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35 脱出

 なんてこった寝かされちまった。睡眠は大人には効きづらい? 抜群に効いてますけど?


 でもって起きたわけなのだが、お子様達はすやすやと夢心地のようです。


 この子達連れて逃げ出さねばならんよなぁ。かなりハードル高くね? アレクサンドルが帰って来るの待ってぬっ殺すか? うーんリヴァイアさんいるならともかくなぁ、勇者相手にあんまり無茶せん方が良いか。


 まずはアレクサンドルが今居るかだが、


 「探知」


 フムフム、とりあえず周りに動く者は居なさそうだ。ちゃっちゃと脱出しますかね。


 「あの、すみません」


 ギクゥッ!!


 唐突に後ろから話し掛けられた。起きてる子もいたのね。


 「あ、驚かせてごめんなさい」


 振り向くと可愛らしい男の子が申し訳なさげに俺を見ている。


 「あ、ああ大丈夫だよ。起こしちゃったかな? 俺はムサシ。色々不安だと思うけどお兄ちゃんがここから出してあげるから安心して」


 男の子の前にしゃがんで、ニッコリ笑って頭を撫でてあげる。パニクって騒がれないようにしないとね。


 「はい! 僕も手伝うので宜しくお願いします!」


 「可愛い」


 ひしっ! 思わず抱き締めてもーた。


 いつもならここでリヴァイアさんのチョップがあるのだがね。


 「とりあえず君のお名前は?」


 「テンコです」


 女の子みたいな名前だな。でもネオピアならスタンダードな名前かも知れんし、名前をどうこう言うのはイジメに繋がるからダメ、絶対!


 「よしテンちゃん、君は騒がれないようにしてみんなを起こしてくれ」


 はい!っと、元気に返事をして他の子たちを起こし始める。


 さて俺は扉を開けちゃいますか。ジャージ姿とはいえ、異次元ポケットは健在である。つーかよくジャージを不審に想わなかったな。ネオピアにも売ってる所には売ってるのかもな。


 異次元ポケットから颯爽とムーンライトを出して振り下ろす。


 キンッと金属音がすると扉の鍵は見事に切断されている。剣術3と神剣ムーンライトあったればこそよ。


 「あの、ムサシ様、みんなを起こしました」


 「よし有り難う。こっちもバッチリ解錠出来た。よーし、みんな! これからお兄ちゃんと一緒にお家に帰るよ。でもね、騒ぐとまた怖~いおじちゃんに捕まっちゃうから、静か~にお兄ちゃんに付いてきてくれるかな?」

 

 みんなコクコクと頷いている。遠足の引率者にでもなったかのようだな。


 俺を先頭に二列に並んで進む。殿にテンちゃんがいる。どうも洞窟の中らしい。盗賊のアジトを奪ったとかそんな所だろう。


 おっと、別れ道か。複雑な迷路のような洞窟だと余計に危険が増してしまう。


 「ムサシ様、こちらの道が出口方向です」


 俺が悩んでるとテンちゃんがやって来た。


 「お? テンちゃん道わかるのかい?」


 「風の流れが教えてくれます」


 なんか聡明な子だとは思っちゃいたが、こりゃ大したもんだ。


 「ならば私はこれからララ……ごほん テンちゃんの指示に従おう」


 はい!っと、相変わらずの元気なお返事をして先頭を歩きだすテンちゃん。


 途中も何度となく別れ道はあったが何の迷いもなく歩を進める。すると、


 「着いた!」

 

 「お外だぁ!」


 「お家帰れる!」


 ようやく洞窟の出口にたどり着いた。外はすっかり夜で月明かり頼りの薄暗さだが、久しぶりの外に子供達は口々に喜びの声をあげる。


 コンスタントに探知で動体をチェックしているが感はない。モンスターもいないようだ。非常に助かるな。この子達抱えて戦闘はさすがに回避したいもんだ。


 で、ジリスクの町の方角だが。


 「テンちゃんわかるかい?」


 「ごめんなさい、わからないです」


 まぁ仕方ない。申し訳なくて泣きそうなウルウルした目がまた可愛い。ワシャワシャ頭を撫でてあげるとニッコリ微笑んだ。


 見付かる確率が上がってしまうが仕方ない、空から確認してみるか。


 ふよーんと空に飛び上がる。子供達はあんぐりと口を開けて、すげぇとか、かっくいーとか言ってる。魔法使いはいても空飛んだりするのは珍しいのかな? 確かに町なんかでも飛んでる人を見たこと無いな。


 空中から辺りを眺めると、眼下は森林地帯。さらに向こうを見ると森林地帯を抜けて草原になっている。その奥に微かに光が見える。ジリスクかどうか判別できないが、町の明かりであるとは思う。


 しゅおーと降りて来てみんなに説明した。とりあえずはこの森を通過しなければならない。まだ結構な距離があるので頑張ろうと元気づけた。


 とかくテンちゃんのとりなし方がうまいのか、さほど文句もなくいい子にして付いてきてくれる。跳ねっ返りみたいな子がいなくてラッキーだ。


 とは言っても子供の足による行軍、しかもいつ来るでもない勇者やモンスターの襲来に注意しながら進むので子供達には肉体的にも精神的にもしんどかろう。


 程よいタイミングでの休憩を挟み挟み進む。幸いに食べ物や飲み物に関しては腐るほどある。ああ、いや、異次元ポケットの中に収納してるので腐りはしないが。リヴァイアさんがご機嫌斜めの時に出す予定で買っておいたのが役に立ったな。


 と、その時俺の探知に引っ掛かる動体!


 「な! なんだこのスピード!」


 ヘタレギフトで逃げる俺並みの速度で接近してきている!


 「ヤバい! みんな! 隠れ……」


 「フハハハハハハハハッ!! 遅い! 今さら隠れても遅いわ!」


 う! この声! このバカ笑い!


 「貴様が子供達をさらう狼藉者だな! 天知る地知る人ぞ知る! 正義の為に現れ出でる! 愛と正義と真実の使徒! そう! 私がスーパースター! ハッピーィィィィバァァァレンタインだぁぁぁ!」


 めんどくせぇのが来やがったな……


 

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