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64 立派なギルドにて

 城塞都市ミドロの冒険者ギルドは町の中央部に位置し、周りのどの建物よりも立派な造りになっていた。

 中に入れば冒険者の数も多く、騒々しくごった返している。


 「大繁盛この上もなしって感じだな」


 「大きな町ですし依頼も多いのでしょうね」


 受付カウンターも五つあるのだが、そのどれもに列が出来てる。みんな働き者だな。


 「なんだお前! ここはガキの来る所じゃねぇぞ!」


 「ご、ごめんなさい」


 うん? テンちゃんがゴロツキみたいな冒険者に絡まれたな。やだねぇ、心に余裕の無い奴は。と、助けに入ろうとした時。


 「やめとけ」


 なんかイケメンのお兄さんがゴロツキにやめる様に言ってきた。


 「あ? なんだお前! このガキ締める前にお前からやってやろうか? ああ?」


 「ふぅ、お前じゃそのおチビさんを締めるなんて出来ないよ。恥かく前にやめとけって言ったんだ」


 おお、テンちゃんの実力を見抜きますか! やりますな。だがまだまだだ。テンちゃんの本当の力を解放したらミドロが消し飛ぶがな。


 「は? ブッ! ゲハハハハッ!! 俺様がこのガキに勝てないってのか? こりゃ気の効いた冗談だぜ! ブハハハハ」

 

 ちょっと奥さん聴きまして? 俺様だって! お・れ・さ・ま! ジャイ◯ン以外の使い手初めてみましたわ!


 「まったく、これだからバカは困る。相手の実力も推し測れんでよく冒険者などやってられるな」


 「あ? お前舐めてんのか?」


 「だったらどうする?」


 「ブッ殺す」


 おーおー、険悪なムードだねぇ、血の気が多いねぇ、カルシウムが足りないねぇ。間に挟まれてるテンちゃんがアワワしててプリティだぞ!


 「ムサシ様、そろそろテンを」


 「そだねー」(※昭和表現ではない。北海道方言である)


 俺は一触即発の二人の間にいるテンちゃんのもとへ、平手をちょいちょい動かす『ちょいとごめんよ』ポーズで歩み寄る。そしてテンちゃんを後方へ逃すと、イケメンとゴロツキの顔を交互に二往復見てから、


 「ファイトッ!」


 腕を交差した!


 ズビシッ!


 「煽ってどうする!」


 「いやいや、こう言うのは殴りあってお前結構やるじゃねぇか! フッお前こそな! って青臭い青春を咲かせるもんなんですよ!」


 「フッ、ハハハハ、すっかり気勢が削がれてしまったよ」


 「何なんだお前等は、ケッ! バカらしい、やってられっか」


 俺達のどつき漫才もまんざら捨てたもんじゃないな。なんか知らんが納めた様だ。


 「テンちゃん、ウロウロしたらめーでしょ」


 「うう……ごめんなさい」


 また絡まれたらかなわないのでテンちゃんは抱っこする。受付のお姉さん達が羨ましそうに見ているな。これは神獣の主の特権なのだよ。


 「イケメンさんうちのテンちゃんがご迷惑掛けてすいませんね」


 「ハハハハ、面と向かってそう言われるとこそばゆいな。気にしないでくれ。おチビさんもな」


 そう言うとテンちゃんの頭を撫でて去って行った。うーん中身までイケメンでしたか。


 「ムサシ様とえらい違いですね」


 「まぁ、住む世界が違う住人てやつです」


 生き方そのものが野球とサッカーくらい違うからあの手のイケメンには嫉妬の1つも起こらない。じゃあ仲良く出来るか? と言われるとそれは無理。野球とサッカーは交わらないから。


 そんなゴタゴタも沈静化すると、ギルドはまた元の様相を取り戻し、俺達は依頼ボードに目を通す事にした。


 「内容的にはまぁ、どこも似たようなもんですよね」


 「本当に特殊な依頼等はギルド側から達成出来そうな冒険者に委ねられますからね」


 「となると、この中から取り分け儲けそうな依頼何個か受けときますか」


 さすがに今更ゴブリン退治する気にはならない。ハイオーガ3体か、人食い鬼と称されるモンスターだな、トロールよりややサイズは小さいくらいで、スピードと腕力がそれなりにあるらしい。これで百万ギルならいい稼ぎになるんじゃないかな?


 「慣らし運転気味にハイオーガ3体なんてどうでしょう?」


 「そうですね…… 少し物足りない気もしますが」


 リヴァイアさんもこれで構わないみたいなので依頼シートを剥がして受付に並ぶ。


 暇なのでテンちゃんとあっち向いてホイで遊ぶ。イカツイ冒険者集団の中で浮きまくりなのだが、文句を言ってくる者はいない。若い冒険者と子供と女性執事のアットホームな空間に皆気圧されてる様だ。むしろテンちゃんが可愛いくて頭を撫でたりホッペをつついたりしてくる冒険者が多い。癒しの天才児の面目躍如である。


 そうこうしてるうちに順番が回ってきた。


 「あ、あのこちらの依頼で宜しいのですか?」


 「宜しく」

 「宜しく」


 「二人共いい加減そのドヤ顔モノマネやめて下さいよ!」


 「あ、あのぅ~」


 「ああ、すいませんね、その依頼で宜しくお願いします」


 「宜しく」

 「宜しく」


 「だからっ!」


 話が進まないっつーの、神獣の笑いのツボがいよいよわからん。


 「え~と、ハイオーガ3体ですけど……」


 「ハイオーガ3体ですから」


 「……すいません、少し待って貰って宜しいですか?」


 「ええまぁ構いませんが」


 受付のお姉さんが奥に走って行った。何なんだいったい。

 暫くすると戻って来たが、一緒に妙齢のお姉さんを連れてきた。立ち居振舞いからして中々の手練れと思われる。


 「待たせてすいません。私はこのギルドのマスター、セフィリアと申します」


 「へへぇ~ こりゃどうもご丁寧に」


 「ちょっと! 土下座とかやめて下さい!」


 ギルドマスターの肩書きにビビったおれば全力で土下座していた。


 「あ、あの~、俺なんか悪い事でもしました? あ、さっきのケンカ騒ぎ? それともあっち向いてホイがうるさくて苦情がきたとか?」


 「いやいやいや、そう言う事では無いのですよ。ただその、今貴方達が受けようとしている依頼はハイオーガなのですよ? わかってますか?」


 ん? さっきからハイオーガの確認ばかりしつこいな。


 「人食い鬼ですよね? トロールよりやや小さな」


 「わかってるのですか…… あの、申し上げ難いのですが、我々には貴方達がハイオーガ3体を倒せるようには…… いや、勿論ただ者では無いのはわかります、わかりますけれども」


 あ~そうか心配してくれてたのか、一般的にはハイオーガ3体は結構強いモンスターか。リヴァイアさんは物足りない言ってたけどな。


 「大丈夫です。実は俺達はゴニョゴニョ」


 トロールグレート、風牙、クラーケンなどを倒した事を耳打ちしてやった。


 「なっ!?」


 「なので依頼の受注宜しく」


 「宜しく」

 「宜しく」


 「いい加減怒りますよっ!!」


 

読んで頂いてありがとうございます!

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