葉っぱをちぎる話
湿気の強い雨上がりの公園。
街路樹から雫がこぼれる。
ふと気になる。
気になり出すと、視線が吸い寄せられる。
足が自然と前に出る。
葉っぱの長さは人差し指ほど。
ツヤのある深緑の表皮、黄色い葉脈。
スリムなボディ、先端が尖り、カールを巻いている。
生命あふれる鋭い葉、自然と右手が伸びていく。
葉っぱの付け根をつまむ。親指と人差し指。
人差し指の爪を立てる。
そのまま引っ張る。
人の体重、爪の表面積の小ささ、付け根の柔らかさ。
引きちぎれない、道理はない。
ブチッ♪
硬くて弾力のある皮。スベスベする。
先端を少し弾く。ペコペコと歪めては、自然に戻るのを待つ。
一通り撫で回したら、隣の葉っぱが気になってしまった。
隣の葉っぱは、柔らかそうだ。優しい黄緑色の幅広い葉っぱ。
さっきのが金属片なら、こっちはコットンかな?
フワフワ感を期待しつつ、少し期待して右手を伸ばす。
付け根をつまみ、爪を立て、引っ張る。
プチッ♪
やっぱり。見た目通り木綿のように柔らかい。
表面から毛が生えているのか、フサフサしてて肌触りが良い。
一通り触り通すと、隣の葉っぱが気になり出す。
今度のは、さっきの2枚の中間だ。
深くはない緑、ツヤがないわけではない表皮、硬くも柔らかくもなさそうな見た目。
どっちつかずで半端な印象を受ける。
せっかくだからと、あまり期待せずに手を伸ばす。
ビシッ!!!!!
痛っ!?
なんと、葉っぱの、裏には、毛虫!
毛虫だ!
毛虫がいた!!
ヒリヒリする指を庇うようにして慌てて水道へ。
蛇口を捻って水を出し、右手の人差し指を洗い流す。
………
……
…
…
ふぅ。ひどい目にあった。
あんまり生命を粗末にするものじゃないね。反省しました。
慌てて家に帰り、毛虫に刺された時の対処法をググりましたとさ。