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小話01 ジュード

結局小話を書くことにしました。

主人公主観で書いているせいで抜けまくっている世界観を含めつつ、各キャラの紹介を兼ねて。


昨日とは打って変わって筆が進みやがる……orz

余力があれば、今日中にもう一話、小話を投下しようと思います。

 薬用植物研究所・研究員ジュード。

 彼はスランタニア王国でも屈指の商家の五男として生まれた。

 五男と言う、跡取りでもなく、跡取りの予備(スペア)でもない、あまり重要ではない位置に居た彼が、平民にもかかわらず、貴族が通う王立学園(アカデミー)に通えたのは、平民としては珍しく水属性の魔法が使えたからだ。


 王立学園は文学、算術、自然学等の基本的な学問に加えて、魔法について学ぶことが出来る。

 この世界に魔法はあるが、魔法を使える者は少ない。

 高位の貴族であれば、その血筋故に、大抵の者が使えるが、低位の貴族の中には使えない者もいる。

 平民においては、魔法が使える者はごく稀にしか存在しない。

 そのような訳で、平民で水属性魔法が使えるジュードは特待生として学園に通うこととなった。


 学園で魔法について勉強する傍ら、ジュードは自然学で学んだ薬学について、思いのほかのめり込んだ。

 最初は、卒業後に家業の手伝いをする際に役に立つかもしれない程度の気持ちで学んでいたのだが、様々な薬について学べば学ぶほど興味が湧いてきてしまったのだ。

 学園には十三歳から成人となる十五歳まで所属するのが一般的だが、専門分野を学ぶ者については十八歳まで所属することも可能だ。

 結局、ジュードは十八歳まで薬学を学び、卒業後は特に家業を継ぐ必要も無かったため、教師に進められるまま薬用植物研究所に就職した。


 王宮にある各種研究所は、非常に身元確認が厳しい。

 研究所の性質として国内最先端の技術を取り扱っているためだが、そのせいで研究員の殆どが貴族で構成されている。

 貴族と言うのは平民より高度な教育を受ける機会が多く、能力も高ければ、身元もしっかりしている者が多い。

 もちろん学園の特待生という、(ふるい)にかけられた後の、優秀な平民も研究員として働くことは可能だが、その数は少ない。

 そのような環境で、研究所の平民というのは、よほどその分野において秀でていない限り、肩身が狭いことが多い。

 幸い、ジュードが入った薬用植物研究所は、そのトップである所長があまり身分に拘らないせいか、貴賎の別なく、穏やかな職場であった。

 所属する研究員達も、研究にしか興味が無く、貴族としては変り種である人物が多かったというのもある。

 研究所が所有する薬草園が広大なため、王宮の端にあり、目くじらを立てる人間の目に入りにくいことも理由の一端であろう。


 そんな研究所にジュードが所属して二年目に、変わった女性が入ってきた。

 女性で研究員になる者は、とても少ない。

 ましてや、学園の卒業時期でもない時期に新しい研究員が入ること自体もほとんど無い。

 一見して貴族でもなさそうで、どういう理由で彼女が研究員となることができたのか、その時点で想像できる者はいなかった。

 それらだけでも珍しいが、彼女の外見もまた珍しいものであった。

 スランタニア王国で黒髪、黒目という色を持った人間は全くいないと言っていい程だ。

 遥か遠い異国の地には、そのような色彩の者達の国があるが、スランタニア王国にその国の者は、外交官でもなければ、いない。

 その女性は、セイと名乗った。


 研究所で、その女性に最初に会ったのはジュードだ。

 薬草園で、興味深そうに薬草を見て歩いている姿を見つけて、ジュードが声をかけたのだ。

 ジュードの周りには、花を好む女性は多かったが、薬草を好む女性は少なかった。

 王宮と言う場所柄、そこにいる者は貴族が多い。

 貴族の中には平民を見下している者もおり、下手に声をかけると、いらぬ騒動を生むこともある。

 ジュードの外見が整っていることもあり、過去に迂闊に声をかけたせいで、とある高位貴族のご夫人から愛人にならないかと迫られたこともある(その時は、最終的に所長に助けてもらった)。

 そういう理由もあり、普段であれば、ジュードが知らない人間に声をかけることはない。

 ただその時は、セイが着ているドレスから、たとえ貴族であったとしても、それ程高位の貴族ではなかろうと判断し、物珍しさから、つい声をかけた。

 話してみると、やはり貴族ではないように思えた。


 セイが興味を示したので、ジュードは周りの薬草について説明した。

 かなりマニアックな内容を話してしまったが、それでもセイは厭うことなく、興味深そうに話を聞いてくれた。

 ジュードにとって、こういう女性は研究員以外では初めてだった。

 彼女といる時間は楽しく、だからだろう、「また来てくださいね」と最後に言ってしまった。

 ジュードにとっては、つい口にしてしまった言葉で、まさかそれ以降、彼女が毎日来るようになるとは思わなかった。


 そういう経緯があり、研究所に入ってからと言うもの、セイはジュードとよく一緒にいるようになった。

 セイは薬草についてはそれなりの知識があったが、ポーション等を作る製薬についてはあまり詳しくなかった。

 それ故、ジュードを頼ることが多かったのだが、ジュードとて成人を超えた男性だ。

 女性に頼られて嬉しくない訳がない。

 嬉々として教えているうちに、彼女の方も打ち解けてきたのだろう、製薬以外の雑談をするようになった。

 話す内容は多岐に渡り、往々にして、彼女は碩学であった。

 にもかかわらず、一般常識として知っていて当たり前であろうことを知らないことがある。

 例えば、魔法についてだったり、王都の街並み、それも大通り等、王都に住む者であれば誰でも知っていそうなことをだ。

 そのちぐはぐさが奇妙で、いつだったか理由を聞いたことがある。

 けれど、セイは曖昧にはぐらかし教えてくれなかった。

 彼女曰く「ミステリアスな方が魅力的じゃない?」とのこと。

 然もありなん。

 余計に彼女のことが知りたくなり、ジュードはセイに惹かれていった。


 セイと一緒にいる時間が長いのはジュードだった。

 故に、彼女と最も親しかったのはジュードだった。

 それに胡坐をかいていた訳ではなかったが、最近強力なライバルができた。

 相手は高位貴族の子弟であり、王宮内でも確固たる地位をもっている。

 おまけに背も高く、外見までいい。

 相手が相手であり、向こうがセイに話しかけている時に、大っぴらに邪魔をすることはできない。

 いつまで彼女の一番でいられるか?

 最近のジュードはそれが不安で仕方が無い。


ジュード(20歳)

178cm 70kg 深緑の髪と瞳

商家(六男三女)の五男。兄弟唯一の魔法使い。

人懐っこそうな整った顔立ちと、魔法の才、実家が国内屈指の大商家であるため、縁を結びたい貴族のご令嬢は少なくない。

水属性魔法を使えることから、卒業後は家業の、主に運送を担当するだろうと周りから思われていたが、薬用植物研究所に入った。

父親が研究所所属を許可した理由は、もちろん後々のコネを作るため。

その思惑は功を奏し、最近は研究所内食堂に食材や調味料などを卸し、利益を上げている。

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