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10話

 木の陰から出てきたのは緑色の肌をして130㎝程の小柄な体格で大きな鷲鼻で醜悪な顔つきをした人・・・アニメやゲームでよく見るスライムと並ぶ雑魚モンスター、いわゆるゴブリンだった。

 うわ、ファンタジーだなぁ。ゴブリンだよゴブリン。当然の事だけど初めて見た。小柄で鷲鼻で醜悪な顔…これだけだとただの小さい不細工なオッサンで普通に居そうだな。違いは肌の色ぐらいか?まあ本当にゴブリンっていう生き物なのかは知らんけど。

 ゴブリンって何だっけ?妖精の一種何だっけか。そこまで悪者でもなかったのかな。何でか分からないけど卑怯で狡猾なイメージがある。あと繁殖力が強くてエルフとか女騎士との絡みがあるイメージだ。イメージだけだと人間とそんな変わんないな。


 一匹?一人?どっちか分からんが…一匹だけでなくさらに後ろから現れ、結局三匹出てきた。

 こいつらは敵なのか?戦いなら先手必勝で仕掛けたいんだけど、ゲームとかのイメージそのままのゴブリンならそれでもいいんだけど、異世界の文明を築いている人がただゴブリンっぽいだけだと意志疎通をとらないと…。ただ意志疎通をとろうとして、もしこいつらが悪いイメージ通りのゴブリンだった時言語翻訳のスキルがゴブリン語とかで固定されたら本当に詰む。森から出られなくなる。マジでどうしよう。とりあえず様子を見るコマンドで。

 まず何でここに来たんだろう。偶然か?焚き火の時の煙かな。迂闊だった。これからはもう少し考えておかないと。


 三匹並んだ仮定ゴブリン達は、揃ってボロボロの腰巻きを身につけていた。真ん中の奴だけショートソードと言われるような錆びだらけの剣を手に持っていた。それ以外の二匹はギリギリ棍棒と言える太い木の棒を持っていた。

 

 あれ、真ん中の奴首に何か掛けてる。あれはなんだ?さっきからゲギャゲギャ言っててうるせぇなあ。鳴き声はゴブゴブじゃないのか!うん?あの首から提げてるやつ耳だな。人間の物らしき耳に糸を通してネックレスにしてやがる。3つ耳があるけど一つだけ右耳だな。その右耳だけやけに福耳だから、同じ人の両耳を取った訳じゃあないってことだな。何で一つだけ右耳?揃えないの?取れなかったの?ちぎれたとか?

 今気にする事じゃないな。少なくとも三人は殺したか、耳を切り取るなんて事をしてるってことだ。

 高校に入ってから合気道を習い初めてたけど、一年もやってないし形はある程度解るが、天才じゃないから実戦で使えるかは分かんねぇ。もっと早く習い始めれば良かった。まあ合気道は難しいから実戦で使うのは難しいし、戦闘経験が足りなさすぎて使えない。型稽古しかしてないし、そのまま型が使える状況なんてほぼ無い。型稽古もどんな原理や動かし方で関節を極めているかとか相手の崩し方を覚えるための物だから当然っちゃ当然か。部分的に動きを入れたりただそのまま型を使うんじゃなくて状況によって応用するならかなり実戦向きだとは思う。


 まあ悪いゴブリンっぽいな。あんな残酷な事をしてるような奴だ、殺しても問題ないだろ。・・・あるかもしんないけど。戦闘になるかな?これまでの人生で殴り合いの喧嘩なんて一度もしたことがないし・・・


 すっげぇワクワクする。ああ、楽しみだ。ずっと人を殴りたいと思ってたんだ。合気道を習い始めたのも一時期筋トレをしてたのももし喧嘩になった時に勝てるようにするためだし。筋トレはあまりにも喧嘩がないから止めちゃったけど。生き物を殺したいっていうんじゃなくて、戦いたいってだけだけど、本当に此処でサバイバルをして生きるためには生き物を殺す事にもっと慣れないといけないと思う。人間だって場合によっちゃあ殺す位じゃないと。

 うわっ!あいつら石投げて来やがった。さっきからあの仮定ゴブリンああ面倒くさいゴブリンでいいや、ゴブリン同士で話してたけどこっちに話しかけようとはしてない。危ないなぁ、なんて事するんだ。殺すぞ。


 ゴブリン達はこっちを半円状に取り囲むように近づいてきた。剣や棍棒をこっちに向けて威嚇するように振り回している。


 これはもう完全に俺を殺す気だな。殺さなくても敵対的だ。殺気なんて感じ取れないけど刃物を向けて来るってことは殺意ぐらいはあるんだろう。殺意なんて向けられる経験はないから少しは怯むな。でもそれ以上に殺意を向けられて楽しくなってきた。戦闘経験はないが、戦ってみよう。


 右足を引いて踵で地面を蹴り出して弾くように一番左のゴブリンに向かって走り出す。走る勢いを乗せたまま跳躍し、右足で飛び膝蹴りを顔に当てる。


グシャ・・・ズザザッ


 飛び膝蹴りを当ててそのままゴブリンの左側に抜け、着地するが上手く着地出来ず左膝と左手を地面に手を突く。

 直ぐに立ち上がり真ん中のゴブリンの方に走る。真ん中の奴は右腕を振り上げ、ショートソードを降り下ろそうとしていたので、左腕でショートソードを降り下ろせないように肘を抑える。そのままの勢いで腰を回して殴る。直ぐに右脇に抜けて後ろから膝を蹴る。

