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22 旅立ち……出来ない

 「コケコッコー!!」


 「あひぃ~!! 起きます! 起きますから耳元で叫ぶのはやめてやめて!」


 リヴァイアさんによる素敵なモーニングコールで目覚めはバッチリだ。


 さて今日はいよいよルセルクの町を旅立ち、改めて諸国漫遊だ! 

 

 勇者バトルロイヤルは勿論だが、せっかくの異世界だ。純粋に旅を楽しもう。


 「実は俺、船旅って初めてなんです!」


 「はしゃぎ過ぎて落っこちないで下さいね」


 むぅ、信用度0だな。でも俺の事だからありそうなのが我ながら恐ろしいところだぜ。


 「よし、はんけち持った。チリ紙持った。いざ出発ぞ!」


 「その前に道場へ寄ってヨルムさん達に挨拶していきましょう」


 「がってん承知のすけ!」


 「また変な返事を」


 宿屋をチェックアウトすると道場へと向かう。生来の晴れ男気質、旅には持ってこいの上天気におのずとテンションもだだ上がりさ!


 ともすれば道場に着いたのだが……


 「はいはーい! 入門受け付け最後尾はこちらですよー!」


 「横入りしないでー!」 


 道場の前に結構な人だかりが出来ていた。それを3バカが整理してるようだが。


 「おい! アン、ポン、タン、これは何の騒ぎだ?」


 「あ、兄ぃ! 今朝から入門希望者が殺到してご覧の通りでさぁ」


 「つーか、兄ぃ何時になったら俺達の名前覚えるんすか!」


 「うっさい。兄ぃーな」


 「まったくです。ダンゴムシを舎弟に持った覚えはありません」


 「今日も絶好調でヒデェやリヴァイア姉ぇ!」


 「ハァハァ……それはそれで……」


 リヴァイアさんにディスられ過ぎて、何かに目覚めようとしてるのが一匹いるな……


 「ちょっと! トン君チン君カン君! 遊んでないでキチンと整理してよ! あ、お兄ちゃんおはよー!」


 奥からユッコちゃんがプリプリしながらやって来たが、俺達を見るや破願して抱き付いてきた。


 「はい、おはようさん。ところで入門希望者なんだって? これ」


 「そうなの、お兄ちゃんがここの筆頭門下生なのが知れ渡ったとかで。ほら、例のトロール件でお兄ちゃん一躍時の人なんだよ! それで早朝からこんな感じで、おじいちゃんとテンテコマイだよ」


 ありゃ、そいつは悪い事をしたな。


 「そうだぜ兄ぃ! 俺達まで駆り出される始末なんだぞ!」


 「それよりお前等の名前トンチンカンつーのな。アンポンタンと変わらねーじゃねーかケラケラケラ」


 「今知ったのかよ!」


 「後トンチンカンてつなげるな!」


 「そんな事よりさっさと整理の仕事をしなさい。蹴りますよ?」


 「ひぃ!」


 「蹴るのは勘弁!」


 「ハァハァ……リヴァイア姉ぇに足蹴にされる……ハァハァ」


 一匹完全にアウトな奴がいるな。その歳で目覚めるなんて。カンよ、勝利の栄光を君に。俺からの餞別の言葉だ。


 「と言うわけでお兄ちゃん」


 ユッコちゃんはパンと手を合わせると、


 「お願い! 手伝って!」


 う、そうきたか。うーん確かに人手足りないわなぁ。リヴァイアさんをチラリと見ると、コクりと頷いた。 


 「よし、わかった。手伝うよ」


 「本当! ありがとう! こっちお願い」


 ユッコちゃんに連れて行かれた先でヨルムさんが入門希望者の対応に追われていた。


 「ヨルムさんおはようございます。大変な事になってますね、少し手伝いますよ」


 「おおムサシか! すまんな、晴れの門出に水差してしまったの」


 「いえいえ、急ぐ旅でもないですから。そもそも俺達のせいみたいなもんだし」


 「そう言って貰えると助かるの。ではこっちの書類をだな……」


 結局お昼過ぎまで掛かってしまった。ようやく一息つけた俺達は遅めのランチを頬張る。


 「やっと片付きましたね」


 「おかげで将棋も指せんよ」


 うっ! すっかり将棋ジャンキーだな。


 「でもこれで道場も繁盛すると思えば良かったんじゃないですか?」


 「まぁの。おかげさんで最盛期以来の活気じゃわい」


 そんな中やや険しい表情のリヴァイアさんがいる。


 「ん? リヴァイアさんどうかしました?」


 「良い事ばかりでも無いようですね」


 リヴァイアさんの視線が垣根の向こう側を見やる。そこにはガラの悪そうな男が三人いた。


 俺と目が合うと、チッと舌打ちして去っていった。


 「なんだ? アイツ等?」


 「ふむ。面白く思わない人間もいるという事か。奴等はラーマン道場の者じゃよ」


 「その道場って確か」


 「ああ、息子夫婦をハメたラーマンの道場じゃよ。商売敵じゃからの、面白くはなかろうよ。またバカなマネをせんと良いのじゃが」


 なんかもう、全力で嫌な予感しかしないなー。ちょっとここで出発するのは不味い気がする。人手も足りない事だし暫く様子みますかね。


 「ヨルムさん、出発は後にしてもう暫く手伝いますよ。軌道に粗方乗ってラーマンが大人しくしてる確認が取れるくらいまでは」


 「なんだか申し訳ないのぅ」


  

 暫く道場を手伝う事となったが、正直人に物を教える様な柄じゃない。ヨルムさん等と話あった結果、俺とリヴァイアさんは二人で初心者組に基礎練を指南する事になった。


 基礎がおよそ身に付いた者は次のステップ。ユッコちゃんによる本格的な剣術指導に入る。


 そこも一通り習った者は最終段階のヨルムさんによる実戦的な剣術指導となる。


 基本的に初心者は少なかったので助かるな。教えるのは基礎だが、希望者には手合わせくらいはしたりもした。かつてヨルムさんに教わった事を思い出して頑張ってはみたが、どんなもんだろか。


 

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