26 凱旋しても……
「リヴァイアさん! リヴァイアさん!」
リヴァイアさんはいくら呼んでも返答がない。剣を装備品していてもステータスボーナスも感じられない。勿論水珠も出せない。
まさか………消滅…… いや、まて、
「BOOK」
[使い魔1]
・使い魔を所持出来る。使い魔を武器状態で装備すると使い魔に見合ったステータスアップの恩恵が得られる。
所持使い魔
・名前 リヴァイア 腕力特化型 属性水
いや、消滅して無いよな! ギフトにあるし!
ただ眠ってるだけとかだろ! 力を使い果たしたとかで!
とにかく町に戻ろう、先に運ばれたヨルムさんの容態も心配だし。
リヴァイアさん無しはかなり不安なのだが、俺は1人峡谷を後にする。
ややもすると前方に人だかりが見えた。先に逃がした町民だろう。だがなぜ立ち止まっているのか。
「おい! どうした!」
俺は近づくと冒険者の1人に尋ねる
「あ! あんた無事だったのか! 風牙はどうした?」
「ああ。安心してくれ。倒したよ」
「何!! 風牙をか! あんた化け物か!」
「そんな事より、なんで止まってる?」
「それが、ヨルムさんが……今しがた……」
「なっ!?」
俺はヨルムさんのもとへ駆け寄ると、ヨルムさんがは黙って横たわっていた。
「おい! ヨルムさん! 何やってんだ! あんたが死んだらユッコちゃんはどうなる! 戻って来い!」
「気持ちはわかる! だがもうヨルムさんは」
「まだだ! おい! 心肺蘇生はしたのか!」
「心肺…… なぁ、そんなの神官様でも無理だぞ」
ダメだ、ネオピアの医学レベルに心肺蘇生が無いんだ! 俺だって大して知ってるわけじゃないが、
グッ! グッ! グッ! ふぅ~
「帰ってこい!」
グッ! グッ! グッ! ふぅ~
「まだ死んだらダメなんだよ!」
「おい! いい加減にやめないか! 死を冒涜するな!」
「何が冒涜だ! 死んだら仕舞いだ! 今足掻かないで何時足掻く!」
とはいえ、俺の拙い心肺蘇生では……AED!!
「おい! 電気ショックかなんかないか!」
「電気ショ? ああ雷魔法か? 無理だ誰も使えない。それに雷魔法なんざ使ったら身体が損壊しちまうよ」
クソッ、そりゃAEDなんかないよな。そんな都合の良い電撃なんて。
……あ! あるじゃねぇかご機嫌でクソッタレな奴が!
「なぁ! 今から最後の手段を試す! それでもダメなら諦める。だからもしヨルムさんが息を吹き替えしたらこれを与えてくれ!」
俺は神様印のポーションを渡し、少し離れるように促す。
さて、やるか。
「神様のビチグソやろう! 扁平足!」
その瞬間、場違いな程赤黒い稲妻が抱き抱えるヨルムさんごと俺を貫いた!
ゴガガガガガガガガガガガガッ!!
「アバババババババババババッ!!」
ぷしゅう~
お、おおお…… 効くぜぇ……
「ご……ごほっ」
「あ! ヨルムさん!? ヨルムさんが生き返ったぞ! さぁ、早くポーションを!」
神様印の特性ポーションを与えられたヨルムさんは徐々に呼吸が安定してくる。だが、まだ顔色は悪い。
「あんた、スゲェな。風牙は倒しちまうわ、死んだ人間生き返らすわ。で、その変なポーズは何なんだ?」
天罰を食らうと激痛のあまり、面白おかしいヘンテコポーズをとってしまうのだ。
「ほっといてくれ。若気のいたりさ」
久々に目からしょっぱい汗が流れたぜ。痛くて泣いたんじゃないぜ? 泣いてない。泣いてない!
「何にせよ助かって良かったよ。さぁ、凱旋しようぜ」
その晩ルセルクの町は大盛り上がり……とはいかなかった。色々まだ事後処理が残っている。
まずはラーマンだ。ギリギリ町から逃げ出す所を確保した。コイツのおかげで少なからずの死傷者は町民にも冒険者にも出たのだ。私刑にされるところだったが、目を覚ましたヨルムさんが止めた。
ま、こんなカスに手を汚すのもアホらしいわな。どのみち死刑は免れないらしいし。今回の件もヨルムさんの息子夫婦の件も合わせて罪を償うがいいさ。
「おかえりなさいお祖父ちゃん、お兄ちゃん。あれ? お姉ちゃんは?」
「ああ、リヴァイアさんは今暫く用事が出来て出掛けてるところさ。暫くしたら帰ってくるから」
「そっかぁ、良かったぁ、もしかしてやられちゃったのかとおもったよぉ」
本気で心配してくれてるみたいだな。良くできた娘だよ。
「じゃあまだお姉ちゃん帰って来るまでここにいるの?」
「うん。そうだね、それまでは町に留まるよ」
やったぁとピョンピョン跳ねて喜んでるが、俺は気が重い。
ユッコちゃん達と別れ、とりあえず宿屋へ宿泊する。リヴァイアさん復活までまたやっかいになるな。
だがリヴァイアさんが復活するのか全くわからない。このまま復活しない可能性もある。本人的には消滅もあるとか言ってたくらいだし。あそこまで温存してたのは冗談抜きにその確率が高かったのだからかもしれない。
いくら考えてもこればっかりはどうにもならんからなぁ。最悪1人でバトルロイヤルか。急に不安になってきたな。俺はもともとヘタレだもんな。今までが出来すぎだったんだよ。リヴァイアさん無しにどうしたらいいのか見当が付かない。
ダメだ、考えると悪い方向にしか向かない。なんか簡単な依頼でも受けて気をまぎらわそう。
冒険者ギルドの依頼ボードを眺める。
「やあ、あんたか! こんな依頼どうかな?」
オーガ討伐か、リヴァイアさん無しじゃパスだな。てか、リヴァイアさんいないと碌な依頼受けれないな。
「ちょっと気分が乗らないのでまたにします」
今日はもう寝よう……




