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66 残念騎士

 なんやかんや言っても広い町で人一人探すってのは難儀なもんだな。


 麒麟か。どんな娘なんだろ? 


 「麒麟ちゃんてどんな性格の娘なんですか?」


 「そうですね、真面目で純粋な娘でしょうか」


 ほぅほぅ。真面目で純粋な金髪美人か……


 嫌いじゃない! なんかこう、お嬢様っぽいイメージが湧くな。スカートとか似合いそうなさぁ。


 おしとやかで守ってあげたくなるタイプ? おいおいおい、テンション上がっちまうぞコンチクショー!


 なんてテンション上げてると、あ… また全身鎧さんだ。あいつもあっちこっちウロウロしてるな。ん? こっち見てるな。


 いや、鉄仮面越しでわかり辛いが完全に俺達の事見てるよな。


 「リヴァイアさん、いい知らせと悪い知らせがあります。どちらから聞きます?」


 「はぁ、ではいい知らせから」


 「全身鎧の変な人が我々を見ています」


 「悪い知らせは?」


 「その変な人がこちらに近づいて来ます!」


 ガチャンガチャン鳴らしながら歩み寄って来る全身鎧さん。またなんか変な因縁でも掛けられちゃたまらんな。


 「ここは因縁掛けられる前に退散しましょう」


 俺達は踵を返し、全身鎧さんから遠ざかる。


 トタトタトタ


 ガチャンガチャンガチャン


 スタタタタタ


 ガチャガチャガチャガチャ


 スッタッタッタッタッ


 ガッチャッチャッチャッチャッ


 「ひょえ~! 追いかけてくるぞアイツ!」


 あんな鎧着てて速いなしかし! そもそもなんで俺達追いかけるのさ! こうなったら仕方ない、街中であんまり目立ちたくなかったが。


 「リヴァイアさん副装! ほんでテンちゃんをひょいっと!」


 テンちゃんを小脇に抱え本気で逃げてやる! ヘタレにして韋駄天のスピード、甘くみるなよ!


 ズダダダダダダ!!


 ガチャチャチャチャチャチャチャ!!


 なぁっ!! なんちゅう足してやがる! だ、だが俺の方が若干速いな、じわじわ引き離してるぜ!


 「お! おい! 待ってくれ! 姉上! 天狐」


 え!? 姉上に天狐って言った!?


 「わっ! バカ! 急に止まるやつがあるかっ!!」


 どがぁぁぁっ!!


 「あひぃぃぃっ!!」

 「痛いですぅ~っ!!」


 急停止したもんだから、後ろから追い掛けて来てた全身鎧さんからタックルをくらって小脇に抱えてたテンちゃんもろとも吹き飛ばされてしまった。

 リヴァイアさん副装してたから痛くはなかったが。テンちゃんは普通に痛がってるがね。


 「いや、すまなかったな」


 地ベタに突っ伏す俺に全身鎧さんが手を差し出してきた。


 「いえいえ、大したこと無いです」


 「そんな格好してるから気付きませんでしたよ麒麟」


 リヴァイアさんは副装を解くと全身鎧さんを麒麟と呼んだ。やはりこの人が麒麟なのか。スカートの似合う金髪美人どころの騒ぎじゃない。


 「ご無沙汰しております姉上。そして天狐」


 「お久しぶりです麒麟姉様」


 うん、感動の御対面だな。表情どころか顔も見えないけどな。


 「なぁ、アイツ等一人騎士団の仲間みたいだぞ」

 「残念騎士の仲間ならさぞかし……」

 「おかーさん、ざんねんきしさまがいるお」

 「ヨナ君、見ちゃいけません」


 な、なんか周りの注目が凄いと言うか、残念騎士って…… 


 「な、なぁ、麒麟さん。ここで立ち話もなんだから宿屋にでも行ってゆっくり話さないか?」


 「ん? そうか? わかった」


 ふぅ、どうにかこの場から離れられるな。商業区に手頃な宿屋があるだろう。


 宿屋に着くまでも町の人達のひそひそ話が漏れ聞こえた。やはり麒麟をやれ残念騎士だのお笑い騎士だのと言っているようだ。麒麟さんていったい…


 宿屋に着くと適当な部屋で改めてお話をする。


 「えーと、初めまして。俺は村山武蔵、一応勇者にしてリヴァイアさんとテンちゃんの使い魔としての主になります」


 「やはりそうか。自分は神獣の麒麟だ」


 椅子に座ってしっかりと答える全身鎧。いや、鎧脱がないのかよ。


 「麒麟さん? その鎧は脱が…」


 「ああこの鎧か? 素晴らしいだろう!」


 いや、そうじゃなくてガチャガチャ鬱陶しいから脱いで欲しいんだが。


 「確かにこれは良い物ですね。安くはなかったでしょう?」


 リヴァイアさんが鎧をまじまじと見定めている。


 「さすが姉上。時給200ギルの皿洗いの仕事でコツコツ貯めて買ったのだ!」


 時給200… めちゃくちゃ買い叩かれてるなこの神獣… 


 「そうですか、それはわかりましたが兜くらいは脱ぎなさい。失礼ですよ」


 おお! リヴァイアさん! さすがお姉ちゃん神獣! 言うときは言うね!


 「す、すまない、失念していた」


 あわてて兜を脱ぐ麒麟さん…というより麒麟ちゃんかな? 確かに金髪美人だった。勝ち気な顔は凛々しさを讃えている。でもまだリヴァイアさんの様な大人な女性とまではいかないかな。


 「んで、なんでまたそんな鎧着てるの?」


 「自分は騎士だからな」


 ん~、なんか引っ掛かるんだよな、その騎士っての。町の評判とかあるしなぁ。


 「あの~、残念騎士とか町の人達が…」

 「言われていないっ!」


 え? 確実に言われてたがな。まさか本当に一人で騎士団とか言ってないだろうな。


 「そ、そうですか。で、どちらの騎士団に所属なされて…」

 「自分は自分の騎士団を立ち上げている!」


 うあ… 痛い娘か… 俺は小声でリヴァイアさんと話す。


 (あの、妹さんて…)


 (言わないであげて下さい。痛い娘とは言わないであげて下さい。真面目で純粋なだけです)


 いや、アンタおもいっきり言うとるがな。


 


読んでいただいてありがとうございます!

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