨まれただけで、後はみんな優しかったです!」

「それだとセイランちゃんが優しくないみたいじゃない。まぁあそこの家は法の管理をしているから仕方が無いのだけれど……これ学生証ね」


 一年零組クルルと書かれた学生証……と言う事は、クベリアさんにもバレているのね。そう、ごめん母よ。

 鞄に仕舞って、明日から使おう。

 担任とか知っているのかな? 首を横に振ったから知らないみたい……良かった。


「ヘクトル、ルナード君はエリスタから通っているから遅刻は大目に見てあげてねー」

「……あの、冗談じゃなくて本当にエリスタから通っているんですか?」


「ええ、リードの馬鹿もエリスタから通っていて、遅刻常習犯だったわ。息子にも通わせるなんてあの男ならやりかねないし」

「ははは……噂には聞いていましたが、流石はエリスタ一族ですね」


「そういう事だから、オレイドスのお嬢さんはよろしくー」

「はぁ……気が重いです。でも、父からエリスタの事は聞いています。エリスタ一族の担任というだけで光栄ですよ」


 問題児ってやつかな? まぁ担任は学院なら何とかしてくれそうだし、セイランに絡まれても勝てるから別に良いか。

 でも、オレイドス家なんだよなぁ……オレイドス家が作った法律で、爺ちゃんは苦労したみたい。

 一つの法律で、エリスタ家は苦しめられた。現に今も……

 だから結構オレイドス家を恨んでいたらしい。

 父は、オレイドスを嫌いにならないでって言っていたけれど、いや。


「あっ、リベッカには何も言われていない? リベッカ・ラミアライ」

「いえ、そもそも顔と名前が一致しないのでセイランの仲間なら言われているかもしれません」


「まぁ……そうよね。リベッカは私の姪っ子なの。機会があれば仲良く……出来たらしてね」

「この顔で仲良く出来るなら今頃遅刻野郎なんて言われないですよね。じゃあ、暗くなるので帰ります。さようなら」


「……うん、また明日」


 職員室を出て、出入口に向かい、そのまま出て駆け足で王都の門まで向かう。

 王都を散策したいけれど、通学に慣れてからかな……大通りを真っ直ぐ進んで大きな門へと到着。衛兵さんに学生証を提示して王都の外に出た。


「さぁ、帰るかぁ」

 身体に魔力を通して、速度強化の魔法を付与。軽く準備体操をして、実家に向かった。


 ……

 ……学院初日、散々だったな。

 ……友達、出来るかな。

 ……欲しいな。

 ……なんとか、暗くなる前に帰れたけれど、疲れたよ。


「ルクナ、おかえりなさい」

「ただいまー!」


 家に帰ると、母が待っていたので抱き付いて今日の出来事を話した。

 ステラちゃんのくだりで眉間にシワが……


「あの女には気をつけなさい」

「えっ、でもよくしてくれたし……お母さん?」


「……ちょっと、用事が出来たわ。あなた、少し空けるわね」

「あ、あぁ……」


 母が家から出て行き、父と二人きりになった。

 父は微妙な顔で母を見送り、ため息を吐いて私の頭を撫でようとしたので一歩下がって回避。

 寂しそうな表情をされたけれど私はまだ学院に通わされた事に怒っているんだ。

 一応表情には出さないようにして、聞きたい事を聞こう。


「あっ、お父さん」

「……どうした?」


「クベリアさんとは仲良かったの?」

「……クベリア? 何処で会ったんだ?」


「学院。副学院長だから……お父さん?」

「まじ……副学院長? あいつが?」


「昔の恋人?」

「げふっ、それは、無い、ぞ」


 怪しい。

 ジーッと見詰めると、視線を逸らした。

 怪しい……怪しい。


「じゃあ、明日クベリアさんに聞いてみる」

「ちょっ! 駄目、駄目だ! そっとしておいてくれ!」


「お母さんには内緒にするから、教えて?」


 キラキラとした瞳で父を見ると、気不味そうな顔を浮かべてソファーにどっかり座った。


「まぁ、なんだ。は、初恋の人だ」

「へぇー! へぇー! 初恋! チューしたの?」


「いや……して、ない」

「えー! していないのー? すごーく美人さんだったよ!」


「そう、昔から、美人だったよ」


 天井を見上げて、歯切れが悪い……母に聞かれたら不味い案件か? 知りたい……知りたいぞ。

 よし、ここは嫌だけれど父に抱き付いておねだりしよう。


「……」

「知りたーいなぁー」

「ぐっ……何処でそんな技を……」


「……」

「私とお父さんの……秘密だよ?」

「ルクナぁ、可愛いなぁ!」


「……」

「クベリアさんと、恋人だったの?」

「いや、片想いさ。あいつには婚約者が居たし……」


「……」

「今でも好きなの?」

「まぁ……少しは……」


「……あなた?」

「なっ! もう帰って……」

 ここで母が登場。というか知りたーいなぁーのくだりから後ろに居た。

 父の額に脂汗を確認し、ササっと離れて母の影に隠れた。

 浮気だ浮気だー。いけなーいんだー。


「誰の事が、好きだって?」

「い、いや……昔の話をしていただけ、だよ」


「昔? へぇー、私も気になるわねぇ。もちろん、聞かせてくれるわよね? 昔の事なら」

「うぐぅ……」


「お母さん、今日ね、お父さんの初恋の人に会ったの!」

「ルクナぁぁぁ」

「へぇー……初恋……あれ? 初恋は私って、言っていたような……」


 私を一人で王都に行かせた仕返しだよ。

 身を以って罪を償うが良い! はっはっはっはー!

 母は嫉妬深いからね。

 まして自分の知らない恋とか……母は他国の出身だから、尚更かな。



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