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月夜の雫  作者: 榊燕
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〜第四章入団希望〜其の二

     [月夜の雫〜第四章入団希望〜其の二]





「おかえり、さっきカラードルで簡単に話は聞いたけど詳しい話聞かせてもらっていいかい?」


 雫が屋敷に戻るとサラとクリスが食堂で紅茶を飲みながら待っていた。

 雫が入ると同時にサラがそう言って雫を促す。


「ああ、さっき軽く説明した所は除くとして、人数は全部で四十六名。E一人にD四十四名、Cが一人だ。テストとして依頼をこなしてもらおうと思ってる。」


 そう言って雫は先ほどの三枚の依頼書をサラとクリスに見せていく。

 サラはその依頼書を見ながら頷き、クリスは少し不安そうにその依頼書を手に取っている。


「そこのレイラルの依頼書をクリスをリーダーとしてDメンバー十八名、そのリストはこれだ。このメンバーと一緒に行ってもらおうと思うんだが大丈夫か?」


 雫はクリスに向け一枚のリスト表を手渡しつつ、そう尋ねる。


「……はい。確かに私自身少し不安なところもありますけどそれでもこの団のメンバーとして、副団長という地位につかせて頂いた責任もあります。無事にしっかりとやり遂げて見せます!」


 そう言っても不安そうなその硬さは抜けなかったものの、その決意はクリスの瞳を見ればどれだけ本気であるかが解る。

 まっすぐに、絶対にやってみせるという覚悟を持って雫を見つめる。

 それに一つ頷き、さらにもう一枚のリストを渡す。


「頼むな。次にサラなんだが、ライラとレイラルの討伐のその依頼書を頼む。他に今渡したリストのメンバD二十六名と一緒にな。クリスもサラもだが今回は依頼をこなすだけではなく、一応連れて行ったメンバーの動きやその覚悟、家の団に入れても大丈夫だ!と思える人だけを選んでくれ。人が増えればいい事も多いがそれ以上に問題が発生することの方が多くなる。そう言った事も考えて、少しずつでもいいゆっくりでもいいからしっかりした団にしていきたいと思う。その為に見極めだけは頼むな。」


 雫はそう言って二人を見つめた。

 サラとクリスは解ってるといった感じに頷いてその依頼書とリストを見つめなおす。


「まぁサラは恐らく大丈夫だろう、その人数と、その闇者であれば。何か問題になりそうなことや、気になるところとかあるか?」


「ああ、まぁあたしは大丈夫さ、あと残ってる依頼書ってなるとグリの討伐の依頼書か、それは雫が残りの二人を連れて行くってことだろう?まぁ問題って言うよりも確認だね、その二人雫が見た感じでこのメンバーの中では団に入れる可能性が比較的高そうな奴等ってことでいいのかい?」


 サラはそう言って、先ほど聞いたEとCの二人の事を訪ねてくる。


「そうだな。俺からみた第一印象だけどEの奴がコウという奴だ、見た感じの体つきとその意志はかなりのものに見えた。実際戦ってみないと解らないけどな。もうひとりのCのやつがビレイという奴だが、こいつは俺の噂が本当かどうか確かめたいといった感じだったな。かなり解りやすい挑発をしてきてたんである意味解りやすい奴だった。こっちこそ本当に一緒に行ってどうなるかわからないところだが……」


 雫がそこで言ったん言葉を切り、どう言おうか迷っていると。


「雫さんは実際楽しみなんですね。どこか期待しているような、楽しそうな感じが雫さんの口調から感じ取れました。雫さんがそう感じたのであればきっと大丈夫だと思います。だから変に言葉を選んだりしなくてもいいと思いますよ。少なくとも私たちには……ね?」