 三匹目のゴブリンに向き直ると、棍棒を降り下ろして来ていた。右手の手刀を手首に当てて体ごと腰を回して腕を開き、右に受け流す。そして右膝蹴りを入れ後ろに回り、速さを重視して腰ごと体を回すつもりで両手で連打を打つ。最後に前蹴りをして一度離れる。

 最初のゴブリンがもう立ち上がってきたのでそちらに向かい、大振りに腕を振りかぶり、殴りかかって来ると身構えたゴブリンの足を全力で踏む。足を踏まれて反射的に頭が下がったので反対の足で膝蹴りを、腕で肘打ちを入れた。そいつを突き飛ばし後ろのゴブリンの様子はどうかと振り向くと、剣を持ったゴブリンが剣を降り下ろす所だった。咄嗟に腕で防御する。


「痛っ…てー!!!痛い痛い痛い痛い痛い!痛ったーー…く慣れた‼」


 痛みに叫びながら鳩尾を狙って蹴りを放ち、距離を取る。痛みを大声で叫ぶことで紛らわし、剣を受けた所を反対の腕で圧迫すると痛みが落ち着いてきた。

 切れてはいないな。やっぱり3対1はキツいな。170いかないぐらいの身長しかないけど相手がさらに小柄だからその体格差とせ先手を取ったことで怯んだ隙をついたからいい感じに戦えたけど一度攻撃を食らっちゃったから、立て直す隙を与えちまった。相手にちゃんとした武器があるっていう武器の差も大きい。一対一なら石でもいいんだけど数で負けてるからパターンが減りそうな石を使えない。打撃ではちゃんとダメージを与えているけど戦闘不能には追い込みにくい。こっちの方が押してるとは思うけど下手に攻撃を食らったら一撃で状況が引っくり返る。


(あ~、楽しい。死ぬかもしれないっていうのに、楽しくてしょうがない。死に近づく程、生きてるって実感できる。恐怖もあるのにすげー興奮してる。楽しい楽しい楽しいッ!!!」


 ああ一度落ち着かないと。こんな本気になれる事今まで無かったし、非日常な体験で興奮しちゃったよ。

 左にいた奴は結構鼻血も出てふらふらだから後少しでいいとは思うが他二匹はまだダメージがそこまで大きくない。

 左のゴブリンに向かうと他のゴブリンが割り込むように動いていたので右側のゴブリンに対象を変え、体勢を低くして足を蹴る。転びはしなかったが体勢を崩した。体を起こし顎を狙って肘打ちを入れ、膝で金的を打つ。効いているようなのでゴブリンに性別があったのかとかこいつは雄なのかと考えながら腰を落とし、肩があたるようにタックルして後ろに倒す。

 剣を持ったゴブリンがさっきのゴブリンでできた死角で回り込んで向かって来ていた。

 こちらに向かって走りながら剣を右から左へ振り抜こうとしていた。これはかわせないと思い、前に飛び込み剣が当たらない距離まで近づくが、脇腹にゴブリンが振った腕が当たった。

「グフッ!」

 息が漏れたが、耐えて額の部分で頭突きする。そしてゴブリンの両耳を両手のひらで叩く。鼓膜が破れたのかふらついて、肘打ちをするとバランスを崩し倒れた。

 もう一匹はダメージが抜けていないのか動きが遅いので肺が痛くなるぐらいに空気を入れ、ゴブリンの耳元で

「わっ!!!!!」

 と大声で叫び、怯ませた。そして手のひらを開いて腕を大きく振り、手を顔面に引っ掛けて引き倒す。倒れたゴブリンの首を踏みつける。


ゴリッ


 首の骨が折れ、泡をふいていた。やっと一匹か、放っておいても直ぐに死ぬな。

 右側にいたゴブリンが立ち上がっていたので急いで駆け寄り、右の抜き手で、ゴブリンの片目を潰す。


ブチュッ


「ギャアアアーーーアガッ!!!」


 うわ、気持ち悪い感触だ。目を潰された痛みからかゴブリンが叫んだが、すぐに手を引き抜き左手で顎をアッパーで打ち、大きく踏み込んで全力で顔を殴る。そのままゴブリンは仰向けに倒れこんだ。倒れたゴブリンの頭を蹴り飛ばし、馬乗りになって殴りつける。顔面を蹴り続けていると動かなくなったので、最後のゴブリンをに止めを刺そうと振り返ると、さっきまで倒れていた場所にいなくなっていた。

 見失って隙を突かれるかと思ったが、離れた所に這いずって逃げようとしているゴブリンを見つけた。もし逃げられて仲間を呼ばれでもしたらと思うと危なかった。逃げようとしているゴブリンに走り寄って、頭と顎に手をあて、首を捻る。


ゴキッ 「ギャア!」


 最後に声を上げ、ゴブリンの身体がビクンッと跳ね、力が抜け動かなくなった。


『レベルが上がりました』


 おー、レベル上がった。いやー疲れた。戦うって全身運動なんだと実感した。身体中が痛い。結構痣が出来そうだ。ゴブリン強いなあ~。全然倒せなかった。これでゴブリンがこの世界で子供でも倒せる弱小種族だって言われたらショックだな。いや言い訳として言いたいのはね、素手だったから。素手。もし刀とかそこまでじゃなくてもせめて金属バットでもあればもっと早く倒せたから。俺が弱い訳じゃない。・・・そう思いたい!

 はあ~、ゴブリンと五分五分か。ん、駄洒落みたいだな。



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