表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/336

80 電撃作戦

 剣を構えるシルヴェーヌには隙など微塵も感じられない。しかし俺達は動じない。俺も使い魔の三人もニヤニヤと余裕の薄ら笑いを浮かべる。


 「腕利きの用心棒に絶対的な自信が有る様だな。でも俺の敵じゃない。ほらこの通り」


 ズシュッ!!


 次の瞬間には俺のムーンライトがシルヴェーヌの心臓を貫いていた。まばたきすらも許さない瞬間劇に勇者シルヴェーヌはなんの抵抗も出来ずに光の粒子となって消えていった。


 「えっ!?」


 目の前で起きたシルヴェーヌの瞬殺にさすがのゴスタも目を丸くして驚愕している。


 「おい、のんびり突っ立ってていいのか? 自慢の用心棒は死んじまったぞ? それに後ろ見てみろよ、お前の身代わりも全滅だな」


 「な!!」


 ゴスタが振り返れば、既に奴隷の女性達はリヴァイアさんとテンちゃんにより皆殺しにされ血まみれで横たわっている。


 しゃらぁん


 副装状態のリンちゃんの額冠が響く。そして俺の後ろにはチャイナドレスの金髪ガールが伏し目がちに佇んでいる。


 「さて、用心棒は死んだ。身代わりも全滅した。お前のギフト程度じゃ俺達に敵うわけが無いことくらいはわかるだろ?」


 「クッ!」


 ギリギリと歯噛みするゴスタ。切り札のシルヴェーヌさんが呆気なく殺されたのは計算外だっただろう。


 「ちくしょうっ! 俺をなめんじゃねぇっ!」


 ガチリ!


 ゴスタがこめかみに銃を押し当て劇鉄を起こした。ギフト[ロシアンルーレット]だ。確かにこれなら現状を全てひっくり返せるかも知れない。ただし自分の命をベットする必要があるのだが。


 「おお、そうきたか。やってみろよ? ほれ、どうした。身代わりはもういないぞ? それで死んでくれたら手間が省ける。さっさと引き金引いて死ね」


 何を願ってるのかはわからんが、本当に引き金引かれて成功されたらたまったもんじゃないな。

 でもそんな度胸なさそうだよな、傍目に顔が蒼白になっている。おそらく相当成功確率の低い願いなんだろうな。


 「なんだ? 引かないのか?」


 「うう…」


 ガックリと項垂れるゴスタ。ロシアンルーレットは諦めた様だな。


 「お前のターンは終わりの様だな。じゃあ今度は俺の番だ。このまま殺してもいいんだが、面倒臭いからギフトを譲渡してくれりゃそれでいい。それとも徹底抗戦するか? その場合俺の手を煩わせるんだ、楽に死ねると思うなよ? さて、どうする?」


 うつ向いたまま何かを逡巡するゴスタ、色々と葛藤が有るのだろう。どうせ帰還するなら一か八かロシアンルーレットに掛ける手も有るしな。


 「あーあ! ちくしょうっ! ここまでかよ! わかった。降参するよ。わざわざ痛い目にあいたくないしね、ギフトを譲渡するよ」


 「結構。物分かりが良い奴は嫌いじゃないぜ」


 「チェッ! よく言うぜ。嫌いじゃないならギフト奪うなよな!」


 「うるせぇ。俺の気が変わらん内にさっさと譲渡しろ。八つ裂きでも俺はかまわないんだぜ」


 「はいはいわかりましたよ」


 そしてゴスタが観念していよいよギフトを譲渡しようとした時。


 「う… ご…ごほっ、あれ、私…」


 リヴァイアさんとテンちゃんが始末したはずの血まみれの奴隷女性が起きてしまった。


 ……やべー


 「はぁ? 何で生きて……ん? 全員生きてるのか!? 血糊で死んだ様に見せ掛けたのかよ! てかよく見たらそこのチャイナドレス! シルヴェーヌさんじゃん! いつの間に入れ代わったんだ!」


 あかん。ガッツリバレた。そう、実は俺の後ろでもじもじしてたのはリンちゃんのチャイナドレスを着たシルヴェーヌさんである。


 つまりはこうである。シルヴェーヌさんと対峙した俺はそこでゴスタに幻惑を掛けた。シルヴェーヌさん瞬殺の種明かしは幻惑でした。そして幻惑に囚われてる幾ばくかの間にリンちゃんが血相を変えてシルヴェーヌさんにこう話した。

 

 「時間が無いので詳しくは説明出来ぬが、自分達を信じてこれに着替え自分のふりをくれ! 自分達は貴女達を助けたい…いや、助けるから!」


 「わかった。信じよう」


 たぶんシルヴェーヌさんレベルになると善人と悪人の区別くらいは付くのだろう、リンちゃんの必死の説得は簡単に信じて貰え着替えてくれた。リンちゃんは副装で姿を隠す。


 で、その間にリヴァイアさんテンちゃんチームが女性奴隷達を気絶させて血糊を振り撒き、殺した体にしておく。


 俺の幻惑の能力ではシルヴェーヌさんを瞬殺した様に見せ掛ける程度が限界である。いや、むしろそれでも限界以上に頑張った気がする。頭がガンガンする。


 短い時間での電撃作戦だったが、シルヴェーヌさんが思いの外早く信じてくれたのが幸いして上手く進んでたのだが……


 「そうか、ギフトか! お兄さん幻惑なんて持ってたもんな! あっぶねぇ、すっかり騙されるところだったぜ」


 いやはやこいつは参りましたな。俺は使い魔達を見やる。目が合うとリヴァイアさん、テンちゃんがプランBの三十六計逃げるに如かず体制に入る。

 

 「シルヴェーヌさん、すまない。失敗だ。俺達は逃げさせて貰う」


 「いや、いいんだ。よくやってくれたよ。あの娘にも気にするなと言っておいてくれ」


 「すまない」


 とっても良い人なので見捨てるのが本気で申し訳無い。だが、このままだとこの人とやり合う事になる。それはきっと悪戯に被害者が増える事になるだろう。ゴスタも身代わりがいる今、ロシアンルーレットになんの抵抗もあるまい。


 (リンちゃん! 残念だが撤退だ! このままじゃ俺達は勿論周りにも被害が拡がる)


 (グッ…… やむを得ぬのか…… 自分はシルヴェーヌさんを助けると約束したのに……)


 (さっき聞いてたろ、気にするなってのは多分本心だ。とにかく逃げてチャンスを伺おう)


 (わかった)


 「それじゃ、そういう事で! 総員撤収!」


 ズダダダダ!!


 スタコラ逃げた。

 


 

読んでいただいてありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