55 激闘
リヴァイアさんの機転? でステータスアップが行われたが釈然としないのはなぜでしょうね。
(使い魔を装備した俺は今までの俺とは1・25倍くらい違うんだぜって所を見せてやる)
(ちょっと大きめのカップラーメンくらいしか変わってませんよそれ。私を装備して失礼な)
なんでカップラーメン知ってるのかは謎だが、ここを突っ込むのは三下のする事だ。
「ついに真打ちのお出ましか? 洞窟での借りは返して貰うぜ」
まぁ、あの時と違い今リヴァイアさんは副装状態なんだが、腕力アップはしているし副装で防御力もアップしている。このままの方が今は都合良さげだな。
猛然と斧を振り回し襲い掛かってくるソムタイ、さっきと違い今度は力負けしねーよ? 剣術レベルでお前の斧術レベル上回ってるの忘れたのか?
と、思ったのだが……
(おおっ! 押し負ける!? リヴァイアさん装備状態でか?)
(大剣状態ならもう少し力は上がると思いますが……)
(いや、このままでいこう。防御力アップがかなり便利です)
ソムタイ以外にもゾンビキメラやアナスタシアの攻撃も差し込まれている。さすがにその全てをしのぎきれず被弾しているものの、ほぼダメージらしいダメージはない。ソムタイの攻撃に完全集中出来る。
(リヴァイアさん、食らったらヤバいのは恐らくソムタイの一撃だけでしょう、まずはソムタイから仕留めましょう)
(了解しました。ここなら強力な水珠攻撃も使えるでしょう)
洞窟の時と違いド派手な水柱がソムタイに襲い掛かるが、それを斧で受け止めると角度を変えて受け流した。
(凄まじい力だな。しかしリヴァイアさん、我々の無尽蔵魔力押しの真骨頂をお見せして差し上げましょう)
怒涛の魔法押しである。通常は魔力枯渇を恐れ考えながら魔法は放つものだが、俺達には無い。うねりを上げる水柱や俺の水ノコがソムタイに集中放火される。
「これはマズイですね、ソムタイを守りなさい」
ハインリッヒの命令にゾンビキメラが割って入る、デカイ図体をいかした肉壁である。
「すまねぇハインリッヒ。リミットオーバーとか言ってられねぇみたいだ。俺はもっと食らうぜ」
「確かにこれほどまで強いとは思いませんでした、私も戦力温存してる場合ではありませんね」
ハインリッヒがなにやら呪文のようなものを唱えると地面から這い出してくる者がいる。
ゾンビキメラだ。それも一体二体の話ではない、数十……いや、百体近くいるかも知れない。
「マジかおい……」
そしてその後ろでは死体を貪り食らうソムタイ。話の内容からして食べられる限界があったみたいなのだが、お構い無しに食べまくっている様だ。
「何をそんなに驚いているのです? 私達が一体いくつの村を壊滅させたと思ってるのですか?」
神ってのは本当にこんな勇者を望んだのか? 色々と勇者バトルロイヤルに疑問が生じてならないが、今はこのクズ共を倒す方が先だ。
(リヴァイアさん、ここは攻撃力特化の大剣でゾンビキメラの頭数を減らしに掛かります、援護よろしく!)
高速飛行でゾンビキメラの群れに飛び込み大剣を振り回し、端から斬り刻む。背後を取られようが、リヴァイアさんが水柱やウォーターレーザーで付け入る隙は与えない。
ゾンビキメラ程度の力量では大剣リヴァイアさんの攻撃を受け流す事は勿論、受け止める事すら出来ない。
問題なのは魔法である。もはや同士討ちもお構い無しにガンガン放たれている。リヴァイアさんの水幕の防御壁がなんとか防いでくれているが、全てとは言えず、少なからずの被弾がある。
(多勢に無勢でもこの数相手に遠距離戦は避けたいところだしなぁ、威力は弱くても四方八方から狙われ続けたら持たないし)
(テンならその選択も可能でしたが…… 私の魔法防御がもう少し高ければ良かったのですが)
(いえいえ、適材適所ってありますから。被弾しても戦えない程のダメージは無いし、同士討ちで向こうも頭数減らしてるから)
実際にもう二十体近くは倒せたと思う。このままなら全滅だって時間の問題だろう。でも奴等が黙って見てる訳もなく。
「カカカカカ! 食った! 食ったぜぇ!」
ソムタイだ。その姿は最早人間と言って良いものか醜く変貌を遂げている。全身の皮膚は赤黒く変色して、目は瞳も無く真っ赤に染まっている。奴の言ってたリミットオーバーの弊害であろうと如実に伺える。だが、その筋肉は激しく盛り上がりボゴボゴと不気味に脈付いている。
「あらソムタイ、人間やめちゃった方が男前よ?」
「言ってろアナスタシア! でもまぁそうだな、こりゃ人間廃業しなきゃ手に入れられねぇ力だわ。いくぜ坊主!」
ソムタイの圧力が跳ね上がると一気に距離を詰めてきた! 速い! 俺の高速飛行に匹敵しそうなスピードだ!
「どけぇ! 邪魔だぁ!」
「ちょっと、私の手ゴマですよ? 勘弁して下さい」
俺達の周りに群がるゾンビキメラを文字通り斧で粉砕しながら突っ込んでくる! 豆腐でも斬るかの様な破壊力だ!
「今度こそケリつけてやるよ坊主!」
「こっちの台詞だ!」
俺とソムタイが激しく激突する! 力、速度共に圧倒的にソムタイが上回る。しかし剣術は俺の方が上であり、リヴァイアさんの援護もデカイ。
一瞬の気も抜けない攻防だが、それでも俺はソムタイの斧を巧みにいなし、たたらを踏ませた!
「もらった!」
ぶわんっ!
完全に捉えた筈の俺の一撃がむなしく空を斬った! 俺が斬ったのは幻影だった……
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