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過去一の読みにくさだけど、首を左に傾げながら「これは読めない」と笑って読んで欲しいです。

角度は50度位ですかね?

便宜上ゴブリンの剣士をゴブリンリーダー、ゴブリンの射手をゴブリンアーチャーと書きます。

やっぱり名称が無いと面倒くさいですね。


 突然の轟音に、浮足立つゴブリン達をリーダー格の2匹が指揮を執り、落ち着かせる。少数のゴブリンをその場に残し、騒ぎの中心へ群れを引き連れ向かう。


 黒焦げになった木の壁の穴からトラックほどの大きさの竜が顔をのぞかせている。

 その姿を目にし、逃げ惑うゴブリンたちを追いかけ、一口で捕まえ、呑み込んでゆく。


 そこへ駆けつけたゴブリンアーチャーが弓で遠くから射かけるが、硬い鱗に阻まれ注意を引くにとどまる。引き連れてきたゴブリン達に竜を半円状に包囲させる


 遠巻きに取り囲むゴブリンを見据えた竜は、大きく空気を吸い込むと、口から火球を吐き出す。勢いよく放たれた火球は弓を構えていたゴブリンを飲み込み、そのまま集落の家々に火が燃え移って行く。

 ゴブリンリーダーが、竜の眼前に大剣の切っ先を向けて構え、注意を引く。思い切り大剣を叩きつけるが、はじかれて生まれた隙を、ゴブリンアーチャーが一矢放ちフォローする。

ゴブリンリーダーの指示のもと、剣や棒切れを持ったゴブリンが横合いから突撃し、竜の胴や尻尾を打ち叩くが、竜は気にも留めず丸太のような尻尾を振ると、近くへ寄っていたゴブリンが数メートル吹き飛ばされる。


 一度竜の近くからゴブリンが離れると、アーチャーの合図で弓を持ったゴブリンが一斉に矢を放つ。

 ほとんどの矢がカンカンと音を立ててはじかれるが、極僅かだが鱗が生え変わっていないところや鱗の隙間に刺さっている。

 それを煩わしく思ったのか、竜がその脚に力を籠めると地面にひびが入り、次の瞬間には囲むゴブリンのもとまで突進してきた。

 大きな頭に吹き飛ばされたり、その足に踏みつぶされ、集落中のゴブリンが段々と集まってきてはいるが竜の侵攻を食い止めることができず、まるで目指すものがあるかのように竜は迷いなくその歩を進めてゆく。






 さて、囲んでるゴブリン減ったな。ひい、ふう、みい…と5匹?楽勝だ、瞬殺してやるわ。


 一つ大きく息を吸い込んで、痛みに対して覚悟を決める。ボロい壁をぶち破って駆け出し、最後の棍棒を投げて一瞬気をそらす。その間に端っこのゴブリンの元までたどり着き、頭を掴んで右足で両足まとめて払いながら、地面にたたきつける。


 足に力が入らないので、両手で地面を押しながら、隣のゴブリンの腹に体重を乗せて頭突きを食らわせる。倒したゴブリンの股間と顔をしっかりと踏みながら前に進み、次のゴブリンを倒れこみながら全力でぶん殴る。


 そのまま斜め前に、肩をつけて回転しながら受け身を取る。4匹目のゴブリンが振り下ろす棍棒を、左手で手首を、右手でゴブリンの肘を掴み、そのまま奥に押し込んでから下に振り下ろして転ばせる。


 掴んだ腕をゴブリンの顔の上に乗せ、その上から膝で体重をかけて押し込みながら、上から顔を何度も殴りつけ、反応が鈍ってきたら、棍棒を取り上げ、顔と首を狙って手早くとどめを刺してゆく。


 仲間に知らせに駆けていったゴブリンを追いかけ、足元に棍棒を投げる。少し狙いがそれたが、跳ねて足に引っ掛かり、結果的に幸運だった。


 転んだゴブリンに向かって走った勢いのまま、ジャンプして腰骨の部分に着地する。ボキッという音がして、立ち上がらないので、一度顔を蹴り飛ばして、大きな音のした方へ向かう。


 クハハハ、俺最強! 身体痛ってえー…が、明らかに腕力が上がってて気分が良いな!






 大きな音のした方へと 竜の歩みを食い止めなが

歩いてきたが、ここは集 らゴブリンの指揮を執っ

落の中心ってところか? て後退してきたが、突然

 広場に大きい木が生え 目の色を変えたように走

て頭蓋骨が取り込まれて りだした。

て?なんだそりゃ!?  すれ違いざまにリーダー

 !!?あれは!竜!? が切りつけ、僅かに鱗を

 マジか!居んのか!恐 弾き飛ばす。

竜とはちょっと違うがで  

けえな!すげえ!



