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95 鬼蛙

 「おっはよーござーまーすっ!」


 「お! 来たか。親方には粗方話しはついちょる、細かい部分はたのむぞい」


 ここは馬装具やら馬車やら作ったり直したりする工房である。御者のじいちゃんが工房の親方に大まかな話しはしてくれていたらしく、後は俺がおおよそこんな感じって説明したのを親方が図面に起こす。


 「ははぁ、なるほどなぁ。このバネで衝撃を吸収するのか。そうだな…… うん、これなら何とか作れるだろう。ただし大急ぎでも三日くらいは掛かるぞ? 大丈夫か?」


 やっぱりサクッと出来るわけないか。馬車はどのみち貸し切りにしてるし構わないわな。


 「ええ、結構ですよ」


 「それとな、このゴムってのがよくわからんのだが」


 おろ? ゴムって無いのか。これはまいったな。ゴムタイヤが作れない。石油はともかく、探せばゴムの木っぽいのは有るかも知れんが、加工方法まではわからんしなぁ。


 「うんとですねぇ、加工素材でしてね、凄く伸縮性や弾力性があって衝撃吸収率もある素材なんですが」


 「フムフム…… だとすれば、そのゴムとは違うけどな、似たような代替品はあるな。モンスター素材になるんだが、鬼蛙ってモンスターだ」


 物騒な名前の蛙だよケロケロ。でもゴムが無いんじゃ仕方ない、狩りに行きますかね。


 親方の話によると王都から南東へしばらく進めば湿地帯があり、そこらで出没するとの事。


 「ここらが聞いた湿地帯だと思うんだが」


 「間違い無いでしょう」


 さっそくやって来た湿地帯。パッと見は草原にしか見えない。でも足元を見れば一目瞭然だな、ちくしょうビッチャビチャじゃないか。


 「うあ… 足が気持ち悪い…」


 チャイナドレスの麗人が心底嫌って顔している。


 「リンちゃんもリヴァイアさんも、向こうで休んでて良いですよ」


 水辺が好きなリヴァイアさんも、こういうのは遠慮したいようだ。文句こそ言わないが少し不愉快そうにビッチャビチャの足元を眺めている。


 「アハハハハハーッ!!」


 ビチャビチャビチャビチャビチャッ!!


 そんな中一人楽しそうに駆けずり回るショタっ子。本当、子供ってこういうの好きよな。泥まみれとかお構い無しだ。


 「テン、所々に深みも有ると言ってましたよ。はしゃぎ過ぎると危ないですよ」


 お姉ちゃんはやれやれ顔で注意を促すが、はーいと返事しながら駆けずり回るテンちゃん。

   

 ビチャビチャビチャビチャズボッ!!


 言ってる端から笑顔で駆けずり回るテンちゃんが視界から消えた!! 案の定深みにハマったみたいだ!!


 「ギャーッ! テンちゃーんっ!!」


 大慌てで救出する。幸いそれほどは深く無かった様で、簡単に引き上げられたが。

 全身泥まみれでビックリ顔のテンちゃん。しばらくポカンとしてたが……


 「アハハハハハーッ!!」


 楽しかったらしい…… 強い子……


 「テン、だから言ったでしょう」


 お説教しながらも水珠で洗ってあげてるリヴァイアさん。面倒見の良いお姉ちゃんだな。


 最近はきちんとお風呂に入れるから、利用して無かったリヴァイアさんの人間洗濯機。丸洗いオーケーな万能洗濯機でテンちゃんもピッカピカだ。


 「でもおかげで歩いて散策するのは結構危ないってのはわかった」


 「ではムサシ様が空から?」


 「そうだね、あとテンちゃん連れてくよ。遊び足りないでしょ」


 エヘヘ~と引っ付いてくるテンちゃん。喜んで貰えればなによりだ。


 「じゃあリヴァイアさん達はこの辺で休んでて下さい。休憩セット出すんで」


 [異次元ポケット]から取り出すのは、ソファーとテーブルと軽食と飲み物。それに日差し避けのパラソルだ。


 「よく考えたらコレなんて普通にビニールじゃないか? ゴムすらないのに?」


 パラソルを見てふと思った。もっとよく考えてみると、ゴムらしき物もあちこちで使用してる気がするんだが。


 「兄上、コレもモンスター素材だな。兄上のいた世界では違うのか?」


 「なるほどね。モンスター素材で賄えるから

そちらの加工技術なんかは中々発展しないのか。そもそも化石燃料があるかも怪しいしな」


 まったく詳しく無いのでよくわからんが、化石燃料って何億年も掛けて作られたとか聞いた様な聞かない様な。ネオピアの歴史って浅いから無いのかもなぁ… でもリアルに神様いるし、そこら辺何でも有りの可能性も… 

 うん、深く考えるのはやめよう。神のみぞ知るってもんだ。

 

 「じゃあちょっくら行ってきます」


 「「いってらっしゃい」」


 ソファーに並んで腰掛ける美人使い魔達に見送られ、鬼蛙探索に向かう。


 「[探知]! おっと、かなりの生き物がいるな。蛙さんはどれかな?」


 現状のギフトレベルだと昆虫くらいの大きさだと[探知]には掛からない。鬼蛙のサイズがよくわからんが、俺の知ってる蛙サイズだと[探知]に掛かるか微妙である。


 「比較的小さなモンスターをとりあえず狙うか」


 この間の修行で色々見分けがつく様になった[探知]、概要はこうである。


 赤 モンスター

 緑 獣類

 青 人

 黄 勇者


 恐ろしく便利になった。これに[神眼]もある俺は勇者バトルロイヤルで有利過ぎるだろう。でも俺が頑張った成果だ。ズルじゃないお。


 「よし、狙うはあのモンスター。泥に潜ってて上からじゃよくわからんけど」


 久しぶりにテンちゃんの武装で弓を引く。ギリギリと限界まで引き絞ると、


 「発射!」


 ぱひょーん


 明後日の方法に飛んで行った。


 「グハッ! 最近弓使ってなかったから鈍ってる!」


 「兄様、慌てないで感を取り戻しましょう」


 「うう、面目ない」


 蛙さんゲットの道は険しい様です。


 

読んでいただいてありがとうございます!

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