表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/41

17



 進めば進む程恐ろしさが際立っていくな。死体やら血痕やらを辿って歩いて来ているって言うのにもう暫く歩いた。ゴブリンの数は百を超えるんじゃないか?

 怖ーよ。百匹位の軍隊を出せるようなゴブリンの群れがいることも、それを蹂躙出来る程強い化け物がいることも。マジヤベーじゃないですか~。そんな森に居たなんておっそろしくてたまらないな。アッハッハッハ。百匹程度で軍隊と言うのかは知らんけど。


グラッ


 視界が傾き、堪えきれず膝を着く。嘔吐きながら木に手を着き体を支える。何度も回転した時のような気持ち悪さを感じ、地面が傾いていると錯覚する。

 四つん這いになって口から僅かに溶けた肉を吐き戻し、逆流してきた胃の内容物を鼻をかんで出す。

 鼻の奥に酸っぱい臭いが残っているのを感じつつ、スッキリした心持ちで再び歩き出す。


 やっぱり体調悪いな。毒でも塗ってあったか?でもきっと大丈夫。俺は特別な人間だからな~。フフン。


 軽やかな足どりで鼻唄混じりに進む。そして堪えきれないといった風に突然笑い出す。


「フフッ、フフフフフ。ハッハッハッハッハ!!ハッハッ…………ハァ……」




 気分…良かったんだけどなあ…。自分を騙くらかしてなんとかやって来てたのに、やっぱり不安やストレスが多いなあ。わざと笑ったりしてみても長く持たない。

 たとえ生きるのが厳しい状況でも出来る限り楽観的でいたほうが良い気がする。妄想だけでも良いこと起きると思ってないと辛い。自分も元々ネガティブな方だと思うけど、ネガティブするにも状況をわきまえてからやった方がいいよ。俺の経験則から言うと。

 森で暮らすじゃないけど都会から離れて過ごしてみると、自分今までの生活の豊かさに気付く。ネガティブ思考が出来る余裕があるってのは恵まれた事だったんだなあ。

 この世界の全ては脳が電気信号を受けて感じていて実際には存在しているかどうか分からず、脳が錯覚しているだけ。みたいな話があったような気がするけど、とりあえずそれが本当かどうかは置いておいてこの世の全ては自分の認識次第だ!!と思っている。

 五感から受ける刺激で世界を認識しているなら自分の認識を変えれば世界を変えられるんじゃないかと思う。魔法ってのも意外とそういう物かもね。まあ自分でこれから都合の良い状況になると世界を変える程に思い込めば世界も変わるさ。

 やっぱり何事も自分次第だな。絶対とは言わないが。さっさと状況を変えて俺つえーとかやりたいんだけどなー。


 さっきまでよく使っていた気がするという言葉の気は漫画でお馴染みの気と同じような感じで、道教から来た言葉だった!はず。

 そういえば道教の考えで結構好きなのがあったんだよなー。確か世界は一つの気で、様々な物の中と外で区切りを作っているが世界は元々一つの気である。一人一人比較的陰の気であったり、陽の気であったり、明確に陰と陽ではない。

 みたいな感じかな?前に本を読んだけど記憶があやふやだから不完全だな。まあそれで気という漢字は元は氣だった、て言うのを本で見てへーって思ったというお話。

 ま、まあこういうのは何が正しいとかじゃなくて、こういう考え方もあるんだな~と思って、自分はこれこれこういうのが正しいと思う。とか確かにこれは正しいな。とか自分で考える物だ。

 だからあんまり覚えてなくてもいいんだ!言い訳じゃないぞ!本当に言い訳じゃないからな!





 頭を働かせてフラッフラなのを誤魔化して来たけどもうそろそろ何かしらあるだろう。



 視線の先には木々の隙間から光が差し込んでいる。

 視界に飛び込んできたのは、木々が吹き飛んで来たのか様々な所に木が落ちていたり、突き刺さっている幾つもの住居の姿だった。

 簡易的な木の柵に囲まれて幾つものあばら家と言っても違和感の無い程ボロい家がたくさん建ち並んでいたのではないかと推測できる光景が見える。

 木の柵は一部分が分かりやすく吹き飛んでいた。そして似たような姿形の幾つものあばら屋はひっくり返っていたり、半分無くなっていたり、台風の通り過ぎた後のような有り様だった。

 そしてその奥へ視線を送るとおびただしい量の血が小さな川のように流れ、ゴブリンの死体の山が築かれていた。

 これだけの死体の山をみるとゴブリンは全滅させられたのかと思ったが、それでもまだ数十匹はゴブリンの姿が見えた。

 そして、その巨体から大きな存在感を放つ、とてつもない大きさの熊が目に入る。その熊は真っ黒の毛皮にはハリネズミのように大量の矢が突き刺さっており、右前足と頭を切り落とされて大地に横たわっていた。

 その脇には2メートルは優に超えそうな大剣を地面に突き立て、熊の死体にもたれ掛かる大柄で筋肉の発達したゴブリンがいた。



 ……隠れよう。ゴブリンの姿が確認出来る位近いし、思ったより森に近い位置で戦ってたんだな。もっと森から離れてやれよ。気付かれたらどうするんだ。

 さっさと逃げよう。走れないし、早足も出来ないけどな。

 …帰って寝る。



 …←これよく使うけど三点リーダーって言うんだぜ!知ってた?テストには出ないけど、見た目的に寂しい時には重宝するよ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