 ゴブリンの集落の中心に生える熊の死体を取り込んだ木を中心に、集落への侵入者、竜、ゴブリンリーダーの三者が三角形に集まった。

 一本の木に向かって三者の体から光が延び、その中でも一本の枝の下に三本の光が集まり、何かの形を成していく。

 その間、誰も声を発することも身動きも取れず、ただ事の成り行きを見守ることしかできなかった。

 静寂の中、光は金色に輝く球状の果実となった。


 それを見た瞬間果実へ向かって、気づかぬうちに全力で走り始めていた。

 …あれ?俺何で走ってるんだ?いや、あれには何かがある!俺の人生が変わる何かがある!本能で確信できる。…視線が惹きつけられる。人生で最も強く欲しいと望んで、渇望している。


 その木の下に駆けつけ、低い枝に手を懸け体を引き上げて、目前にある黄金の果実に飛びついて枝からもぎ取る。

 その瞬間視界が暗転し、突然身動きが取れなくなるが、不自由な中果実を口元に持って行き一口かじり、意識を失う。






 果実が実を結んだ瞬間、竜も、ゴブリンリーダーも駆け出し、ゴブリンリーダーはゴブリンに竜の行く手を遮らせ、アーチャーが竜の目を狙って矢を放つ。

 妨害を物ともせず竜は先を進むゴブリンリーダーに火を噴く。避けるためにゴブリンリーダーが木から離れた隙に、竜はまとわりつくゴブリンを振り払って走り抜け、黄金の実の成る枝に向かってジャンプする。

 その瞬間、陰から実に向かって飛びついた人間に気づかぬまま、大口を開けてその実を丸呑みにする。








 …ここはどこだ?何も見えん、真っ白だ。自分の体も動かない?いや、体が無い、手足が見えない。


「ここに何故人間がいる?」


 突然誰かの声が聞こえた。


「なるほど…。そういう事か…」


 …勝手に納得されている。説明が欲しいが声も出せないな。


「ふむ、説明してやろう。私は神で、私に関わりのある力のある果実をお前が食ったのだ。」


 神か…。お目に?かかれて光栄です。


「ここにはお前の精神しか存在しない。お前からは分からなくてもこちらからは認識できている。

 かつて神界から2つの果実が失われ、その果実にはそれぞれ願いを叶える力と反対に願いを叶わなくする力があった。その果実が人のいる世界に散り散りに落ち、力も分散したものをお前が食ったということだ。

 その結果、お前の元の世界に戻るという願いが実現することがなくなり、お前の魂に残っていた世界間の繋がりが完全に切れたというわけだ。

 願いも状況も特殊だったことから私の神域に精神が引っ張られてきたのだろう。」


 は!!?どうして!?


「まあ憐れんでやるが、私に会えたことを光栄と思うがいい。もう二度とここに来ることはできないだろうが。

 まあいつか神殿にでも行ったのなら私へと祈りを捧げるといい、加護を与えることはないが、たまには目を掛けてやろう。」






目 く が 。 み に 溶 の だ も 無 絶

 開 壁 た 痛 腕 が き ん は は 、

を の い た 両 皮 っ た 俺 事 う る

 肉 て し と 毛 さ っ … る ろ や

と っ と る り 。 だ ? 戻 だ ? 体

 が リ や か た 何 夢 に 何 か 、

広 ピ を 掛 い い ? 界 。 の い ら

 リ 眼 が て た か 世 … る な 入

ピ に 液 め っ 実 の か て 出 が な

 腕 化 始 い 現 元 の し が 力 い

に 消 け は 。 う い 望 気 に な 。



 ゆっくりと斜めに傾いていた体を起こす。

 …何を落ち込んでいるのか、()()()()()

 「()()()()()()()()()」だとかそんな事を願っていいはずがない。

 強くなるという願いが潰れなかったことを喜ばなければならない。

 この俺様がただ元の世界に帰れないなんてちっぽけな事で絶望?挫折?そんな普通の事をして良い訳がない。

 俺は俺に諦める事も死ぬ事も許可した覚えはない。

 世界で最も偉い自分の言うことに従わないなんて有り得ない。



 フハハ、腹の中だなんて逆に幸運だ。サウナみたいに暑苦しくて、息が苦しい。

 さっさと胃をぶち抜いてこの竜殺してやるよ。ドラゴンスレイヤーだなんてカッコイイじゃないか!


