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60 わぁ~お

 湖の主を釣り上げた頃には日もとっぷり暮れていた。とっとと宿屋に戻って風呂でも入りますかね。


 宿屋に帰るとご主人のお爺さんに軽く挨拶して二階の自分の部屋にそそくさと戻る。


 「尻毛♪尻毛♪尻毛~♪尻毛にもんまり~♪腹毛♪腹毛♪腹毛~♪腹毛にぬんがり~♪」(※使い魔はリヴァイアサン公式メインテーマ尻毛にもんまり)


 俺は素敵な歌を口ずさみながら自室の扉を開ける。


 ガチャ


 「「え!?」」


 わぁ~お♡ 


 そこには下着姿のリヴァイアさんがいた。目が合い固まる俺とリヴァイアさん。


 「夢かっ!! あんまりにも長い事会えないもんだから欲求が溜まり過ぎて俺は夢を見てるのか!! そうだよなー、リヴァイアさんに限ってラッキースケベはあり得ないよなー。しかし良くできた夢だなぁ、どうせ触ろうとするとベッドから落ちて起きるんだろ」


 ペタペタ、さわさわ、あ、あれ? 起きないな。てか、やけにリアルガチな触り心地ですね……


 「言いたい事はそれだけですか?」


 額に青筋立ててワナワナしてるリヴァイアさん。


 「目覚めていきなりセクハラとは良い度胸してますね!」


 スッと身構えるそれはフックとアッパーの中間から繰り出されるフィニッシュブロー! スマッシュ!!


 「歯を食い縛りなさい!!」


 ゴガッ!!


 「ぐはぁっ!! ありがとうございまぁぁす!!」


 リヴァイアさんの強力無比な一撃に、俺の意識は刈り取られた。因みにこの時[ドM]と[ムッツリスケベ]のギフトレベルが上がったのは今はまだ知らない。




 「う…うむむ、あ、アゴが…」


 リヴァイアさんに穿たれたアゴの痛みに起こされると、窓の向こうから気持ちの良い朝日が射し込んでいた。


 「兄様おはようございます!」


 あ! テンちゃんだ! そうだ! 昨日目覚めたんだっけ!


 ぎゅっ!


 「テンちゃんおはよ~ すりすり~」


 「あはは! 兄様は甘えん坊さんですね」


 う~ん、やっぱりテンちゃん養分は欠かせないね! 癒しの天才児。


 「おや、起きましたか」


 う! このゴミ虫を見るような目はリヴァイアさん! まだ怒ってらっしゃる!


 「いや、リヴァイアさん事故ですよアレ! 悪気があってやったわけじゃないんですよ!」


 「まぁ、不用意に着替えてた私にも非はありますから、それについては良しとしますが… 問題は休眠状態の私達を部屋に置いて出掛けるとか無用心にも程があるでしょう」


 「だって大剣のリヴァイアさん重いんだもん」


 だって大剣のリヴァイアさん重いんだもん。


 リヴァイアさん重いんだもん。


 重いんだもん…だもん…だもん…だもん…


 ブチィィィィッ!


 「てめぇゴラッ!ムサシィ! 表出ろやボケェ!! きさん誰に向かってカバチ垂れよんならゴラッ!! おどれの人生終わらしたろかぁ!! あぁん!!」


 「ヒィィィ!! お助けぇぇ!!」


 「姉様! 殿中! 殿中でござる!!」


 頑張ってぇ! テンちゃぁぁぁん!! つーか何処でそんな言葉覚えたんだ!


 テンちゃんの頑張りの甲斐もあってようやくリヴァイアさんの怒りは静まった。ただし朝食をかなり奮発する必要もあったのだが、必要経費と思えば安いもんか。


 「どうですか? この魚アユモドキって言って俺が釣ったんですよ!」


 せっかくなんで釣ったアユモドキを宿屋のご主人に調理して貰った。グルメ神獣もご当地グルメにご満悦だ。


 「いやぁ、でも今回は長かったですねぇ…… 起きてこないんじゃないかとヒヤヒヤでしたよ」


 「兄様ごめんなさい…」


 自分の暴走って自覚はある様だ。泣きそうな顔で謝るテンちゃん。しかしそれはそれ、これはこれ、ここは心を鬼にして叱る必要がある。下手したらリヴァイアさん道連れに消滅してたかも知れないんだからな。


 「うむ、反省して貰う意味も込めてテンちゃんには罰を受けて貰う」


 おもむろにテンちゃんの脇腹に手を添え、


 「こしょこしょこしょこしょこしょこしょ」


 「あ! アハハハハハ! 兄様ごめっ! アハハハ! もう暴走しないから! アハハハ許して!」


 「ふむ、成敗。わかれば宜しい」


 「ぜぇぜぇ、はい、僕もう心揺れたりしません!」


 うん、いい笑顔だね。色々と悩んでふっ切れたんだろう。強い子だよ。


 「それにもう姉様に叩かれたくないし」


 「アレは痛そうだったな!」


 「ムサシ様叩く時と違ってテンにはちゃんと手加減しましたよ」


 「俺にもして下さいよ…」


 アハハ~と笑うテンちゃん。これでやっとこ城塞都市ミドロに向け出発できるな。


 「時にムサシ様は何をなさってたのですか?」


 「主に鍛練ですかねぇ…」


 「そうですか、何かギフトのレベルあがりましたか?」


 俺はサムズアップしてハッキリキッパリ言ってやったさ!


 「釣り師が3になった! エヘン!」


 どやぁぁぁ! 会心の、どやぁぁぁ!


 「テン、この先は二人で参りましょう。このポンコツは私達が休眠中ずっと釣りをして遊んでたようです」


 「え? 違うお! 釣りばっかりじゃないお!」


 「名人~ いるかぁ~ 釣り行こうぜぇ」


 ガキ共が宿屋にやってきた、ちょ、お前らタイミングってあるだろ、わざとか?


 「兄様… 名人て呼ばれる程…」


 「ちょ! 違うお! 違うお! 誤解だお!」


 今日はこんなんばっかりだな! なんて日だ!


 その後疑いの眼差しを向ける二人に、ガキ共やキャプテンの弁明もあって遊び捲り疑惑は解消したが。

 なんかもう非常に疲れる一日の出だしだな……


 


読んでいただいてありがとうございます!

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