11話
いやー戦うのって楽しいなー、負けるのは楽しくないけど。やっぱ勝つと嬉しいね、達成感があるよ。
戦闘にはかなり恐怖心があるけど…痛いのは嫌だし、死ぬかもしれないからなー。それこそ平和な日本に生まれたから喧嘩なんてした事も無かったからなー。
こういう形の戦闘で相手を殺すのは初めてだけど何か興奮するなー、楽しい楽しい。
生き物を殺す事に傾倒するほど楽しくはないけどね。快楽殺人者になるつもりはない。生死の懸かった戦いっていう非日常な事態に興奮してるだけかな?
何だか高揚感があるけどフィクション作品であるような殺しに酔うってのに近いかな?分からないこともない気はするけどそこまで嵌まる事でもないしな、殺しに酔うとは違うな。
何がこんなに楽しいのかなー?自分が死に近づく事で生きてる実感が湧く。
今まで16年生きてきたけど自分の生きる意味が分からないし自分の生きている価値が見出だせない。俺が居なくても世界には何等影響が無いと考えると生きる理由が見つけられない。
ただ死から逃れようとする時にだけ自分が生きる事を肯定できる。死に近づけば近づく程に生きているという事の有り難さを感じられる。だから楽しいと感じちゃうのかね、…まったくイカれてんな。
まあ全部どうでもいい事だな。こんな風に思い悩むのも思春期だからだな、この年代の悩みは全部思春期だからで説明できるからな。まず生きる意味なんて考える必要なんてない事柄だしな。生きる事に意味を求める事が間違ってるし、意味なんて無くたっていいんだよ。意味が有ろうが無かろうがただ生きてくしかない。
小さい子供の頃は生きる意味なんて考えず毎日楽しく過ごして、思春期になって自分の価値やら何やらに迷う様になって、思春期過ぎたら適当な答えを自分なりに出す。それを過ぎてオッサンになったら自分の出した答えだって捨てて生きていって、ジジイになったら人生に答えだなんだを求めないでもっと簡単に考えてればいいって分かる。自分の予想ではね。
人生なんて適当でもいいんだよ。人間万事塞翁が馬、成るように成る。というより世の中の事は成るようにしか成らないんだから。人に出来る事にはどうやっても限界が有るんだから楽しく行こう。
真剣に悩んでる事でも後から振り返って見れば大した事でも無かったりするんだから、悩める内に悩んだ方が良い。若い内に色んな事を経験すれば後々役に立つ事もあるだろう、若い内にしか出来ない事もあるもんだ。
ハイッ!悩み終了~。実に時間の無駄だった。
しかしゴブリン殺すのに随分手間取ったな~やっぱり筋肉が足りてないんだなー、筋肉。とにかく筋肉さえあれば大抵の事はなんとかなる。持論だけど。あと立端もないからなあ、ちゃんと早寝早起きの生活習慣を心掛けていたらもっと身長伸びてたかな。今更後悔しても仕方がないのだけど。まだ成長期だから希望はある。身長は175cmぐらいは欲しいな。
ゴブリンが持ってた物はちゃんと回収しとこう。手入れされていないのか錆のある片手剣。太めの木の枝をそのまま使った棍棒二本。他に何かないかゴブリンの身ぐるみを漁ったけとボロボロの腰ミノしか無かった。そういや、一応股間は隠すんだな、急所だからかな?
ゴブリンの死体が三体残っているけどこれどうすっかなー。かさばって邪魔だなーどうしよっかなー、・・・うーん捨てるとしてもどうやって捨てるか何処に捨てるか考えないといけないし火に入れてみても燃え尽きるかは分からないしなー。捨てるのも焼くのも何か嫌なんだよなー。
最初から頭の片隅にはあったけど・・・・うーん・・・食うか。
命を奪っておいて死体を捨てるだけってのも失礼な気がするから殺した相手へ敬意を払うという意味も込めて食べよう。人型だから忌避感があるといってもサバイバルだから、甘ったれた事は言わないよ。
だっていただきますって食事の前に言うのは、命に対しての感謝の意味があるからね。ちゃんと命へ感謝して食べますよ。最近いただきますを言わない人がいるけどそれはどうかと思うね。みんなはどう思います?みんなが誰かは分からないけど。
食べるとしてもどうしましょうかね~。それなりにデカイし汚ぇし。とりあえず解体そうかね。
解体の仕方もねぇー平凡な高校生には分からないんだよねー。普段から動物の解体して解体に慣れてますっていう高校生どれだけ居るよ?ほぼ居ないでしょ。まあ漫画でちょっと読んだ程度の知識で何とかやりますよ。やってやりますよ。
鎖骨の間の骨が無い部分から正中線に沿って真っ直ぐ切る。皮を開いて肋骨の真ん中を切って骨を開く。
うわー超気持ち悪い。映像で見るようなのとはさすがに違うなー。匂いがあるのが違うのかな?精神が弱い人が見たら一生肉食えなくなるんじゃないか?それに時間が掛かりすぎてる。皮は多分剥がさなくても食えると思う。さっさとやらないと。
内臓を切って取り出して関節部で腕と脚と胴体と頭に分ける。内臓は開いて中を川で洗う。首を切り落として全部川に沈めておく。そうして三匹分解体して川に沈めた。
疲れた。あー面倒だ。倒しただけで勝手に解体される様なチート能力持ちの主人公が羨ましいぜまったく。ヤバい火が消えちゃう。今ある分だけだと足りなくなりそうだしさっさと薪を集めて来ないと。
薪を集めて来て肉を一つずつ火に入れていく。
もう味なんてどうでもいい骨すら残さず食ってやる。そう意気込んでみたものの筋ばっていて食べにくい上に生臭くてとても不味かった。一応全部焼いてみた。そして頭はどうしよう。これはどうやって食うものなの?皮剥いで骨砕いてから食べようかな。脳味噌も目も一応食べられた。何度も吐きそうになったけど、口の中まで戻って来た奴を耐えてもう一度飲み込んでやったぜ。めっちゃ苦しかった。
そういえばアミニズムで相手の生命力を取り込むために魂の宿る心臓と肺を食べるっていうのをやってたんだっけ。これ食ったらHPが上がるとかあんのかな?お腹一杯だから今は試さないけど。
この大量に残った諸々を拠点に運んだら今日はもう寝よう。
「グエッ」
痛ってー。寝返りを打って石が刺さって目覚めるって酷い目覚め方だな。朝っぱらから気分が悪い。腹が減ったから不味い肉でも食べるかな。やっぱり不味いがあんまり贅沢も言えないな。でもこれで少しの余裕が出来た。
今日は肉と武器を持って体を洗ってから獣道を探索だな。やっぱり肉が不味く思えるのは見た目が悪いからだな、もっと細かく切っておこう。切れ味が悪いから断面グチャグチャだけど。
未だに四日目だという事に恐怖を覚えるけど何日経ったか忘れないように壁に正の字を書いとこう。




