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 日が昇り始めたころ、薄暗い部屋の中でベッドから這い出る。


 体がいてえ、ベッドとはいえこんなんじゃな。


 部屋を出て、裏手の井戸で顔を洗い歯を磨く。

 その後食堂で朝食のパンとソーセージを食べ、焼かれたパンを貰った。


 宿屋を出たその足で、鍛冶屋に行って頼んでいたものを受け取りに行く。

 少し歩いて鍛冶屋まで行くと、既に起き出して仕事を始めているようだった。


 中に入って行っておっさんに声を掛けると、


「もうできてるぞ、持っていけ」


 と言われ、靴と5ミリくらいの直径の金属の棒を受け取る。


 靴の中に布を詰め、金属の当たり方を調整しながら履き心地を確かめる。


「うんっ」

(いい感じだ、意表を突く蹴りの威力が出せそうだ)


「ありがとうございます、ピッタリです」


「当たり前だ、伊達に長くやってねえよ」


 当たり障りのない会話をしながら、金属棒を脛に沿うように両足に、手の甲側の手首の中心から肘に掛けて包帯のように布で巻き付ける。


 簡易的な手足の防具が出来上がり、金属棒は全部で7本残りは何かしらに使えるだろ。


 金貨を巾着から取り出して渡し、釣りの銀貨を受け取って鍛冶屋を後にする。



 鍛冶屋を出るころには日が昇って町はすっかり明るくなっていた。

 人通りも増え、市場に集まる人の喧騒が聞こえる中冒険者ギルドに向かう。



 冒険者ギルドでも昨日見た時とは違い多くの人が依頼を受けて行き来するのが見える。


 建物内に入り、名前は思い出せないが昨日話した受付嬢を探す。

 姿を見つけたが受付に列をなして人が並んでいるようなので、声を掛けるのはやめておく。


 そうと決まればと考えて、依頼が貼られているであろう掲示板を見ているわけだが、

 …うーん読めん!!


 なんでか知らんが話せてるんだし何とかならねえもんかと思ってたんだが、じいっと見ててもうんともすんとも言わん。

 内容が頭に入ってくることもなけりゃあ、日本語に変わっていく感じも無しっ!!


 どうすっぺかなと考えていると

「ねえ、依頼を探してるの?」

 と声を掛けられる。


 視線をやると、これまた容姿の整った少女が恐る恐るといった様子でこちらを見ていた。

 服装からするとゲーム的に言うなら斥候やら盗賊みたいな軽装だが、手に持っている杖を見ると魔女だったりするんだろうか?

 金髪碧眼のアイルランド系みたいな感じだが明るい印象を抱くような顔立ちだ。


「うん、そうだよ。何か用かい?」

(なんじゃこいつ)


「実は私冒険者になったばかりで、一緒に依頼を受ける仲間を探してて、この薬草を採取する依頼一緒に受けてくれない?」


「あぁ、なるほど。お誘いは嬉しいんだけど、僕も昨日冒険者になったばかりなんだ。だから新人同士で依頼にいくとノウハウが分からなかったり、予期せぬ危険があるかもしれない。

 だから他に慣れてそうな冒険者を探したほうがいいと思うよ?僕も君もね?」


「た、確かにそうなんだけどっ!実は今まで何人かに声かけたんだけど断られちゃって…

 だから私と同じであまり慣れてなさそうなあなたに声を掛けたの。

 そ、それに!薬草のことならおばあちゃんに教えられて人より詳しいからっ、任せて!」


「そうなんだ!じゃあお願いしようかな?僕は薬草に詳しくないから心強いよ」

(断られたって嘘だろ?この街で見た中でも図抜けて美少女だぞこいつ。下心ある奴なんていくらでもいるだろ、街を出たところで襲おうって考えを持った奴に声かけられたっておかしくねえ。何か後ろめたいことがあるか狙いがあるのか裏があることに間違いねえと思っていよう)


 一応話がまとまり、依頼を手にして受付へ向かう少女についていく。

 そのまま受付で依頼を受け、一緒に街の外へ向かうことになった。




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