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34 神隠し

 翌日、とりあえず冒険者ギルドへと出向いてみた。


 「神隠しは何か進展ありました?」


 「いや、特には。昨日のハッピーさんに期待したいのですが……」


 受付のおっちゃんの気持ちはわかる。ハッピーバレンタインの出で立ちを見たら期待出来ない。ハッピーなのは己のオツムだろ! って突っ込みたくなるしな。


 でも悪人てわけでは無さそうだよな。今までの勇者ってぶっ壊れた奴しかいなかったから変な偏見があるかも。


 ただし勇者バトルロイヤルはバトルロイヤルだ。いざ戦うとなれば手加減はせんよ。無理に戦おうとは思わないけど。ちょっとスーパースターはごめんなさいしたい。


 そんな今日はジリスク周辺を散策する事にした。ギルド依頼もその辺でこなせるものをチョイスしてきた。


 「魔球! カーブするシュート!」


 俺の投げた石ころは狙い違わず眼前のモンスター、ラージウルフを撃破した。


 「我ながら凄い命中精度だ。甲子園目指せばよかったぜ」


 「カーブするシュートって真っ直ぐですよね」

 

 鋭い指摘だ。ホップするフォークの御披露目は控えよう。

 

 ハッピーバレンタインにしてもそうなのだが、勇者達のギフトレベルが結構高いのだ。使いまくってれば上がるのかわからんが、ガンガン使ってみている。


 使用頻度だけで考えるならリヴァイアさんなんて年中使ってるんだが、まだ1なんだよな。


 そんなリヴァイアさんは一生懸命薬草を摘んでいる。薬草納品の依頼も受けているのだ。中々地味な作業である。群生地とかないのかな? てか栽培出来ないのかな?


 「リヴァイアさん、薬草って栽培出来ないのですか?」


 「聞いた事はありませんね」


 「フム。ビジネスチャンスの匂いがする。薬草の栽培に成功したらビッグマニーになる」


 「そんな知識あるのですか?」


 「ない!」


 「胸を張って言う事ではありませんね。夢みたいな事言って無いで薬草摘みして下さい」


 ギフトに薬草学とか農業とかあったら出来るかもなぁ、プランテーション化してボロ儲けしたいなぁ。そしたら勇者廃業してリヴァイアさんと悠々自適に暮らせるなぁ。


 あれ? 俺って今帰還する事よりこっちの生活楽しんでね? そうなんだよな。帰っても社畜人生だしなぁ。勇者バトルロイヤルの優勝賞品てなんじゃろか? 金かな? だったら帰還して悠々自適もありか? でもリヴァイアさん連れてくのは無理か? ムムム、単純に帰還も考えものだな。


 そもそも本当に帰還出来るのか怪しいもんなんだがな。


 「よーし、こんくらい採集出来れば依頼達成してるっしょ! ジリスクに帰りましょう」


 「了解です。と、アレは……」


 リヴァイアさんの視線の先の方にいるのは遠くからでもわかる。なぜなら赤いから。紅き変態勇者スーパースターハッピーバレンタインその人だからだ! 東の方へ走っている。結構速いな。


 「見なかった事にしましょう。アイツとは関わりたくない」

 

 「そうですね、触らぬ変態に祟り無し」


 何も見なかった。誰もいなかった。そう、何もなかった。それでいいじゃない。


 依頼も達成出来て意気揚々と引き上げる。ギルドで依頼の報酬を貰うととりあえず宿屋へ戻った。


 「いやぁ、一仕事終えた後のひとっ風呂は最高ですなぁ」


 「はい」


 宿屋でひとっ風呂浴びたら次は飯だ。俺達はお揃いのヘボピージャージに着替えてジリスクの町を練り歩く。


 リヴァイアさんもヘボピージャージを部屋着としていたく気に入ったようだ。楽ですねと言っていた。普段執事服だからね。楽かろうよ。


 にしてもジャージに着替えるとそのナイスプロポーションが更に浮き出るな。特におっぱいはけしからんな。いつか成敗しないとな。


 相変わらずグルメ神獣でお馴染みのリヴァイアさんはめぼしい食べ物屋さんをチェックしていた。ルンルン気分で先導している。


 「ムサシ様、この通りを曲がった所にお肉料理のお店があるのですよ。今晩はそこでお食事をとりましょう」


 「……………………」


 「ムサシ様?」


 リヴァイアさんが返事をしない俺に振り返った時、俺はそこにいなかった。


 リヴァイアさんが先導しながらお店の紹介をしている最中、俺は突然闇に飲まれた。リヴァイアさんの叫び声、俺の名前を呼ぶ声だけ聞こえる。ただそれも徐々に小さくなっていき、俺は意識を途絶えた。


 

 「ここは……」


 俺の意識が戻った時、そこは見知らぬ部屋だった。部屋は結構広く何より目に付いたのは大勢の子供達だ。恐らく神隠しの子供達だろうと思う。全員寝息を立てている。


 部屋の扉には当然の如く鍵が掛かっている。ただこの鍵くらいならムーンライトで切断出来そうだ。


 でも俺一人逃げる訳にもいかんか。鍵壊して逃げたらこの子達どうなるかわからんしな。最悪口封じされちまう。


 そうこうしてると扉の向こうで物音がしてきた。とりあえず寝たふりしてやり過ごそう。


 扉が開くと一人の男が現れた。


 「このアジトもそろそろ処分ですかね。何やら赤い変態がうろうろしてますしね」


 赤い変態はさておき、アジトの処分? 処分する時この子達は? あまり猶予は無いか。薄目で男を確認すると、やはり勇者だった。

 


 アレクサンドル シコルスキー


 槍術4 槍による攻撃の技量が上がる


 獏4 他人の夢を吸収し力に変える


 影使い3 影を自由に扱える


 睡眠1 対象を寝かし付ける



 影使いに睡眠。これが神隠しのからくりなんだと思う。獏が神隠しで子供達をさらう理由か。


 今までどれくらいの夢を吸収してどれくらいパワーアップしてるかわからんのは怖いな。


 アレクサンドルが俺の枕元で立ち止まった。あら? 薄目バレた?


 「昨晩さらってきたこの子…… やはり子供にしては少々大きいですね。ジリスクの町も子供が減って来てますからね。少し年齢層上げたのは問題だったかも知れませんね」


 俺、子供扱いで拐われたのか? なんか情けなくなってきたな……


 「大人は睡眠が掛かりにくくて避けたいのですが仕方ありませんね」


 アレクサンドルは俺の額に手を当てると少し集中する。すると猛烈な睡魔が俺を襲い意識を失った。


 

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