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63 城塞都市ミドロ

 「と、言うわけで水本君のお父さんはヤクザの拉致監禁先から逃げ出せたのです」


 オフ日の翌日、俺達はさっそく城塞都市ミドロへと出発していた。道すがら中学生の時の友人水本君のお父さんがヤクザに拉致監禁された時の話などをしていた。


 道中もちょいちょいモンスターは出没したが、お馴染みゴブリン先生や巨大ウサギのビッグラビットなど、衝撃波で楽に排除出来るレベルであり、ほとんどピクニック気分で進めた。


 「え~と、そろそろ見えてくる筈なんですが…あ、見えました! 兄様、ミドロが見えてきましたよ!」


 まだかなりの距離はあると思うのだが、城塞都市と名乗るだけあってか、町を囲う巨大な外壁が見えてきた。


 「おお~ ありゃ相当高い壁だなぁ。いやまぁ有事の際には防衛拠点になるわけだしそんなもんかぁ」


 とは言うものの三国同盟間で兵を挙げての戦争は、もう長いこと起きていないしこれから先も余程の事でも無い限りあり得ないだろう。


 ぼちぼち歩いて近づいてみれば、改めて壁の高さに感嘆のため息を漏らす。


 「こりゃとてもじゃ無いがよじ登れるレベルじゃないな」


 「よじ登るつもりだったのですか?」


 「いや、攻め落とすならどうするかと考えてたのですが」


 「兄様攻め落としちゃダメですよ!」


 「そりゃしないけどさ、何て言うかこう男として血が騒ぐみたいな」


 そう言えば昔彼女と堅城小田原に行った時も、彼女ほったらかしてどうやって攻めるか1人考えてて怒られたっけ。


 「ハッハッハッ! 攻め落とされてはかなわないな。旅の方かな? ミドロへようこそ。どのようなご用件かな?」


 俺達の不穏当な会話を門番の衛兵さんに聞かれていたようだ。

 ここミドロは今まで寄って来た町や村のどれよりも大きい。大きいだけあって人口も多い。人口も多けりゃそれに比例して悪さするバカも増える。門番を常駐させるのは外からバカを入れない水際対策なのだろう。

 ただ、目の前に居るラインナップが美人執事に童顔の青年、可愛い男の子である。不穏当な会話は世間話の延長で言ってる冗談にしか聞こえてないみたいだ。まるで気にする素振りもない。


 実際落とせと言われれば落とせますよ? 空中からリヴァイアさんとテンちゃんが魔法鬼ブッパすりゃいいんだから。なんて事は口が裂けても言えないが。


 「あ、俺冒険者なんですけど、この町に人を訪ねに来たんです」


 「え? 冒険者だったのか! こう言っちゃ悪いが、そうは見えなくてな。ならこちらの水晶に手をかざしてくれるか」


 仕方ないっちゃあ仕方ない。誰一人冒険者っぽい格好してないもん。軽鎧の1つも着けてないからなぁ。俺は言われるなり水晶に手をかざす。すると

ほわぁぁぁぁと、淡い光が水晶から放たれる。


 「う! また勇者…」

 

 既視感。これは冒険者ギルドで登録した時の受付嬢と同じ反応。本来プロだから小声でも言っちゃいかんのだと思うのだが、勇者が取っ替え引っ替え現れたらそうなっちゃうか。


 「また、ですか? 俺の他にも町に勇者が?」


 「え! あ、ああすいません、詳しい事は教えられない決まりでして」


 急に態度がよそ行きになったな。勇者ってのは本来崇められる立場なんだろな。


 「いえ、話せないなら結構です。そして俺達の事も口外なさらないように宜しく」


 「はい、それはもう」


 勇者の存在に恐縮する門番の脇を抜け町へ入る。


 「宜しく」

 「宜しく」


 リヴァイアさんとテンちゃんが俺のマネしてドヤ顔で続いた。


 「なぜ俺のマネするですか!」


 「宜しく」

 「宜しく」


 使い魔的にツボだったらしい。ケタケタ笑いながらドヤ顔してる。ちくしょう舐めやがって。


 主の威厳をパーセントで表したら2パーセントくらいまで地に落ちてるな。まぁいいさ、この町で新人使い魔仲間にしたら素晴らしい主として認識させるさ。そしたらおまい等はお払い箱さ、靴磨きくらいならやらしてやらん事も無いぞクックックッ。


 ズビシッ!


 「おごっ! な! 何をいきなり!?」


 「今、不埒な事を考えてましたね?」


 「悪~い笑顔でした」


 むぅ、だからって問答無用でチョップするかね? これだけでそのうち[ドM]がレベルアップしちゃうだろ! こんなギフトレベルアップしたらどうなるかさっぱりわからんから、結構怖いんだぞ! 帰れない深みにハマったらどうしてくれる!


 「何もぶたなくても…ブツブツ…」


 「何か言いましたか?」


 「リヴァイアさんは今日も美しいなと」


 「……そういう事にしておきましょう」


 ヤバいヤバい。めったな事口にするもんじゃないな。


 「それにしても、さっきの門番の口調だとこの町に勇者が居る確率は高そうですね」


 「はい、神眼系のギフト持ちもいる可能性も踏まえて用心に越したことは無いでしょう」


 さすがに街中でやらかすバカもそうは居ないと思うが、確かに用心は必要だ。願わくばこちらが先に見付けたい。


 そんな感じで賑やかな町並みを冒険者ギルド目指して歩く。大陸に渡ってからこっち、道々の寄った村のどれよりも喧騒に溢れている。


 ダミ声を上げる八百屋など、一昔前の日本を見る様でちょっとした懐かしさが感じられる。


 格好もお洒落さんな人達が結構いる。貴族さんと言うよりは、単にお金持ちが洋服に金を掛けている様にみえる。ネオピアならではのブランドとかもあるのかもね。


 そんな中に一際異彩を放つ格好の奴がいた。フルプレートっての? 頭から爪先まで全身鎧に身を包んだ騎士? がいた。


 ガチャンガチャンうるさい音を立てて歩いている。平時でも騎士ってのは備えを欠かさないのかね? ご苦労なこった。


 ま、俺達には関係ないさね、とりあえず冒険者ギルド寄って神獣麒麟を探しますかね!

 


読んで頂いてありがとうございます!

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