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49 完勝

 すっかりバレてしまったな。二人共戦いを止めてこちらを見ている。


 「俺達は怪しい者だ! どれくらい怪しいかと言ったらこれくらいは怪しい! テンちゃん武装!」


 魔弓と変化したテンちゃんが俺の手に収まる。


 「テンちゃん! リヴァイアさん! 真っ正面から全力で蹂躙!」


 「「がってん承知のすけ!」」


 「な!? 畜生! アイツも勇者かよ!」


 「三つ巴か……」


 申し訳ないが三つ巴とかそんな複雑な事にはならんよ。一方的な蹂躙だ。俺は弓を引き絞ると!


 「突貫!」


 俺の合図と共に怒涛の攻撃が始まった。使い魔レベルが上がって神獣の力がパワーアップされたリヴァイアさん達の攻撃は、この勇者達レベルでどうにかなるものではない。


 ウォーターレーザーは威力や速度、射出時間も大幅に上がっている。テンちゃんのかまいたちも縦横無尽に放たれ、これを避け続けるのは困難だろう。勿論俺も矢をバカスカ射ち捲っている。


 二人の勇者はもはや防衛に必死で攻撃どころではない。剣で捌いたり盾で受けたり、魔法を使って防いだりしているがジリ貧なのは明らかだ。


 そして先に力尽きたのは攻撃特化のデイビットだった。何とか防いでいた攻撃もリヴァイアさんのウォーターレーザーが貫き、右足を切断した。絶叫こだまする中テンちゃんのかまいたちがズタズタに切り裂くと、俺の放った矢が頭にヒットしてデイビットは光の粒子となり消え去った。


 「さて、マイケルさん。実力の差は明らかだ。どうする? 負けを認めてギフトを譲渡するなら良し、しないならそれなりの覚悟はしてもらう」


 なるべくなら譲渡して貰いたいもんだが、こっちも勝負なんでね、これ以上の情けは掛けんよ。


 「……覚悟は出来ている。生き恥はさらさぬよ」


 手にした槍をグッと構えるマイケル、徹底抗戦らしいな。その覚悟お見事。


 次の瞬間リヴァイアさんのウォーターレーザーがマイケルを穿つ。しかしマイケルの盾はそれを見事に弾いた。


 「盾術に防御力アップは伊達じゃないって事か。デイビット倒して剣術上がって剛撃も手に入れたし、接近戦もありだよな」


 「兄様、僕がやります」


 うん? テンちゃんに策があるのか? テンちゃんのかまいたちも弾かれちまってるんだが。


 「ほんじゃ頼もうかな」


 はいっと、元気の良いお返事と共にテンちゃんの魔法力が上がってくるのが感じられる。


 すると周辺の風がざわつき始め……


 「暴風!」


 ゴッ! ヒュゴォォォオォ!!


 一陣の竜巻がマイケルを飲み込んだ!


 「くっ…… これは……」


 さしもの盾術も全方向を防ぐ事は出来ない。竜巻はどんどん威力を高めると、マイケルを地面から引き剥がす。


 「がっ! ぐぁぁ……」


 呻くような苦痛に喘ぐマイケルの声が聞こえる。竜巻の回転が速すぎて中で何が起こっているかは見えないが、竜巻自体が真っ赤に染まっていくのはきっとそう言うことが起きてるのだろう。


 竜巻はマイケルの声がしなくなるまで回り続けた。ドシャリと落ちたマイケルの体はズタズタに切り裂かれている。左腕と右足はもう無い。


 ヒュオッ!


 最後にかまいたちがマイケルの首をはね、光の粒子となって戦いは終わった。


 「テンちゃん、リヴァイアさんもご苦労様です」


 戦いを終え使い魔に労いの言葉を掛けるが、テンちゃんは悲しそうに眉をひそめている。


 「テン、大丈夫ですか? こう言う戦いは嫌いでしょう?」


 「正直言うと苦手です… でも僕は兄様の使い魔です、大丈夫です」


 「それならよろしいです。では先へ進みましょう」


 大丈夫って言ってる顔が大丈夫じゃないんだよな。確かに勇者バトルロイヤルは悪人じゃ無くても戦うからな、テンちゃんみたいな性根の優しい子にはちと辛いか。


 「なぁテンちゃん、別に無理して戦わなくていいんだぞ? 後方支援とか役割はあるしね」


 「ありがとう兄様」 

 

 えへへ~って笑いながらテンちゃんが手を繋いできた。使い魔の主としてこの子の笑顔を曇らせてるようじゃ俺もまだまだだな。


 しかしまぁ勝ちは勝ちだ。つーか圧勝だ。大陸の勇者が軒並みこんな感じなら優勝も夢じゃないんだがな。

 ゲットしたらギフトも悪くないんだが、盾術や槍術はタンスの肥やしかなぁ、機会があれば使うかも知れないけど。釣り師って、これ初期ギフトだった奴の気持ち考えたら涙無しじゃいられないね。

 

 街道へと戻ると日もやや傾き掛けてきた。


 「暗くなる前に宿屋さん着かないと」


 「もう少し行けば村があるはずなのですが」


 城塞都市ミドロに着くまでにはまだまだ距離がある為、数回は頃合いの村に泊まる予定なのだ。


 だったのだが……


 「こりゃひでぇな……」


 「焼き討ちでしょうか」


 「村が……」


 月が浮かび始めた頃にようやくたどり着いた村は、全てが焼き払われた跡だった。


 「さすがに火事じゃないよな」


 「村人達はどこに行かれたのでしょう? 気になりますね」


 「探知」


 とりあえず探知を掛けると、お馴染みの高揚感。ギフトのレベルアップだ!


 「うーん距離は伸びてないか? 何がパワーアップした…… ああ、そう言う事か」


 探知に引っ掛かった動体の大きさがわかる様になっていた。これなら人と獣の区別も付けやすいな、悪くないぞ。


 「この辺には人気はない様ですね、探知には獣ばっかりです」


 「そうですか… 仕方ありません、今日はここで野宿ですね」


 「うう……野宿か…… なーんて泣かないぜ! 昔取った杵柄よ! さあリヴァイアさん! 寝床を作って下さい!」


 「はいはい。テン、手伝って下さい」


 「は~い」


 俺の為に甲斐甲斐しく働く二人。あれ? 俺って今使い魔の主人らしくね?


 「うむ、ご苦労。俺にふさわしい寝床をご苦労」


 「何言ってるんです、ムサシ様は寝ずの見張りですよ」


 「うわ~ん! 使い魔がひどいよぉ~」


 「兄様冗談ですよ冗談! 変わりばんこです!」


 使い魔に泣かされ気を使われ…… あれ? 俺って今使い魔の子分ぽくね?



読んでいただいてありがとうございます!



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