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27 こんな時に勇者

         3日後



 俺は今大絶賛勇者バトルロイヤルの真っ最中だったりする。


 以前トロールグレートを倒した森の中をひたすら逃げ回っている。


 リヴァイアさんは未だに復活していない。こんな状態で勇者とはやり合いたくなかったのだが――

  

 時をさかのぼる事1時間程前、俺はどうにもやる気が出ないのでこの3日は日がな1日ぼんやりと過ごしていた。


 風牙討伐の報酬があるので金に困る事も無く、ギルドの依頼すらこなしていない。ルセルクの町はにわかに活気づき始めていた。翡翠峡谷の利権は俺にあったのだが町に譲渡したからだ。別に金儲けとか考えてるわけじゃないしね。むしろ管理とか面倒だしね。


 ただ、町の発展の為にとか、格好つけて無償で譲渡したのが不味かった。そうでなくてもこのところトロールグレートや風牙など大物を立て続けに狩って目立っていたのに、これでいよいよ町の英雄呼ばわりされる事になる。

 

 町の至るところで勇者様とか呼ばれ始めたのだ。まぁ実際勇者ではあるが。


 そして運が良いのか悪いのか、勇者に出くわす事になった。



 李 天祐


 剣術3 剣による攻撃の技量が上がる


 飛行能力2 自在に空を飛べる


 神剣ムーンライト



 年齢は25~6ってとこか? チンピラ然とした身なりをしている。ギフトも戦闘向きのが揃っている。

 今の俺は剣術2。リヴァイアさん無しじゃ到底勝てる相手ではない。そっとスルーしようとしたが、


 「いやぁ勇者様、この度は本当にありがとうございました」


 道行くおっさんが俺に話し掛けてきてしまった。


 李は口許をニヤリと歪ませると、


 「なんだテメェ勇者かぁ? それじゃおっ始めるとするかぁ!」


 言うなり火炎弾をぶっ放した!! なんとかかわしたものの、町中で炎魔法とか完全にぶっ壊れ野郎だ。着弾点から火の手が上がっている。


 町中は不味い。とりあえず町の外へ誘導しよう。




 ―――というわけで、この森まで逃げてきた。なぜここかって言うと隠れやすさだ。ジョンを倒して手に入れたギフト探索は、半径100メートルの動体を探知出来る。これを使ってこそこそやり過ごすのだ。


 「ちくしょうどこいった! 出てこいオラー!」


 飛行能力のギフトで空を飛びながら俺を探している。出て行くわけなかろう。さっさと諦めて帰りたまへ。


 「あーもうめんどうだわ。森ごと燃やしちまえ」


 マジかコイツ!? 


 李が両手を胸の前に広げると、両手の間に密度の高そうな炎の塊を造り出す。


 「みんな燃えちまえ!」


 造り出した炎の塊を眼下に投じた。


 イカれ野郎がトチ狂いやがって! 森は暖かいとか言ってた自然愛護のおっさんが卒倒するぞ!


 「だっしゃうらぁ!」


 カキーン!


 俺は飛び出て李の放った炎の塊を打ち返した。よし! 真っ直ぐ李に打ち返してやったぜ!


 「なに! チッ!」


 ゴバァッ!!


 李は打ち返されたことに一瞬焦るも、眼前に炎の壁を展開し、相殺した。かなり炎魔法の熟練度が高いようだ。


 「危ねぇ危ねぇ。つーかやっと出て来たか。ゴツい大剣ぶら下げやがって、さてはそいつがギフトだろ?」


 「………」


 「チッ! だんまりかよ。まあいい。俺もよ、剣術には自信があんだよ。剣だってヤベーのがあるぜ」


 腰に差していたロングソードを抜いた。鮮やかな光りを放つ刀身は明らかにその切れ味の高さを物語っている。ギフトの神剣ムーンライトだろう。


 剣術レベルで上をいかれてる上に、神剣なんぞ持ってやがる。挙げ句俺ときたらリヴァイアさんのステータスアップが無いから、重量のあるこの大剣を上手く使いこなせないでいる。まともにやり合って勝てる見込みは薄いだろう。


 まともにやればだが。


 「おーし、いっちょチャンバラといこうぜ」


 言うなり李は猛スピードで飛び込んで来る!


 ガギィィィィン!!


 李の空中からの一撃を剣で弾くと激しく火花を散らす!


 「スゲェな! 今のでたたき折れねぇ剣は初めてだ! ハッハッ! いいねぇ、次々いくぜぇ」


 ギィィン! ガギンッ! ガィィィン!!


 李は空中を素早く旋回しながら激しく斬りかかってくるも、なんとか弾き返す。


 「中々やるじゃねぇか! でもまだまだだな。こんなのはどうよ!」


 ガギッ! シュルン! スポッ!


 「しまった!」


 「これで丸裸だな」


 李の一撃を弾き返す瞬間、上手く受け流すように巻き込まれて剣を投げ飛ばされてしまった。


 「まぁこんなもんだろ。じゃあさっさと死んで貰うか」


 李は遊び飽きたと言わんばかりに飛び込んでくる!


 ズバァァ!!


 そしてすれ違い様に体を斬り裂いた!


 俺がね。


 「カハッ! テメェ! 何を!」


 俺の手にはロングソードが握られている。奥の手の異次元ポケットから取り出したのだ。


 でもしくじったな……… 仕止められなんだか。これで万策尽きてしまったな。


 「この野郎ふざけやがって」


 怒ってるなぁ。そりゃ怒るよなぁ。参ったね。


 こう言う時どうするか知ってる? そう! いつものアレさ! 


 「三十六計逃げるに如かずぅぅ!!」


 ズダダダダダダッッッ!!


 「待ちやがれダボがぁ!!」


 さすがに飛行能力持ちを撒くのは難しい。隠れてもまた森ごと燃やされかねないしな。


 飛ばされたリヴァイアさんを回収しつつ逃げ回って時間稼ぎだ。


 どうやら李には回復手段が無いらしい。血がダバダバ出てる。付かず離れず逃げ回って奴の体力を削り取ろう。と思ったんだが、


 ドン! ドン! ドン!

 

 「グハゥッ!!」


 背中に衝撃を受けるともんどりうって倒れ込む。どうやら炎魔法をくらっちまったみたいだ。


 「もう逃がさねぇぞ……ハァハァ……くそ野郎」


 かなりダメージは通ってるみたいだが、俺の方もまだ起き上がれない。ポ、ポーションを……ダメだ! 間に合わない! 


 李の手には既に高威力であろう炎魔法が練られていた!


 「ぶっ飛べ猿助!!」


 ドバァァァァツ!!


 「お前がな」


 今まさに炎魔法を撃ち込もうとした瞬間、李は真横にぶっ飛んで行った。



 

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