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 「いや待て話を聞け、俺はこの子達を拐った者じゃない」


 「フハハハハ! 戯れ言を申すな! ならばなぜ子供達を引き連れている? 私は騙されぬぞ」


 「いやだからこの子達を今逃がそうとだな」


 「ええい! 問答無用! おとなしく縛に付け!」


 うわぁ、本気でめんどくせぇな! 


 「スーパーパーンチ!」


 「うお! 危ねぇ!」


 ハッピーバレンタインが繰り出したパンチを間一髪かわす。かなりのスピードだ。きっと威力も相当な物だろう、食らったらただでは済まなさそうだ。


 「ほう、私のスーパーパーンチをかわすとは、中々やるな」


 スーパーパンチじゃなくて、スーパーパーンチなんだな。どうでもいいが。


 「だから待て! 話し合えばわかる! 子供達に聞け!」


 「うるさいわ! そもそも貴様もまだ少年ではないか! 若いうちから犯罪に手を……」


 「やかましいわ! 童顔なんだほっとけ!」


 やっぱりコイツ嫌いだ。


 「さぁ、お喋りはここまでだ! 大人しく縛に突けば痛い目にあわんですむぞ!」


 こりゃ言っても聴かねえか。リヴァイアさん抜きだが仕方ない。勝負しますかね。


 俺は異次元ポケットからムーンライトを取り出したのだが、


 「な、なんじゃこりゃ!」


 月光に照らされたムーンライトの刀身が淡く輝いている。まさかこれがこの剣の真の力なのか?


 「面妖な剣を使うようだな。ならば私も本気でゆくぞ!」


 ハッピーバレンタインが突っ込んでくる! 真っ直ぐとは嘗められたもんだな!


 ドンッ! ドンッ!


 近づく前に衝撃波をお見舞いしてやるが、パンチで打ち消された!


 そして繰り出してきたパンチにムーンライトを振るう!


 ガギィィィィン!! ズババババッ!!


 「マジか! コイツ!」


 ハッピーパーンチはムーンライトの一撃で斬り裂かれる事はなかった! その上月光を浴びたムーンライトの淡い光は、パンチと交錯した時無数の光となってバレンタインを襲ったのだが、こちらも何事も無かったの如くダメージを与えていない。


 「フハハハハ! スーパースターフィールドは破れぬ!」


 スーパースターのギフトかよ! ちょっと欲しくなったぞ! しかしクソヤバいぞ! どうやって倒す? 


 「ウハハハ! 強者よ! 燃えるぞ! 私は今猛烈に燃えてるぞ!」


 ハッピーバレンタインの力が向上しているのが圧力でわかる!


 「そらそら! ハッピーパーンチ! ミラクルキーック! ダイヤモーンドエルボー!」


 ガギン! キンッ! ゴイン!


 息もつかせぬ連続攻撃が始まった! 攻撃を受ける度にムーンライトから光の攻撃が発射されてるのだが、まったく無視されている。


 「かっ! くっ! このっ!」


 全ての攻撃がとにかく重い。リヴァイアさんならもっと対応できるのに! 


 ふわぁーっ!!


 たまらず一旦空中に逃げる。が!


 「スゥゥーパァァァーキャノン!」


 ドゴォォォォォ!!


 ハッピーバレンタインが両手を前に突き出すとエネルギーの塊みたいなのを放出した!


 「まずい!」


 ぶわっ!


 しかしスーパーキャノンは俺の前で突風? に煽られ進路を変えた。


 「なんか知らんが助かった」


 下を見ると、


 「おじさん、ムサシ様は悪者ではありませんよ!」


 テンちゃんがハッピーバレンタインに駆け寄っていった! ちょ!危な!


 「む! なんと! そうだったのか!」


 え? いきなり信用した? ひゅいーっと降りていって、


 「やい! ハッピーバレンタイン! なぜ俺は信じ無いでテンちゃんは信じるんだ!」


 「敵では無いなら敵では無いと早く言わんからだ!」


 「散々言ったわ!」


 コイツぅぅぅぅ! ギリギリ!


 「過ぎた事よ! 許せ!」


 殺され掛けてんだぞ! ギリギリ! そうだ!この際落書きされた服も弁償させてやる!


 「やい! この服に見覚えがあるだろう!」


 異次元ポケットから出した服には、ハッピーバレンタイン 少年へ と書いてある。


 「これは! おお! いつぞやの少年だったのか! そうかそうか!」


 ガシッ! サラサラ


 「またサインが欲しかったのか! それで怒っておったのか! それならそうと早く言えばよかろうハッハッハッハッ!」




 愛と正義と真実の使徒


 スーパースター ハッピーバレンタイン

 

 少年へ




 「……………………」


 ガクッ…………


 なんだこの敗北感。うう……何やってんだろ俺。


 「ハーッハッハッハッハッ並べ並べぇー!」


 両手をついて項垂れる俺の横で、スーパースターハッピーバレンタインのサイン会が行われていた。子供人気がすさまじい……



 スーパースターハッピーバレンタインの勘違いのおかげでとんだ道草を食ってしまった。


 しかしコイツ強いからな、帰りの道中心強い。頭はアレだが腕の立つ用心棒だ。ただ勇者なんだよなぁ、追々絶対に倒さなきゃならん相手と思うと気が重い。


 何しろスーパースターのギフトが不気味で謎過ぎる! 俺の使い魔に匹敵する反則ギフトだな。


 「さて、どうやら森を抜け出せたようだぞ」


 子供達も歓声をあげて喜んでる。可愛いのぅ。


 「フハハハハハハハハッ!」


 おまいは鬱陶しいのぅ。


 「おやおや、これはどうしたら事でしょう」


 な!? どこから! こまめに探知してるはずなのだが、アレクサンドルの声が聞こえた!


 「やはり貴方でしたか。欲を掻かずさっさと殺しておくべきでしたね」


 アレクサンドルは俺の背後に音もなく現れた! そして凶刃を振るう!


 ズブッ! ドンッ!


 背中に激痛が走るも俺も背後に衝撃波を放つ!


 「クッ! そんな攻撃を使うとは! もしや貴方……」


 アレクサンドルが俺の衝撃波に勇者の影をみたが、


 「スーパーパーンチッ!!」


 スン!


 ハッピーバレンタインがすかさずパンチを打ち込むも、アレクサンドルは姿-消した。


 「怪しげな術を! 出てこい!」


 「クックックッ こちらの変態も勇者のようですね」 


 声だけきこえる。


 「違ぁぁう! 私はハッピーバレンタイン! 天知る地知る人ぞ知る……」


 え? そこからまた言うの?


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