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7 でたな勇者!

 「この度は本当にありがとうございました」


 「いえいえ、お気になさらず」


 今、深々とお辞儀をしているのはダネスさん。


 あれから二日程たった今朝、無事回復したダネスさんとトレイバーさんが改めてお礼に来ていた。


 「それでなんだがな、あんた達には今回俺が受けた護衛依頼の報酬を受け取って欲しい」 


 「いや、もう宿代も払って貰ってるのにそれはさすがに」 


 「俺もダネスも命の代償にしちゃ、それでも安いくらいさ。これで受け取って貰えないとこっちが恥をかいちまう」


 トレイバーさんの言葉にコクコクと頷くダネスさん。そこまで言われて断るのも逆に迷惑かと受け取ることにした。


 「すいません、ありがたく頂戴します」


 ちなみにダネスさんはこの村唯一の雑貨屋さんのご主人である。北の町から商品を仕入れた帰り道に盗賊に襲われたらしい。


 「ここのところ街道に野盗が頻繁に出没するようになってね、仕入れルートだし通らないってわけにもいかなくて参ってますよ」


 「さすがに今回は俺も肝を冷やしたぜ、あんな罠まで仕掛けてやがるとは…」


 不意をつかれ、ダネスさんを危うく死なせてしまうところだったのが、しこりとしてトレイバーさんに残っているらしい。


 どうやら街道の中程を少し外れると砦跡があり、野盗がそこをアジトにして居すわっているとのこと。


 「なんでも勇者狩りとかなんとか言ってる変な奴らなんですがね」


 「勇者ぁ!?」


 「えっ!?」


 勇者のワードに思わず叫んでしまった。ダネスさんが驚いている。


 しかしついにでたぞ勇者!


 「ああ、ごめんなさい。野盗が勇者を狩っているのですか?」


 「はい、おかしな話しですよね。そもそも野盗ふぜいが勇者をどうこうできる気もしないんですがね」


 野盗なら難しいかもしれない。だが、勇者を狙う理由は俺には一つしか思い浮かばない。


 勇者バトルロイヤルだ。


 勇者の能力を使って野盗共を手下にしているのではないだろうか?


 ギフトゲットのチャンスだ、ここは突撃だろ! なにしろリヴァイアさんはどう考えたって当たりギフトだからな。

 

 とは思いつつも、もっとえげつないギフト持ちの可能性もあるよなー、フ○ーザ様みたいのが勇者だったらヤバいよな、ちなみに私の戦闘力は53万あります。とか言われたらどうしよう。


 「あの、いかがなされました?」


 急に叫んだり考え込んだりする俺にダネスさんは戸惑っているようだ。


 「ああ、いえね、野盗を成敗しようかどうか…ちと考えてまして」


 「なんと! それは助かります!! これ以上護衛を増やすとなると商品を値上げするしかなくて……」


 「ああいやまだ考え中と言うか……」


 「まあ、そうだな。あんたの剣の腕は理解してるが、アジトには何人控えてるかわからんしな、慎重に考えるべきだ。ただ、やる時は俺も付き合おう」


 うーん困ったぞ、なんか引けなくなってきたな。人助けなんてあまりガラじゃないけど、ここでやっぱりやめたは気が引けるなぁ。トレイバーさんやる気まんちくりんだしなぁ。

 

 「リヴァイアさんはどう思う?」


 「撤退も考慮に、とりあえず偵察だけでもしてみたらいかがでしょうか?」


 「お! 妙案だね! ヤバい時はそう、とんずら。よし、それでいこう」


 と、言う事で盗賊のアジトへ向かう事にした。




 件の砦跡へとやって来た俺達とトレイバーさん。正確には少し離れた岩影から覗き見ているのだが。


 「思ってたより大きな砦だなぁ、正面入り口に見張りが二人か」


 「バレないように各個撃破か、逆に派手に暴れて狭い入り口に誘い出すって手もあるな。と言うかあんた、得物はどうした? 大剣だったよな?」


 「剣ですか? そこの執事兼嫁が剣です」 


 ズビシッ!


 「おごっ!」


 「どさくさ紛れに誰が嫁ですか」


 後頭部をチョップされた。痛い痛い。


 「徹頭徹尾何を言ってるかわからん」


 リヴァイアさんを指して剣とか嫁とか言ったと思ったら後頭部をチョップされた俺を見て、なんかもう残念な人でも見るかの様なトレイバーさん。


 「ええとですね、リヴァイアさん剣化して下さい」


 はい、と頷き剣状態になるリヴァイアさん。それを目を丸くして見やるトレイバーさん。


 「とまぁ、リヴァイアさんはある時は美人執事、またある時は切れ味抜群の大剣、しかしてその招待は俺の…」


 「勇者様の嫁ではありません使い魔です」


 「使い魔ぁ? 使い魔ってあれだろ! 高名な魔導師様とか賢者さまとか、そういうレベルの人…… って勇者ぁ!?」 


 なんかもう、いきなり情報過多で頭の中がしっちゃかめっちゃかみたい。


 「ええ、俺勇者です。凄いんです。偉いんです。兵隊さんの位でいったら二等陸士です」


 「それ下っ派です」


 「勇者様が現れて執事と思ってた姉さんが使い魔で大剣になるときた。夢でも見ているのか俺は」


 ワシャワシャ頭を掻くトレイバーさん。勇者や使い魔ってのは認知されてても、その辺にホイホイいるものではないみたいだな。隣の爺さんの飼ってる猫が実はイリオモテ山猫で爺さんがローマ法王だったくらいのもんか。


 「あ~、その、勇者…様? で、この後どうするかですが」


 「いやいやいや、急に畏まらないで下さい。今まで通りでお願いします。そうですね、とりあえず見張りを倒して敵に動きがなければ突入して各個撃破で」 


 「了解だ。で、見張りをどう倒すかだが」


 「リヴァイアさん、この距離で水弾は当てられますか?」


 「問題ありません。片付けますか?」


 「お願いします」


 即座にリヴァイアさんの出す水珠から必殺水鉄砲が二発速射されると、狙いは違わず見張りの頭を貫いた。


 「凄ぇもんだな」


 既に物言わぬ肉塊となった見張りの盗賊を見下ろし、トレイバーさんは感嘆していた。


 「よーし、ちゃっちゃとぬっ殺しますかね」


 慣れていくのね…… 自分でもわかる……


 見張りの死体を尻目に、セ○ラさんの気持ちが今ようやくわかったのでつぶやきながら野盗のアジトへ潜入した。  



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