乱食髑髏
液状の神は豹変した。
無数の腕が部屋を行き交う。
部屋を水浸しにするつもりなのか。
「おじいさん!いきなりなんだよ!」
「どうしたんです急に!」
攻撃が速い。避けるのに精一杯だ。
そうこうしている間に床の水は私の首にまで達していた。
「何故です!?何故私達を殺さなければならないのです!?」
黙っているままだ。敢えて何も言わないのか。
「ああっ!離して!」
ミミィが捕まってしまった!
「痛い痛い!何で?この水痛い!」
神は大きく息を吸い部屋が沸騰し始めた。
紫の液が血のような色になる。
「うあああぁぁ!!熱い!!熱いぃぃ!!!」
絶叫と波音が共鳴する。
バタン!!
さっきのナメクジだ!騒ぎを聞きつけて来たのか。
彼は徐に体から大量の黒い紙を捻り出しそれを怪しげな本に投げつけた。
黒い紙は低い風の音をたてながら本に絡みつく。
「おのれ下郎め。神の懲役紙など使いおってぇぇ…」
液体がどんどん収縮していく。神の気配は無くなった。ミミィは解放された。
「ミミィ!大丈夫か!」
「何とか生きてるぅ。びしょびしょで火傷しちゃった」
「グルリュルルゥ!グルロロロ!」
「[本の場所を間違えた僕の過失だ。今日はもう閉店!]て言ってる。もう出よう」
くたくたになりながらも図書館を後にする。
外ではバロウが待っていた。
「なんだ。図書館にはプールもあるのか?」
「それが、殺されかけたんです。あの石像達がどんな姿をしていたか答えたら」
「あたい怖かった」
「収穫無し!」
「いやあるぜ。俺達はこの世界にいちゃいけねぇってことだろ。だったらそいつら探して元の場所に戻して貰う訳よ。連れて来れるなら返すこともできるんじゃねぇの?」
「一つ気になったのですけど、私は病で死んでここに来と思うのですが、ミミィは儀式中ということで死んだわけではないと推測してます。バロウさんは前世最後の記憶覚えてますか?」
「俺は家で酒飲んで寝てたってのメモしてある。そしたらこうなった」
謎は深まるばかり。
ヅアッガ。ケシレル。
ほとんど正体が攫めない。
私は負傷したミミィをおぶって宿に向かった。
「俺がおぶっても良かったんだぜ?」
「やだ。おじさん背中尖ってるじゃん」
「あっ。やべ。針になんか付いてる。」
ハグッ
バロウは肉片らしきものをそのまま食べた。
「もうおじさん!汚い!」
「バロウ。それ何の肉?」
「多分ラビダンテだろ。生肉の方が美味いんだよ。あとなぁ。俺の年齢はそんなにおじさんじゃないぞ。27だっつの。ブーケと同じくらいだ」
「あたいは16だよー」
「私は18ですが、バロウさんが思っていたより若くて驚きです。」
「俺からしたら皆結構年取ってるね。俺2歳だし」
「2歳で古代文字の解読や呪文の習得を?君はつくづくすごいな」
「えへへー」
コルテスはすごく嬉しそうだ
「ねぇ、コルテスはあとどれくらいで大人になるの?」
「俺は時間経過で成長するんじゃなくてどれだけいいものを食べるかで決まるんだ。20歳になってもチビのままってのも珍しくないよ。なるべく若くして大人になった方がモテるんだ」
「大人になったら乗せて欲しいな」
「いいよ。バロウは嫌だけど」
「なんだよ。俺とお前が組めば百人力じゃねぇか」
「龍の子供を鎖で繋げまくって終止鞭を叩いて騎乗してたでしょ?あんな扱い誰だって嫌だよ。それで牧場出禁になったし」
もしかして宿以外出禁なのかこの人?