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15 修行するぞー

 「とりあえず剣術のギフトがどの程度なのかを知りたい」 


 「そうですね、ではギルドで適当な依頼でも受けましょうか」


 朝食をとりながら、先ずは自分の実力をチェックして修行の方向性を決めようとリヴァイアさんと話し合う。


 で、ギルドに来てみたわけだが、依頼ボードには様々な依頼が来ている。港町だけに貿易なんかも盛んなのか他所のギルドより依頼数は多いと、受け付けのお姉さんが言っていた。


 色々な素材の収集やモンスター退治、荷運びの護衛などがごった返している。


 ちなみに依頼を受けるには金が掛かる。依頼の難度に合わせギルドが設定しているのだ。何でもかんでも手を出されて端から失敗されたのでは、仲介者のギルドがたまらんからだ。依頼成功時には返却され、失敗すると没収。これならイキッた冒険者も二の脚を踏む。

 ついでに言うと無茶な依頼を受けて冒険者が死なないようにと言う配慮もある。


 「その最たる依頼がこれです」


 リヴァイアさんがそう言って見せた依頼は、


 ・ネームドモンスター[風牙]討伐依頼

 

 「ネームドモンスター?」


 「モンスターの中には著しく強い個体が稀に存在します。長い年月を経て力を付けた者、突然変異の様に力を持って生まれた者。それらが確認されると名前が付けられます。風牙もウィンドライガーのネームドモンスターになります」


 「そんなに強いの?」


 「基本的には上位冒険者が複数とか、国が討伐隊を編成して当たるレベルです」


 「俺達には無理ですねぇ、こっちのリザードマン討伐依頼がせいぜいですかね」


 リヴァイアさんも了承してくれたので早速リザードマン討伐へと向かった。


 リザードマンはワニが直立歩行して、武器まで使うモンスター。水辺なら淡水、海水問わず生息するファンキーなやつだ。


 「ほいさっ! あらよっ!」  


 「前から思ってましたが、勇者様の掛け声って緊張感ありませんね」


 「ほっといて下さい!」


 掛け声って考えて言って無いからなぁ、地の性格が緊張感無いんだろうか?

 そんな事はともかく、リザードマン退治は実に順調である。剣術のギフトの効果は大きかった。

 先だっての勇者の様に剛剣をいなす様な真似は出来ないが、なんだろう? 剣を持つ手がしっくりくるというか、説明しづらいんだがより正確に剣を振れる。今までの力任せ剣術とはえらい違いだったのだ。


 「初等剣術とはいえ、基礎ってのは大事なんですねぇ」


 そもそものぶっ壊れ破壊力に技術が上乗せされるとこれ程か! リザードマンは集団でいるのも相まって、もうちょい手こずるかと思ったが余裕でした。


 「確かに見違える程に技術が向上しています。私もギフトが欲しいです」


 リヴァイアさんのお墨付きがもらえた。でもこれだとあんまり修行にならんな…… 当面は水珠中心に修行するか。異次元ポケットも上手く戦いで使いたいな。


 異次元ポケットも自在に収納物を取り出せるのだが、やはり戦闘中に上手く活用するのは難しい。どうしたって取り出すのに集中する一拍がある。

 この一拍はデカイね。先だっての勇者も乱発しなかったのはその辺だろうな。


 「あらかた一掃したかな?」


 「その様ですね、では戻りましょうか」


 リザードマンを一掃した俺達は異次元ポケットに死体を収納して町へと帰路につく。


 町に帰り、ギルドで依頼達成の報告やらリザードマンの死体を素材として売る手続きをすませる。

 ちょっとギルド内がざわついている。どうやら本来ソロ狩りする様な依頼じゃ無かったようだ。

 依頼受けるのに五十万ギル……そうそう、ネオピアの通貨はギルと言う。物価は日本とそう変わらないくらいと思う。で、五十万は高いなぁと思いながらも前にダネスさんに貰った金で足りたから受けたんだ。成功すりゃ良いんだし、失敗するわけないし。

 成功報酬も大枚百万ギル。素材換金も解体費用差っぴきでも二十万貰えた。冒険者チョロいぜ!


 「リヴァイアさん! お金持ちになりました!」


 「博打とかはやめてくださいね」


 「うっ!!」


 「やる気だったんですか……あなたはまったく……」


 飲む打つ買うは漢の嗜みなのに……


 「じゃあせめて美味しい物でも食べる!」


 「それは賛成です」


 何気に大食漢なんだよなリヴァイアさん。ほっそい身体の何処に入るんやろか?


 「私、この間目を付けてたお店があるのでそこに行きましょう」


 や、平静を装おっているがこの娘ウキウキぞ!

浮かれポンチぞ!


 ウキウキ浮かれポンチの先導でお店に向かう途中、


 「お前ん家なんて門下生もいない貧乏道場じやないかー」


 「やーい貧乏貧乏」


 「ケラケラケラ!」


 イジメだ。異世界ったってやはりこういうのはあるか。気分悪いな。三人の男の子に囲まれ女の子が泣いている。


 「これこれ、君達女の子を泣かせるもんじゃないよ」


 「なんだよおっさん! 関係ないだろ!」


 お、おっさ……


 「ハッハッハッ! [お兄さん]は泣いてる女の子をみすごせないのだよ」


 「なんだよエロオヤジかよ! キモッ!」


 グハァッ! キモいエロオヤジ! 精神的ダメージが…… おれは大地に項垂れる。


 「君達、このおっさんのキモさはともかく、イジメはいけませんよ」


 「うるせー糞ババァ!!」


 ブチッ!!


 「テメェ小僧! 誰に向かって口聞いてやがる! 沈めるぞ糞ガキ共!!」


 リヴァイアさんが子供相手に本意気でぶちギレると、ガチ泣きしながら逃げていった。あれ、大人でも泣くぞ……

 

 ガキ共が去って行くと、女の子がトテトテ歩み寄り、


 「お兄さん、お姉さん、どうもありがとう」


 「可愛い!!」


 ひしっ!と思わず抱きしめてしまった。


 「やめなさいエロオヤジ」


 ズビシッ!と安定のチョップが振り下ろされる。


 「暴力反対!」


 「愛のムチです」


 「アハハハハ! お兄さん達面白~い。ねぇねぇ、わたしお礼がしたいからお家に来てぇ」


 女の子が言いながら裾を引っ張る。

 リヴァイアさんにどうします? と目配せするが、


 「ねぇねぇ、行こうよぉ~」


 「仕方ありませんね、それでは案内して下さい。え~と、お嬢さんのお名前は?」


 「えへへ~、わたしはユッコだよ!」


 ひょんな事からユッコちゃん家に招待されることになった。



 

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