52 3勇者
「さていらっしゃいませ、勇者様と使い魔御一行様」
三人並んだ真ん中の男が恭しくお辞儀をした。言葉の内容からしても、こちらの情報は筒抜けなんだろう、やはり神眼持ちか……
勇者達は左から
アナスタシア バシキトフ
[鞭術3] 鞭による攻撃の技量が上がる
[幻惑2] 幻惑で惑わす事が出来る
[神眼3] 目にした相手が勇者かどうかわかる
[韋駄天3] 走る速度が上がる
ハインリッヒ ミッターマイヤー
[杖術2] 杖による攻撃の技量が上がる
[魔法力3] 魔法力が上がる
[ネクロマンサー3] 死体を操れる
ソムタイ ルーク パンチャマ
[斧術3] 斧による攻撃の技量が上がる
[剛擊3] 攻撃力が上がる
[カニバリズム3] 死体を食する事によりステータスが上がる
目を覆いたくなる様なギフト内容だった。こんなギフト授けた時点で明白だ。神はぶっ壊れている。勇者なんて所詮は神の玩具程度の扱い何だろう。
「フフフ。私達のギフトを見てさぞかし驚いているでしょうね。私はね、常々思っていたのですよ、ギフトはかなり本人の性格に依存したものが与えられたのではないかとね」
「そりゃ自分がイカれた性格だって事か? ネクロマンサーなんてクソギフトだろ」
真ん中の勇者ハインリッヒに答えると、
「おお、言うねえ。まああながち間違えて無いけどな。コイツは筋金入りのイカれ野郎だ」
右隣のソムタイが言ってガハハと笑う。
「私は違うからね! こっちの死体好きコンビと一緒にしないでちょうだい。コイツ等と組んでれば勇者バトルロイヤルも安泰だからよ」
「神眼持ちでコイツ等と組んでる時点でクソだろう」
「アハハハハ! 確かにねぇ。坊やみたいに青臭くは無いわね」
「村を襲ってるのはお前等なんだな?」
「だったらどうしますか?」
「逃げる。じゃあな! リヴァイアさん武装」
ズダダダダダダダ!
リヴァイアさんを装備してテンちゃん担いでスタコラ逃げる。
「おおい! あんだけ挑発して逃げるのかよ! 斬新な奴だな!」
「それはつれないわね、少しは遊んでちょうだい」
アナスタシアが言うなり入って来た通路が見えなくなった! 幻惑なんだろ! 突撃すれば霧みたいになるんだろ!
ドゴッ!
「あ痛っ!! 幻惑じゃない!?」
「アハハハハ!! 最初に見えてたのが通路だと思った?」
それ以前に幻惑されてたのか、地味に厄介だな。一本道だから塞いでしまえば勝手に死ぬと思ったが、そうは甘くないか。
「仕方ない。リヴァイアさんテンちゃん戦いますよ!」
二人の返事と共に、三人係りでの遠距離波状攻撃を行う。俺の水ノコ、リヴァイアさんのウォーターレーザー、テンちゃんのかまいたちもところ狭しと荒れ狂う。
しかし、アナスタシアはそのスピードでかわし、ハインリッヒは火炎や土魔法を駆使して防御し、ソムタイに至っては斧で全て薙ぎ払っている。
(リヴァイアさん、デカイ魔法は? 水柱とか使えるんでしょ?)
(出来ますが洞窟への影響を考えるとどうでしょうか?)
威力があり過ぎってのも困りもんだな、生き埋めとか洒落にならん。しかし風なら洞窟への被害もさほど無いのではなかろうか?
「テンちゃん暴風いける?」
「お外じゃないので威力弱めになってしまいますけど」
「オーケーオーケー、真ん中の足止め出来りゃ上等よ、俺は突っ込んで接近戦するから! ほんじゃ突貫!」
盾勇者をズタボロにした恐怖の暴風魔法がハインリッヒに炸裂する! 威力弱めと言っても魔法力特化の神獣の魔法だ、半端な代物ではない。
その間に俺は右のソムタイを攻撃する。
「ちょいやっさぁ!」
ガギィィィィン!!
剣と斧が交錯する!
「おっ! 俺の斧に力負けしねえのかよ!」
自分の力に相当自信があったのだろう、目を丸くしている。しかしリヴァイアさんで斬り付けて拮抗された俺も正直焦った。剛擊のギフトはレベル負けしてるとはいえ、腕力特化のリヴァイアさんでこれとは。恐らくはカニバリズムでステータスの底上げが行われているのだろう。
ただ俺は剣術で勝っている。くぐり抜けた修羅場もきっと上だろう。弱者を殺して食ってただ単にステータスアップしただけとは違う強さがある!
そしてその差は如実に現れる、俺の剣擊の前に対応しきれなくなったソムタイが徐々にダメージをおい始める。
「がっ! くそっ! なんだってんだ! 俺が競り負けるだと!」
「何やってんの! だらしないわね!」
ヒュバッ!
そこに鞭が割って入ってきた、リヴァイアさんのウォーターレーザーを避けつつ攻撃を織り混ぜてくる。
「すまねえアナスタシア! この坊主ただもんじゃねえ!」
「それは私の神眼で見て伝えたでしょうが! まったくこれだから脳筋は!」
鞭ってのは厄介な武器だな! 軌道が読みづらい。そしてかなり痛い!
だがそれがいい。
きたぞこの野郎! こちとらドMなんてな恥ずかしギフト持ちって知ってんだろ!
「うお! なんだ! 坊主の力が急に!?」
「ドMよ! 坊やはドMなの!! それも教えたでしょ!」
さっきから坊主だの坊やだのドMだの、好き放題言ってやがるな!
「ちっ!」
たまりかねたソムタイが距離をとった。そのタイミングで調度テンちゃんの暴風も鎮まったが……
「いや、危ないところでしたね」
あの暴風を耐えきりやがったのか……魔法力を高めた土壁でもこさえたのだろう、コイツも中々やるようだな。
「おい! ハインリッヒ! 坊主共一筋縄じゃいかねぇぞ! プランBだ! パワーアップさせてくれ!」
「そうですね、それが手っ取り早いですかね。では村山武蔵さん、私達はここで失礼させて貰いますね」
「は? 何言ってんだ、逃がすわけ……」
「皆さんの相手は私達の変わりにこちらの方々がしてくれますので、それではごきげんよう」
「おい! 待て!」
逃げる三人への道を塞ぐ様にワラワラとあらわれたのは、死体の群れだった…… ネクロマンサーのギフトかよ……
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