 実際神に会えるなんてツイてるな、心を読まれるのは屈辱的で腹の立つ事だが、相手が神となると受け入れざるを得ない。

 自分の弱さに腹が立つが、その怒りはこの竜にぶつけよう。








 侵入者ごと果実を丸呑みにした竜は、そのまま木の幹に齧り付くと、木を噛み折る。

 倒れた木に、火を吹き、ある程度焦がして炭になった所を食べ始める。


 着地した瞬間を狙い、ゴブリンリーダーとアーチャーが同時に攻撃を仕掛ける。しかしほとんどダメージを与えることが出来ない。


 竜は焼いた木を食べつくすと、周りのゴブリンを捕食するためにゆっくりと歩みを進める。

 ゴブリンの命を懸けた攻撃で、ようやく鱗が一枚剥がれる程度のダメージしか通らず、尻尾で弾き飛ばされたり、踏み潰され、あっという間に多くのゴブリンの命が失われて行く。








 剣は一緒に呑み込まれてきたのか?手に持っていた気がするが…


 あ!少し離れた所で胃液に沈んでいる。拾い上げるとちょっとピリッとくるな。

 柄の部分を拭いていると、胃液の量が増え始め、何処かから大量の炭が入って来る。


 この竜草食なのか?!しかも焼いてるし…。

 と言うか俺は何でこの暗い腹の中で物が見えているんだ?しかも黒い炭だと分かるなんて、おかしいねぇ。


 肉体に変化が起きているな?

 あの果実にはデメリットだけじゃなくメリットが有ったって事だな。しかもデメリットも元の世界に帰れなくなるだけなんて、実質メリットしかないじゃん!やったね!


 その時、竜が激しく動き始めたのか、足元が揺れて立って居られなくなり胃液に顔を突っ込む。

 続いて斜めになった足場に転がされ、胃壁の凹凸に捕まりながら、炭の塊が奥に運ばれてグチャグチャになったゴブリンの肉片が呑み込まれて来るのを見届けることになる。

 クソっ!最低の匂いだ!味覚が有ったら胃液なんて最悪の味だったろう!









 集落にいるゴブリンの8割程の命が失われた頃、ようやく大剣による攻撃でまともな傷を与えられる様になって来た。

 大剣の振り下ろしで鱗を弾き飛ばし、竜の皮膚にくっきりと赤い線を残す。放たれた矢が、唸りを上げて何本も竜の体に突き立つ。

 傷を負わされ、始めて怒りを覚えたのか声を上げ、力任せに巨体を振り回し、近くによる物を吹き飛ばす。

 近づいていたゴブリンリーダーは、剣で受けながら飛ばされ、胴体や肩に青痣が見えてくる。

 遠くから射掛けていたアーチャーも、飛んで来る火の玉を避け切れず身を焦がし、皮膚が泡立ちボコボコに固まる。








 揺れてまともに立つことも出来ん!クソ、恥欠かせやがって…何としても殺す。

 心臓は何処だ?耳を澄ませ…


 駄目だ分からん!そんなの分かる訳が無かった。もう片っ端から切り裂いてやろう。


 胃壁に捕まり、片手で剣を突き立てる。柔らかな肉にうまく刺さらぬが、無理矢理に何度も突き刺すと、胃液の分泌だけでなく大量の血が溢れ出てくる。

 勢いづいて揺れが激しくなる竜の体内で、我武者羅に剣を振り回し傷を付ける。

 剣先が折れて短くなっても短剣のように突き刺す。

 流れる血に剣が流され、武器を失っても爪を突き刺し、肉に齧り付き、傷に手を入れ無理矢理引き裂く。




 突然苦しみだした竜の  胃の中で流れる血の量

様子を見て、暴れる竜か が段々と増えて行くにつ

ら距離を取っていたゴブ れて、血の流れる方向が

リンリーダーは、千載一 分かってきた。

遇の機会を逃すまいと、  血の流れや、リズムか

ボロボロの身体に鞭打ち ら脈拍が感じられる。心

、吹き飛びながらも近寄 臓の位置が分かるぞ。肉

っていく。       を掻き分け、傷を開く。

 何かにのたうち回り、  息も出来ない血の海の

大きく首を反らした竜を 中、脈打つ心臓へ力を振

潜り込み、大剣で串刺し り絞り、全力で拳を振り

にする。        抜く。



 心臓を拳で突き破ると、体内に大きな揺れが走り、急速に周りの温度が下がってゆく。

 急いで肉の海を掻き分け、胃に繋がる傷穴を広げて戻る。


 その時再び衝撃を感じ、竜が横倒しになったと理解する。

 僅かに見える光を辿り、狭い食道を広げて口の中まで這い出てくる。


 ハハハハハ!!やったぞ!俺は最強だーーー!!最早誰にも負けんっ!!

 竜を殺し、体内から現れ、生誕の試練を再び乗り越えるとはまるで英雄の様ではないか!

 外にゴブリンが残っているかは、分からんが残党狩りでも勢いのまま、虐殺の限りを尽くしてやるぜ〜い、イェーイ。



 くっ、口が重くて開かねぇ。竜の顎はデカいな、重いっ!



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