 クリスがそう言って雫に笑いかけてきた。

 少し驚いたようにクリスを見ると、顔を少し赤くしてうつむいてしまった。

 その隣でサラは「クリスの言うとおりだよ!」といって豪快に笑ってる。

 その二人を見て雫は、少し身体の力が抜けたのを感じた。


「……そうだな、サンキュー。確かに命を掛ける仲間に中途半端な遠慮は逆に変か。」


 そう言って雫も軽く微笑んだ。

 一通り細かい所を打ち合わせし、ちょうど話が終わったところにフィアナが紅茶を持って現れた。

 三人はその紅茶を飲みながら軽く雑談をし、少ししてから明日の準備にかかるため各部屋に戻っていった。




 目の前には四十二名の人間。

 男もいれば女もいる、冒険者たちだ。

 その冒険者達の前に立っているのが雫とクリスとサラだ。


「それじゃあ昨日話した通り、分かれてくれ!」


 予想より減った人数が少ないなぁと思いながら雫はそう声を張り上げた。

 実際内訳を説明すると、クリスパーティーが十六名。

 サラパーティーが二十四名。

 そして雫パーティーが二名。

 クリスの所で二名とサラの所で四名抜けただけでそれ以外は一応装備を整えて集まっていた。

 クリスのメンバーは比較的顔色がよく、軽口を叩き合っている姿がちらほらと見えるが、サラパーティーは顔色があまり良くない、本当に大丈夫なのか?といった感じでサラを見つめている。

 そんな中、サラパーティーに一人だけそんな奴等と違う雰囲気の奴がいた。


(へぇ……昨日みた感じだとあんな雰囲気感じなかったのに……俺もまだまだ見る目がねぇなぁ……でも、楽しみが一つ増えたぜ。)


 そいつを見ながら雫はそんな事を思っていた。

 身長はクリスと同じくらいでかなり小さいが、得物が弓。

 実際昨日あった時はどこかのほほん〜とした感じのイメージしかなかったその少女といってもいい位の子は、今この場に立っているとその瞳に宿る意志の強さをいやがおうにも感じる事ができた。

 身長は大体百六十あるかどうか位に、翡翠色の髪をツインテールにしており、昨日までは少したれ目がちだったその瞳は今は少し釣り上った状態になっている。

 姿はカチューシャに銅の胸当て、翠色のスカートといったいでたちだ。 

 サラもその子に気づいたらしくリストを確認している。


「ラマ=ラカールという子みたいだね、雫もさっきあの子見てたみたいだけど……結構いい感じじゃないかい?」


「やっぱりサラも感じたか……ラマって言うんだな、昨日みた感じだとただのほほん〜とした感じの印象の子だったんだが……俺も見る目がなってねぇなぁ……俺も今のあの子ならすげぇ楽しみだ。頼むなサラ。」


 二人はメンバーに聞こえないように小声でそんな事を話しあいながら、自分のパーティーのメンバー達に装備などの確認をしていく。

 サラとクリスは一人ずつ確認しているようで、まだ終わっていなかったが、雫のパーティーはただ二人だけなのですぐ終わった。


「コウ、ビレイ装備は大丈夫……みたいだな。ビレイお前は魔法使いだったのか……」


 二人の装備を確認すると、コウが刀のような刀剣に茶色のレザーアーマに脛当てと小手に似たレザー系の物。

 ビレイは漆黒のマントと青と白の旅人の服のような感じの服に、棒に蛇がまきついたような感じで下から渦を巻いている杖だ。


「そう言えば言ってませんでしたね。これでも今まで色々とこなしてきてますので、今回は楽しみにさせてもらいますよ。」


 雫のその言葉にそう返事をし、挑むようにこちらを見つめている。

 苦笑を洩らしつつ、コウを見ると、こちらはこちらで物凄く気合いが入った感じだ。


「雫さん!今日は頑張ります!よろしくお願いします!」


 そう言ってガバッと頭を下げる。

 こっちはこっちで大げさだなぁと思いながら苦笑を洩らし、サラとクリスも装備の点検が終わったのを確認すると、ディアの森に向けて歩き始めた。

 今回三人とも同じ森での戦闘なので、いざとなれば助け合う事が可能だ……という事も考えこの依頼を受けたのだ。

 実際今回は前回のように消耗をそこまで考えないでいいので、最短距離で歩いて行くと、一時間ほどでディあの森に着いた。


「よし!じゃーここで分かれるぞ!サラ、クリスくれぐれも無茶や無理はしないようにな。困った時はカラードルで呼び合うように。」


「ははは!それは雫あんたに一番言いたい言葉だよ。散々今まで無茶無理してきたのはどこのドイツだい全く。雫こそ危ないと思った時は呼んどくれよ!」


「そうですよ!雫さん程無茶な事を、無理な事をしてしまう人を私は知りません。本当に少しでも危険を感じたら呼んでください!すぐに駆けつけます。」


 注意をした雫だが逆に注意をされ頭を掻きながら参ったといった感じでうなづいた。

 三人がそう確認し終えると、各パーティーメンバーを連れて森の中へ入って行った。

少しばかり続く感じ何で一気にその後までアップします。

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