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 はあー、怖い怖い。やけに強そうなのも居るし、逃げるが勝ち…だ……。


 なんか逃げてばっかだな、気に入らない。たとえ怪我をしていようが調子が悪かろうが逃げなきゃいけないなんて俺の理想と掛け離れてる。

 いついかなる時もどんな相手でも勝てなきゃ生きてる価値が無いってのに。別に勝つ事を絶対視している訳じゃないし、負けなければ良いと考えてはいるんだけど、気に入らない物は気に入らない。

 イラッとするがそれで勝てる訳じゃない。今は逃げるが、いつか殺す。絶対殺す。俺…もとい俺様に怪我を負わせやがったんだ。ここのゴブリン皆殺しにしてやる。

 ふと思ったけど皆殺しって漢字一字で鏖とも書くけど、何で鹿と金何なの?漢字の成り立ちとか知ってると面白いよね。ハッハッハ。


 夢や目標を持つ事は大切だ。世界征服するって突拍子もないような夢でもいいし、短期的なそれこそゴブリン殺すって目標でも、向かうべき所が見えていた方が成長出来る。

 だから俺に怪我を負わせた糞共をぶち殺してやる。それを取り敢えずの目標として頑張って日々を生きていこう。


 臥薪嘗胆だよ、臥薪嘗胆。…四字熟語とか難しい言葉を使ってみたい気分だったんだ。


 まあゴブリン殺す事を目標にしたもののその為にはやっぱり強くならないと。

 今のままだと一生掛かっても勝てそうにない。安定した食糧供給が無いから遭遇した生き物を殺して食べるってのじゃレベルは上がるかもしれないけど段々弱くなっていくだけだからな。

 今は戦うのに支障はないけど傷の所はちょっと突っ張ってるし、細かい傷とか慢性的に続く痛みで気が散って隙になるかもしれない。

 傷を負わずに勝てるようにしないとな。筋トレを少しは続けてみたけどこれじゃ駄目だな。

 腹筋とか身体に筋肉が付いたように見えるけど実際には痩せてきてる。筋肉も付いては来ているが、このままだと痩せ続けて筋肉も落ちていく。筋肉になる栄養も筋肉を維持する栄養も足りてない。

 やっぱり筋トレするなんて間違ってた。筋トレなんてするべきじゃなかったな。筋トレなんてわざわざしなくても筋肉が付くような生活をするべきだった。無理に筋肉を付けようとして疲れるより体力を残しつつ、無駄の無い筋肉が付けられたらいいな。

 体は痩せこけてきてるし、爪は黒くなって縦縞が入りまくってる。常に空腹だったせいで空腹を通り過ぎて逆にお腹が空いてない。

 あー、爪切んないとな。爪切り無いけど。爪削るか?何か良い感じの石ないかな?


 そんな他愛の無いことを考えながら森の中を彷徨っていると…、

 本当はたあいじゃなくてたわいなんだっけ。間違えやすいな。

 まあ、そんなこんなで当てもなく歩いていると、突然広場のような場所に出くわした。

 一本の木が広場の中心に生え、その周りに色とりどりの花が広場を埋め尽くすように咲き乱れていた。


 うわー、凄いな。でも俺花そんな好きじゃないというかわりと嫌い。近くで見ると汚かったり、気持ち悪かったりするから。

 何だかよく分からないけど甘い感じの匂いがする。一回見た蜂みたいな虫が集まって来たりするのかな?花はこの森で見た記憶が無いぞ。ここみたいな花畑が他にも有るのかな?


 広場の中心の木に近づいて、その木を見上げると所々にリンゴ位の大きさの実が生っているのが見えた。


 うわっ!やった!久しぶりの死肉と雑草以外の食べ物だ。

 さてどうやって取ろうか。木に登って取るか石でも投げるか。木登りなんて小学校低学年にやった以来か?

 木…登れるかな?まあいい先ずはやってみよう。



▼▼▼▼▼


 行けたわ。以外と出来るもんだな。木の実は三つしか取れなかったけどな、高い所に生ってたり細い枝の先にあったりしたからな。取れなくても仕方がない。

 う~~ん、木登りの練習するか。もっと楽にパパッと木の実を取れるようにしたいな。

 今後の展望は後にして食べてみるかな。今さら毒が有るかとかパッチテストとか気にしても意味がない。毒が有ったとしても今直ぐ死ぬか後で死ぬかの違いしかない。ではさっさと食ってみよう。


 手にした果実を一口齧ると、シャクッと小気味良い音がなり、果汁が溢れだし少し青臭い匂いが広がる。

 そして驚くべき事に一口齧った途端、体の痛みが消えた。


 あれ、痛くない。枝に擦れた細かい擦り傷も戦いで負った治りかけの傷も痛くない!?

 ははっ、すげーすげーすげー!慢性的な痛みが無い。思いっきり体が動く。体が軽い!

 これは凄い物を見つけたぞ!無くなったら困るからこのまま幾つかは木の実を残しておこう。今食ってるのだけは食いきって、二つは持ち歩こう。

 この花畑を生活の中心にしてもいい位だ。砂漠のオアシスというか楽園のようだな。こんなのがあるなんて異世界感があるねえ。

 流石に広場のど真ん中で見つかりやすい所に寝るのは怖いかな。

 少し離れた所でちょっと眠ろうか……



▼▼▼▼▼



 うわーーーー!!!!

 ハァハァハァ。瞼の裏にオレンジ色の炎がちらついて眠れない。気にしていないつもりでも結構トラウマだったらしい。深く長く眠れないし、少しの物音で飛び起きちゃう。


 凄い……良い感じじゃん。少しの物音で起きられるように成りたかったし都合が良い。丁度良く直ぐに起きる訓練になる事柄が起きるなんて俺はやっぱりツいてるな。

 これを機に警戒しながら眠る能力を身に付けよう。



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