69 リンちゃんと言えば…
晴れて使い魔リンちゃんが仲間になった。そんな今晩はリンちゃん歓迎パーチーナイトだ。
「え~、この度はお足元の弛いなか、沢山の方がリンちゃん歓迎パーチーにご出席頂けまして、ワテクシ主催者のムサシと致しましては……」
「挨拶なげーぞ! 手短にやれー」
「なげーぞー! リン姉様、ここはリヴァイア姉様に続くところです」
「お、おお、そうか。なげーぞー!」
まったく乗りの良い使い魔である。俺はそんなおまい等が大好きだ♡
「では、神様には特に感謝してないけど、いっただっきまーすっ!」
「「「いただきます」」」
「ガツガツガツガツ!! こら美味い! こら美味い!」
「ふむ、下ごしらえがきちんと行き届いてますね。ヒョイパク、ヒョイパク」
「モゴモゴモゴモゴー モグモグモグモグー」
「な、なんか凄まじい勢いだな、そんなに慌てて食べないでも…」
キラーン!
「リンちゃんいらないならコレもーらい。ヒョイパク」
「あ! それは自分のローストビーフ!」
「私はコレをヒョイパク」
「ああー! それは自分のムニエル!!」
「エヘヘー。モグモグモグモグー」
「テン! 自分のサラダを奪うな! 戦場か! ここは戦場なんだな! わかった、神速の神獣麒麟! 推して参る!」
自ら神速をうたうだけあってリンちゃんは速かった。そして二人の神獣に負けず劣らず大飯食らいでもあった。この娘達はどうしてこの体型を維持出来るのか不思議でたまらない。
「ふい~、食った食った」
「お腹いっぱいですぅ~」
「まぁ腹八分目と言いますし」
「ふ…フフ…」
なんかリンちゃんが笑ってる。
「どしたの?」
「あ、いや、すまない。こんなに楽しい食事は久しぶりでな」
ん~、この娘もこの娘で色々大変だったようだな。神獣なのに一人騎士団とか笑い者にされてたくらいだもんな。
「楽しいのなら良かったよ。これからも楽しくやっていこう」
「うむ、わかった。楽しもう」
こうして歓迎会は笑顔で終了した。明日は依頼を受けたハイオーガ3体を討伐に行こう。リンちゃんの実力を見るのに調度良いな。
そして一晩明けた朝。
「リンちゃんおっはよー」
ペチンッ!
「あ痛っ! なぜ尻を叩く!?」
「リン、おはよう」
ペチンッ!
「痛っ! あ、姉上!?」
ペチペチ、ペチペチ。
お尻をペチペチ叩かれてるリンちゃん。そっと後ろを振り向くと。
「エヘヘー」
「テン… お前もか…」
朝からガックリ項垂れるリンちゃんだった。
戦を終えて人心地。さて身支度整えて出発しようかと思った時。
「なぁ、なぜ自分は今朝尻を叩かれたのだ?」
リンちゃんが不服そうに言ってきた。
「なぜって、そりゃアンタ朝の挨拶は必要だろ?」
「必要ですね」
「必要だよー」
リヴァイアさん、テンちゃんもコクコク頷いている。
「ああいや、それはわかるのだ。最低限の礼節と言うものだからな。だがなぜ尻を叩くのだ!」
「リンちゃんと言えば尻だろう?」
「尻ですね」
「お尻だよー」
「え!? そ、そうなのか?」
「そうだな」
「そうですね」
「そうだよー」
「そ、そうか。自分は尻だったのか、知らぬ事だったとはいえ、時間を取らせてすまなかったな」
「別にいいさ。次からは気を付けてくれよ」
すまぬ、と付け加えながらも寝耳に水の様な顔をしているな。それでもそうだったのかぁ、自分と言えば尻だったのかぁと、何故か納得して出発の準備を始めている。
「リヴァイアさん、あなたの妹さんて…」
「言わないであげて下さい。チョロい娘とは言わないであげて下さい。ただ真面目で純粋な娘なだけなのです」
だから毎回アンタが言ってるんだ。しかしリンちゃんは時給200ギルで働かされてた時といい、人を疑うって事を知らんのかな? 長所であり短所でもあるよな。これからは可愛い妹が詐欺られない様に見守っていかねばならんな。
身支度を終えて今日俺達が向かうのは、ミドロの南東にある森林地帯。ここは強力なモンスターも徘徊せず、冒険初心者や狩人には絶好の狩り場であったのだが、ここ最近厄介なモンスターが住み着いた。ハイオーガである。それも3体。
そもそも群れを成すモンスターでも無いのだが、突如現れたとの事。
ただこれはここだけの問題じゃ無く、ここ最近大陸のあちこちで起こっているらしい。
専門家をして曰く、何か生態系を揺るがす様な事が頻繁に起きているのでは? みたいな憶測が立っている。
話を戻してハイオーガ。オーガはそもそも人食い鬼などと称されるくらい人間に害あるモンスターである。
オーガ自体でさえ中級レベルの冒険者でもパーティーで挑んでなんとか討伐出来るか? などという強さはある。それの上位種が3体ともなれば堪らない。
ましてやミドロに近いこの森林から何時町を襲いに出て来るともわからず、ギルドとしても頭を抱える問題だったらしい。
今のところ被害と言えば無謀に挑んだ冒険者が返り討ちに合い、重症を負った程度ではある。しかし、壁外で行われている農業や牧畜も安心して行われない状況は、いつまでも看過できない。
現状のミドロには討伐出来るだけの冒険者が滞在していない為、他の町のギルドにネットワークを通じてヘルプ依頼を出していた。そこに俺達が現れたって所だ。長引く様なら国軍の出動もあったかも知れない中々にヤバい依頼だった様だ。
「しかし俺達にしてみれば、そこまで強敵でもないんですよね?」
「ええ、余程油断しない限りは」
リヴァイアさんがこんだけ自信まんちくりんなら問題無かろう。それよりは俺はこっちの興味が先決さ。
「じゃ、さっそく御披露目だね! リンちゃん武装!」
了解したと答えたリンちゃんがキラキラと光って武器に変化した。
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