41 神獣パワーアップ
新たな仲間にテンちゃんを加えた俺たちはジリスクをちょいと東に行った所にある草原に来ている。
「ではでは正式にテンちゃんを使い魔として契約したいと思うのですが、やり方を知りません。リヴァイアさんよろしく」
「天狐、風珠を」
ヒュオ
リヴァイアさんに促されてテンちゃんが目の前に出現させたのは、水珠の風バージョンとでも言おうか、風がヒュオヒュオと珠の形をとっているまさしく風珠だ。
「天狐、契約設定」
「はい、姉様。ん~…………これでよし」
「ではムサシ様、風珠に手を入れて下さい」
「え! この中に? 大丈夫なの?」
「大丈夫です。手首から先がズタズタに吹き飛ぶだけです」
「ひぃ」
「そそ、そんな事ありませんよ! 大丈夫です! 姉様、そう言う冗談は!」
むぅ! リヴァイアさんめ! 主をからかうとは不届き千万な奴め! 悪口言ってやろうかしら? いや、やめた。ぶたれるもんな。
使い魔のお茶目くらい許してやる寛大な主様なのだ。
「ちょっと怖いが、南無三!」
思いきって風珠に手を突っ込むと。頭の中にテンちゃんの言葉が鳴り響く。
(神獣・天狐を使い魔として契約致しますか?)
(ぬ? はい、契約致します)
(了承致しました。これより神獣・天狐は勇者[村山武蔵]の使い魔となります)
「はい、お疲れ様です。これで使い魔の契約は終了ですよ~」
風珠をしまってニッコリ微笑むテンちゃん。癒されるねぇ。
改めてテンちゃんの風貌を説明すると、ルセルクのユッコちゃんよりちょい下くらいかね、茶髪で目のクリクリした可愛い男の子である。緑色のパーカーに半ズボン、ふくらはぎくらいまでの白い靴下にお洒落チックなスニーカーだね。
そちらの趣味の方々が男女問わず垂涎ものの美少年でございます。そんな中。
「あ、あれ!」
「こ、これは……」
使い魔契約が済むとリヴァイアさんとテンちゃんが何やら目を開いて驚いている。
「どうしたんすか?」
「力が…… 神獣の力が大きく回復しました」
なぬ! そいつは村の一大事!
「BOOK」
[使い魔2]
・使い魔を所持出来る。使い魔を武器・副装状態で装備すると使い魔に見合ったステータスアップの恩恵が得られる。
所持使い魔
・名前 リヴァイア 腕力特化型 属性水
・副装可能
・名前 未登録 魔法力特化型 属性風
・副装可能
「おお! 使い魔のレベルが2になってますよ! 後、副装可能ってありますね、なんだこりゃ? まぁいいや。名前はテンちゃんで登録だ」
「姉様! 凄いです! こんなに回復するなんて!」
「私も驚きました。もしかしたら使い魔を増やせば、それだけ回復するのかも知れませんね」
「ほぇ~、そんなに回復しましたの?」
「ざっと二割と言った所でしょうか」
すると使い魔一人増える毎に一割神獣の力を取り戻せるのか? それは凄く手っ取り早くないかい? 神獣仲間にすれば単純に戦力アップだし。
「ほしたら話は早い、他の神獣の御兄弟にも使い魔契約してもらいましょうよ! 彼らだって回復したいっしょ!」
「はい、それでよろしいかと。天狐……いや、テン。皆の居場所は存じてますか? 特に回復要因にフェニックスを優先したい所です」
「すいません、フェニックス姉様はわかりません。僕がわかるのは神獣王様と麒麟姉様です。麒麟姉様ならフェニックス姉様の居場所を知ってるかも知れませんよ!」
お、おおう。何やら強力そうなラインナップが並べられてるな。大丈夫かな? いよいよ食べられそうな予感しかしないな。
「麒麟姉様ならゼカミカ大陸の城塞都市ミドロにいるはずです。ムサシ様、次の目的地はそちらでよろしいですか!」
そんなテンちゃんに俺はチッチッチッと人差し指を振る。
「え? ダメ……ですか?」
上目遣いでしょんぼり顔のテンちゃんに俺は言ってやったさ。
「そこじゃない。問題は俺を何と呼んだ?」
「え? ムサシ様?」
「ではリヴァイアさんを何て呼んでる?」
「姉……様?」
「そうだね。リヴァイアさんを姉様と呼ぶ以上、俺の事を何て呼んだらいいか……わかるよね?」
「……兄様?」
「正解! 可愛い!」
ぎゅっ! テンちゃんは優しい匂いがするのう。
ズビシッ!
「話が進まないからやめなさい」
安定のチョップだ。これからはトリオ漫才にパワーアップだね!
「ほんじゃしばらく目的は神獣の仲間を増やす、んで勇者に遭遇したら……まあ、いけそうならぬっ殺す。こんなとこですかね」
「よろしいかと」
「はーい!」
つーわけで、旅の新たなる方向性も決まった所で今度はテンちゃんの力の確認だな。
「テンちゃん武装!」
はい! と返事をしたテンちゃんが変身した武器は、弓でした。
リヴァイアさんのイメージカラーが青ならテンちゃんのイメージカラーは緑。リヴァイアさんの大剣に負けず劣らず豪華な弓です。
「ただ矢がない。どっかで調達せにゃならんのぅ」
「ムサ……兄様、矢を念じて風珠に手を入れて下さい」
そういえば俺風珠出せるかな? チェックしてなかったな。どれ風珠!
ヒュオ
おお! 出るやんけ! 矢を念じて手を入れるっと、お! なるほど!
矢が珠の中にありました! 中で生成するのかね? いちいち補給しなくていいのは助かる。
ただし問題は俺の技術なんだが。剣以上に難しいよな~。とりあえずそれっぽい感じでつがえてみる。ぐい~んと弦を引っ張り、狙うは五メートル程先の木だ。よし! 発射!
ぱひょ~ん
あさっての方向にへなへな飛んで落ちた。
「しくしく」
「泣かないで兄様、僕もアシスタントしますから!」
テンちゃんの声援を力にもう一度チャレンジする。ぐい~んからの、
ぱひょ~ん……ヒュオ! ズダーン!
「へ?」
「やったぁ! 兄様すごいですぅ~」
俺の放ったへなちょこがいきなり猛スピードで目標の木に突き刺さった!
「兄様、僕の弓は魔弓です。放たれた矢は風珠である程度操作出来るんですよ!」
矢の軌道を操作出来るってのは半ば反則っぽい気もするんだが、これが神獣って事で納得しよう。
それじゃ、も少し練習しとくかな。
ぱひょ~ん しくしく
読んで頂きありがとうございます
毎日投稿出来たらいいんですけどねぇ、何しろ遅筆でして。申し訳ないっす。




