38 その珠ってもしや?
「さてさて、ハッピーがフィニッシュブローの余韻に浸ってる間にとどめ差してギフト貰ったろ」
と、思った瞬間。
シュッ
アレクサンドルの体が消えた。ぬっ殺した時の光の粒子に変わるそれではない。いや、これはさっき背中取られた……!!
ぶわぁぁあっ!!
俺はとっさに空中へと逃げる。
「ハッピー! 気を付けろ! まだ生きてるぞ!」
「ぬ! 私のハッピーマァグナァムを受けてまだ息があるというのか!」
「かなり効きましたよ?」
するとアレクサンドルはいきなりハッピーバレンタインの背後に現れた! これはギフト[影使い]の能力なのだろう。影に潜ったり出たり影から影へ移動出来るとみた方が良いな。
「おのれ面妖な技を!」
ハッピーはすかさず飛び退き距離を取るが。
「か、体が動かん!」
石にでもなったかの様に硬直して動けなくなってしまった。
「影縛り。足掻いても無駄ですよ」
これも影使いの能力か! 動けなくなったハッピーへ槍をクルクル回しながらアレクサンドルが近づく。しかし。
「やらせねーよ!」
ドンッ! ドンッ!
俺は空中から衝撃波をぶっ放してハッピーから距離を取らせる。
「チッ! さっきからチョロチョロと。ウォーターガン!」
ビシュ! ビシュ!
これは水鉄砲か!? 水属性の魔法使えるのか!
しかし威力、速度共にリヴァイアさんの放つ水鉄砲程ではない。この程度ならムーンライトで斬り払える。
「よっ! ほっ! この程度の水魔法でやられるかっての!」
「ええ、やれると思ってませんから」
うぐっ!? しまっ……た……急に眠気が…… 激しい眠気が俺を襲う。水鉄砲に混ぜてギフト[睡眠]を使ってやがったか。距離があるおかげか、気力で踏ん張れるけど墜落したら不味いので地面に降りざるを得ない。
「さて、邪魔者はオネムなので先に向こうの変態さんを始末しますか」
くそ……させる……かよ……
ズブッ! ぐおおっ! 痛ぇ! だがそれがいい!
俺はムーンライトを自分の足に突き刺した!
眠気もぶっ飛ぶ激痛だ。そして得も言われぬ快感だ! ドMは恥ずかしいギフトだが今はありがたい!
「自分の足をキズ付けて眠気を覚ますとか。信じ難い事しますね」
天罰に比べりゃそよ風よ! ドMホルダーなめるなよ! 言ってて情けないが。
「やはり貴方から始末しますか」
アレクサンドルが槍を構えると、みる間に距離を詰め激しい突きを放ってきた!
ギギン! キン!
受けて捌くのがやっとだ。ムーンライトの光のカウンター攻撃がいくらか翻弄してくれてるし、ドエム効果で力もアップしたのだが、獏によって上げられたアレクサンドルの身体能力はそれを遥かに凌駕した。
「貴方もかなりの腕ですね! その剣も面白い! いいでしょう、正真正銘の全力で片を付けて差し上げます!」
アレクサンドルの攻撃が更にパワーアップするともはや捌く事も難しく。
ズブゥッ!
アレクサンドルの放ってきた突きが俺の右肩に突き刺さった!
「ぐあっ!」
「さて、それではもう剣も振れないでしょう。終わりにしてあげましょう」
ヒュバッ! ヒュバッ!
「なに!?」
その時、何か鋭利な刃物の様な何か…… そう、物体的な物ではない攻撃がアレクサンドルをおそった。
「ムサシ様こちらへ!」
テンちゃんだった。テンちゃんがカマイタチの様な攻撃をシュバシュバ放っている! そのカマイタチの発生源にはどっかで見た様な珠がフワフワ浮いている。
「助かった! ありがとうテンちゃん」
「どういたしまして! 回復します!」
テンちゃんの回復魔法により肩のキズも癒えると剣も振れる様にはなったが。
「相当パワーアップしてやがるな、ハッピーも動けないし。風牙以来の大ピンチ!」
あの時はリヴァイアさんが神獣の力を解放してくれたけど、今はリヴァイアさん居ないし。居たとしてもアレはもう二度とやらせない。最悪消滅するリスクをリヴァイアさんに負わせる事は。
「まさかその子にそんな力があったとは驚きです。だが私の敵ではない」
テンちゃんのカマイタチや俺の衝撃波は槍をクルクル回して相殺されてしまっている。基本的に火力が足りていない。
まだ研究開発中だが、使ってみるか……
全力飛行による突撃! かつておっさん勇者拝島の使った攻撃だ!
「いくぜ突貫!」
テンちゃんのカマイタチを援護に突撃する!
「その程度のスピードでは私は倒せませんよ」
その程度のスピードではありまてん。
ドンッ!
アレクサンドルの手前で衝撃波を後ろに放ち加速する!
ガイイイイイン!! ズバッ! ズバッ!
「ゴフッ! これは!」
俺の攻撃で槍をかち上げられ万歳状態の所にテンちゃんのカマイタチが炸裂する。
すぐ様反転して再度突撃を開始。アレクサンドルの放つ水鉄砲や睡眠攻撃は左右に衝撃波を放って軌道修正して避ける。
「もういっちょ食らえ!」
もう一度アレクサンドルと交錯する時。
シュッ
しまった! 影に潜ったか! 影に潜ったアレクサンドルの移動先は。
「ククッ。色々面倒なので先にこの男のギフトを貰っておきますか」
影縛りによって動きを封じられてるハッピーバレンタインの影だった。
「こいつを殺せば影縛りも使える様になりますからね。それではごきげんよう」
ズブン!
次の瞬間アレクサンドルの槍がハッピーの胴体を貫いた。
「ご……ぼ……」
ハッピーは大量の吐血と共に倒れ込む。
「ほう、今の一撃で死なないとはとんでもない生命力ですね。それともそう言うギフトでも持っているのでしょうか? まあ良いです。殺せばわかるでしょう」
アレクサンドルが無造作に槍を振り上げると。
「フハッ! フハハハハハハハハッ!!」
ハッピーは大量の吐血とバカ笑いを始めた!
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