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3 イノシシは強かった

 「超絶決戦最終裏秘奥義!ふぁいやーさんだーえれくとりかるとろぴかるごーるでんふぁいやーくらっしゅ!」


 ズバシュッ!! 


 ふ… またつまらぬものを斬ってしまった…


 「ただの薙ぎ払いですよね。あとファイヤーが二回入ってます」


 「的確な突っ込みありがとうございます」

 

 リヴァイアさんと言う武器にもなれる美人使い魔の恩恵により、この辺のモンスターは確かに大した苦もなく倒せる事がわかった。


 どうもステータス的には中の下ランク辺りの魔物までなら、単純に力押しでも問題なくいけるくらいとリヴァイアさんは言う。

  

 モンスターとはいえ命を奪うのに抵抗なかったのか? と問われれば………


 無かった。


 そもそも初対面で問答無用で殺されかけた相手になんの躊躇がありましょう。


 俺は別に善人ではない。ヘタレではあるが。


 幸いな事に大剣リヴァイアさんは切れ味抜群で嫌な感触なんかもほとんど無かった。


 「ゴブリン発見!成敗ぢゃ!」


 ズバシュッ!!「グゲーッ」


 こんな感じでサーチ&デストロイ。リーチのある大剣をカラーバットでも振るかの様に扱える腕力のおかげで、ゴブリンの攻撃はかすりもしない。

 

 おっと… 三匹か… さてどうする? ゴブリンが連携したりするか知らんが、囲まれたら厄介だよなぁ…


 「大丈夫です。私が援護します。いきましょう」


 俺が躊躇してるのを感じたリヴァイアさんが言ってきた。


 「え、はい、じゃあお願いします」


 なんだろう… 自分の使い魔なのに敬語使ってしまう… 綺麗だけどちょっぴり怖いんだよね、リヴァイアさん。


 まぁいいや、大丈夫ってんだから大丈夫なんだろう。まず手前で後ろ向いてる奴からだ!


 極力静かに接近するが、さすがにこちらを向いてるゴブリンには気付かれ、後ろ向いてる俺のターゲットゴブリンに志○後ろ後ろーとギャアギャア騒ぐ。


 後ろ向きゴブリンも振り向くが時すでに遅し、俺の横薙ぎの一閃がゴブリンを首チョンパしていた。


 「おまいはもう、死んでいる」

 

 だが大剣を大振りした俺は死に体。当然残り二匹が躍り掛かってくるも…


 パチュン パチュン


 突如、空中に現れた水の玉から水鉄砲? と言ったら可愛らしいが、弾丸の様に水弾を射出して両ゴブリンの眉間を貫いた。


 「ありがとうです。助かりました」


 そう、今の水弾はリヴァイアさんの援護。


 「どういたしまして。しかし今の様な状況で大振りはいけませんね。コンパクトに振るなどして次に対応する事を考えましょう」


 「すんましぇん、気を付けます!」 


 確かに不用意過ぎたね。なんかこう、地球で格闘技でも習ってたらもうちょい上手く立ち回れたんだろうなぁ… 


 と、そこで俺は気付く。


 他の勇者の中には格闘技経験者くらいいそうだよな、いくらリヴァイアさんの力でステータスアップしても闘いの技術や駆け引きはどうにもならん。


 対勇者はそのうち間違いなく来るだろう、この差はかなりまずいなぁ。


 「いかがなさいました?」


 急に黙りこくる俺にリヴァイアさんが話掛ける


 「いや、力押しに頼らんと、考えて闘わなきゃならんなぁと思いましてね」 


 それは良い心がけですとリヴァイアさん。続けて、


 「それと私には敬語は使用しないで宜しいのですよ? 使い魔と主なのですから。なんなりと命令して頂いて結構なので」


 「なんなりと、ですか?」


 「なんなりと、です」


 「じゃあ一旦人間モードに戻って下さい」


 「はい」


 リヴァイアさんは執事服のおねいさんに戻ると相変わらずの無表情でこちらを見ている。


 「それでは命令しますね、おっぱいを触らせて下さ…」

 「おぶっ殺しますわよ。お勇者様?」 


 そこには修羅がいました。


 今日一の満面の笑みを讃えた修羅です。あの鉄面皮の向こう側には阿修羅が潜んでいたとです。


 「お、おっぱい結構です」


 「宜しい」




 馬鹿な事をしていたら、日も大分傾いてきた。


 「リヴァイアさん、野宿は良いのですが御飯はどうしたら良いでしょう?」


 「狩りましょう。ゴブリンはさすがに食べませんが森に戻れば食材になる動物もいるでしょう」


 やっぱりそうなるか… ウサギやイノシシと言ったとこか? いやヘビやカエルもあるだろうな。


 正直、飽食文化日本で育った混じりっけ無しの現代人である。サバイバル知識は0だ。火すら起こせない。


 「俺、正直役にたたんと思いますけど」


 これも良い修行ですと、リヴァイアさんはテクテク森の中へ入って行った。


 

 「勇者様、そっちに追い込みましたよ、仕留めて下さい」


 「よ、よし、今度こそ!」


 プギーッ!!


 「ちょっ!動き速っ!! ぷぎゃっ!!」


 イノシシ? っぽい獣をリヴァイアさんが追い込んでくれるが、これが中々チョコマカとすばしこい。そして隙あらばタックルをしてくる。


 今はリヴァイアさんを装備して無いため、タックルも結構痛いのだ。リヴァイアさんは初等回復魔法を覚えているのでダメージは回復できるが…


 「ぐぬぬ… やりおるわいケダモノめ」


 「大げさな…」


 俺とリヴァイアさんは木の棒の先を尖らせたお揃いの即席槍を持っている。ペアルックだね。


 「いいですか、ギリギリまで引き付け思い切り突き刺すのです。ほら、来ますよ」


 「引き付けて…まだよ…まだよ」


 「今です!」 


 「おりゃぁぁ!!」


 ピギィィーーッ!!  


 俺の槍がイノシシの目に突き刺さった! すかさずリヴァイアさんが心臓目掛け突き刺す!


 小さな断末魔と共にイノシシは息絶えた。


 「きゃっほーい!捕ったどー!」


 「子供じゃないのですから」


 喜ぶ俺をよそに、そそくさ血抜き解体を始めるリヴァイアさん。うん。有能な使い魔で助かる。


 火起こしもリヴァイアさんはさらりとやってのけた。調味料など無いのでただ焼いて食べるだけだが、


 「こら美味いこら美味い」


 「そんなにガッツくと…」


 「ブフゥオッ!ゴフッゴフッ!」


 「何をやってるのですか… お水です」


 「ごくごく…ぷはっ! かたじけない」


 苦労して… いや本当、リヴァイアさん非装備時の訓練とした為、ゴブリン狩るよりよっぽど大変だっせいか、すこぶる美味い。腹もペッコペコだったしね。

 

 そして食べたら眠くなる。自然の摂理だ。


 「勇者様、お休みして下さい。私が見張りを致しますので」


 「いやいやいや、女性に見張りをさせるわけには」


 俺が言うとちょっとビックリしたような顔で


 「以外と紳士なところもあるのですね。少し見直しました。しかし大丈夫です。お休みして下さい」


 「じゃあこうしましょう! 代わりばんこ! 最初は俺が夜番。これは命令です」


 なら仕方ありませんねとリヴァイアさん。ちょっぴり、ほんのちょっぴり微笑んだ様に見えたのは気のせいだったのだろうか。

 

 そして転移初日の夜は更けていった……

 






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