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17 水鉄砲鬼ブッパ

 ヨルムさんの剣術道場は外観のボロさに比べて、母屋も道場も綺麗に手入れされていた。実際ここに住んでるんだしそりゃそうか。

 道場で木刀を渡されると構えてみてくれと言われる。 


 「こうでいいですか?」


 「うむ、……なるほどの、きちんとした基礎は出来てるかの」


 その基礎は昨日勇者ぬっ殺して手に入れたばっかです。などといったらヨルムジイサン心臓止まるかもしれんな。


 「では軽く打ち込んでみとくれ」


 カンカンカンと木刀の合わさる音が数合響き渡ると、 


 「うむ、結構じゃ。お主の技量は大体わかった。これは鍛え甲斐がありそうじゃわい」


 どうやらヨルムさんのお眼鏡にかなったようだ、俺の技量を推し量ると満足気な顔で頷いている。


 「これなら実戦的に教えてよさそうじゃ。ワシを倒すつもりで打ち込んでみとくれ。遠慮せんと本気でじゃ」


 年寄り相手に大人気ないとか一瞬でも思った俺がバカだった。ヨルムさんは昨日の勇者の剣術を遥かに凌駕した実力者だった。

 俺の打ち込みなど全て片手で切り払われる。そして隙あらば致命の一撃が寸止めで打ち込まれる。

 紛れもなく達人なのだろう。

 

 そして指南も上手かった。要所要所の大事なポイントを実に分かりやすく説明してくれる。

 一見ケチョンケチョンに伸されてるようだが、どうしてそうなるか? などがわかるとても為になる稽古を付けて貰った。


 「ざっと教えられる部分はこんなもんかの。後はなんと言っても日々の反復じゃよ」


 習ったものを実戦で活用出来るか否かは結局努力の積み重ねが重要である。ガキの頃から親にも教師にも言われてきた至極まっとうな話だな。


 「ありがとうございました。あの、もし問題なければしばらくこちらで稽古つけて貰う事はできますか?」


 俺はかなりヨルムさんを気に入ってしまっていた。正直、稽古は楽しかったのだ。

 中学生の時の部活動は、所謂頭ごなしの脳筋練習が正義の顧問だった為、辛い思い出しかない。

 指導者ってのは重要なんだなとしみじみ感じてしまった。


 「ああ、それは構わんよ。何せそれが稼業で道場開いてるもんでの」


 カッカッカッと快活な笑い声をあげ了承して貰えた。う~んシヴイジイサンだぜ。

 

 「やったぁ! それじゃあまた明日だね」


 ユッコちゃんも俺達を気に入ってくれたようだ。とても喜んでくれている。なんと言うか……


 「可愛い!!」


 ひしっ! 思わず抱きしめてしまった。


 「いい加減にしなさいエロオヤジ!」


 ズビシッ!


 リヴァイアさんのチョップとともに、皆の笑いに包まれた。



 ヨルムさんの道場を後にして、宿屋に戻るとおおよその修行プランを話し合った。


 「午前中はギルド依頼でお金を稼ぎつつの、水珠修行! 水珠に関してはリヴァイアさんが先生ですね。手取り足取り……ハァハァ……教えて下さいね」


 「まったく何の修行がしたいのやら…… では午後からは道場の方で稽古をつけて貰うでよろしいですね」


 「はい、ここらでガツンと地力を上げてやるのです! 待ってろ勇者ども! コテコテのパーにしてやんよ!」


 「限り無く悪人のセリフですね」


 やれやれ感満載のリヴァイアさんは放っておき、俺は新たな決意を胸に秘めたのだった。






 「水珠は結局、水魔法と大差はありません。ただ魔力を必要としないメリットだけが魔法と異なる所です」


 朝からリヴァイアさん先生のレッスンは始まっていた。しばらくは剣術は使用せず、水珠だけで戦う訓練をする事にした。

 訓練相手はお馴染みゴブリンさんです。徐々にモンスターも強くしていくつもりだがね。

 ゴブリンは繁殖力も高く、人や家畜を年中襲うから討伐依頼は後を断たない。ルセルクでも初級冒険者なら登竜門的依頼だろう。


 「魔法はイメージ。幸い俺は散々リヴァイアさんの水鉄砲見てきてるからイメージはバッチリさね」


 じじいの小便だった頃は大したイメージなんかしてなかったんだよね。水鉄砲のイメージ……イメージ……


 パシュッ!


 「あ! 出た!」


 「出せましたね。ただまだまだイメージが浅いですね。これだとゴブリンでも厳しい戦いになります」


 なるほど、イメージと言っても中々に奥が深い。より強くより速く。


 「ヨルムさんも言ってましたが、一朝一夕に出来るものではありません。硬度、速度、形状、一度に考えるよりは一つ一つ考えるのも良いでしょう」


 何しろ水珠に関しては世界一の使い手のレッスンも相まって、その日の内にゴブリン程度は危なげなく水珠のみで倒せる様になった。


 「ふぅ、こいつはお脳に負担が掛かりますね。魔法使いってのも大変なんだな」


 魔法使いに勉強家が多いのも頷ける。


 「でもですよ、イメージがしっかり出来てりゃ水珠ならとんでもなくエゲツない魔法放てませんかね? 所謂大津波だとか。魔力いらんのだし」


 「はい。なんだったら連発出来ますよ。全盛期の私なら大陸全土水没させるのに三日もあればいけるかと」


 恐ろしい…… 神獣の感覚ってのがいまいち掴みきれてないな、シレッと大量破壊をほのめかすんだよな。人はゴミの様なのかな?


 「ただ、魔力とは別に魔法力と言うものがあります。イメージした魔法を発動させる為の力量ですね。分かりやすく言えば、例え水珠で魔力が無限でも魔法力が0ならばどんなにイメージしても魔法を放てません」


 「なるほどね。強い魔法なら魔法ほど高い魔法力が必要なのか。魔法力も訓練してれば上がるんですか」


 「はい。一般的には。ただし勇者様の場合かなり特別な状態なので、なんとも言い難いのですが」


 「これも訓練続けて検証ですかねぇ」


 午前中のギルド依頼をこなしたら、午後からは道場で特訓だ!


 


毎度読んで下さってありがとうございます


下痢がひどくて便所から投稿しておりますw

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