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75 れおなるど

 「おや? マサカリ担いだテン太郎さんどちらまで?」


 「ちょっとそこまで」


 ネームドモンスター【暁】は俺達に敗北してペットの道を選んだ。早速テンちゃんの乗り物になっている。


 「いやぁまさかこんな事になっちまうなんてなぁ、村の者になんて説明すればいいやら」


 憎きネームドモンスターはペットになったからヨロシク。確かに説明しづらいね。頑張れ。


 「ところで熊、ペットったって働かざる者食うべからずだ。自分の食い扶持は勿論、村人達の言うことはちゃんと聞くんだぞ」


 『ワカッタ』


 (ねえリヴァイアさん、ネームドモンスターてこんなに聞き分け良いものなの?)


 (もの凄く特別かと)


 だろうね。命乞いしてペットの道は選らばないよな普通。


 「お、自分が乗ってもビクともしないな」


 リンちゃんまで乗っかり出した。もはやデパートの屋上にある遊具にしか見えない。


 


 「ようやく村に帰ってこれたな。夜通しご苦労さんだ。俺はこのままひとっ走りミドロまで行って村人を呼んでくる。お前さん達はまぁ適当に寝るなり休んでてくれ」


 村に着くなりレイさんはその足でミドロに行くと言う。早く村人伝えたくて仕方ないらしい。


 お言葉に甘えて俺達は仮眠を取る事にした。


 なんだかんだで結構疲れてたみたいだ。目を覚ませば日はすっかり高くなっていた。


 「おろ、みんなもう起きてたか」


 「おはようございます」


 リヴァイアさんが恭しく挨拶する中、リンちゃんテンちゃんは【暁】に股がってロデオごっこしている。ネームドモンスターもかたなしだな。


 そこへワイワイガヤガヤと一団がやって来た。ヒロエ村の住人達だ。


 「本当に手懐けている!」

 「危害はないのか?」

 「やっぱり怖い…」


 見た目がデカイしイカツイからな、無害と言われても怖いもんは怖いよな。


 「皆さん恐れる気持ちは分かりますが、こいつはもう人間には一切攻撃は致しません。ああ、そうは言っても悪党とか例外はいますがね」


 『ワレハ ハイボクシ ツヨキモノノ メイニ シタガッタ コノメイハ ナニヨリモ ソンシュ スル』


 「しゃ、喋った!?」


 ざわざわする一同。


 「まぁこの通り意思の疎通が取れるので、この村のペットになってもらいました。見た目はゴツイけど案外大人しいもんです」


 こんな時勇気があるのは子供達だったりする。大人の制止も聞かず【暁】に近づく。おっかなびっくり触り始めるも、まったく抵抗しないと理解すると結構無茶をしだす。モフモフしたり尻尾を引っ張ったりとやりたい放題だ。しかし【暁】は意にも介してないようだ。えっちらおっちら背中に乗ろうとしてる子には、伏せて乗りやすくしてあげたりしている。


 「御覧の通りだみんな! 下手な人間より余程約束事は守ると思う。俺を信じてくれ」


 「レイさんがそこまで言うなら…」


 「そうだな、子供達も安心しきってるしな」


 どうにか村人の信用は勝ち取れた様だな。良かった良かった。

  

 「でもさすがに【暁】のままじゃマズくないですかね? ネームドモンスターとして知られてるわけだし。【暁】は討伐された事にして別の名前にした方が後々面倒ないと思いますが」


 「それはムサシさんが考えて下さい」


 「え! 俺?」


 ペット案出したのお前なんだしそりゃそうだろ的な空気に染まる。


 「う~ん… じゃあ熊だし【れおなるど】で」


 『ワレハ レオナルド…』


 「深く考えるな。俺が笑えるからそれでいいんだ」


 すったもんだの末、ネームドモンスター【暁】改め【れおなるど】は、晴れて村のペットとして生きる事になった。

 そして【れおなるど】はこの後八面六臂の活躍をする。比較的モンスター被害は少なかったヒロエ村だったが【れおなるど】が睨みを効かした為0となる。ミドロの様な城壁に囲われてもいないのに子供達が安全に遊べる村は珍しい。その上村にちょっかいを掛ける盗賊などもいなくなる。【れおなるど】に粛正されるからだ。挙げ句狩りもしてくれるし農作業も手伝ってくれる。それでいて平身低頭で子供達の面倒見も良かったりする。

 そんな【れおなるど】のおかげでネオピア住みたい町村ランキングで連続1位記録を樹立する事になるのはもう少し先のお話だ。


 「丸く収まって良かったよぉ」


 「自分的には驚きの結末だがな」


 「僕【れおなるど】と仲良くなれて良かったです」


 「命懸けの戦いをした相手とは思えないくらいですけど」


 村が無事解放された宴が夜になって催された。

 正直今回は実入りはない。ギルドを通してないレイさん個人の依頼だから。【れおなるど】の素材を全面的に頂ける予定だったので、まったく報酬はなくなってしまった。でもお金には取り立てて窮してないし、良い経験になったから問題はない。特にネームドでも勝てるってのは大いなる自信につながったしね。


 「改めてお前さん達には感謝する。大した報酬も用意出来ず申し訳ない」


 レイさんがお礼と謝罪の言葉を掛けてきた。


 「言いっこなしです。袖振り合うも多生の縁」

 

 地球とネオピアで多生の縁が発生するかは難しいところではあるが。


 「そう言って貰えると助かるよ。俺達に出来る恩返しはこの村をより良い村にする事だな」


 「うむ。自分もそうして貰えると嬉しい」


 「随分偉そうだな。鼻でスパゲティー食えなくて泣いてた癖に」


 「兄上! レイ殿の前でそれを言うな!」


 「鼻水垂らして泣いてた癖にぃ~♪」


 「言~う~な~!!」


 ム~ム~と抗議を続けるリンちゃんに暖かい笑い声が向けられる、そんな宴だった。

読んでいただいてありがとうございます!

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