1話
ふと気がつくとそこには鬱蒼と繁る木々が広がっていた。
「あれ?」
何が起こってんだろう?誘拐でもされたのか?学力は平均より少し上で運動神経はいい方だけど体力のない現代っ子の俺が?高校ではいじめられてもいないし、クラスの中で孤立しているって程でも無い位のぼっちで集団の中だと埋没する平々凡々の俺が?さすがに無いか。金持って無いしな。パーカーにズボンのままだし。
じゃあパラレルワールドとか異世界転移みたいなSF的な事かな?割りと混乱して頭がよく回って無いなー。平凡な日常に退屈してたからなんだかワクワクしているわ。けど親に心配掛けたくは無いんだよなー。異世界転移とかなら死んだ事にするとか、元々存在して無かった事にしてほしいな。寂しいけど。ここが日本でも異世界でもまず死なないようにしないとな。
そのために必要なのは、①真水と食料の確保 ②安全な拠点 ③体温を下げない 位でとりあえずいいかな。ここが何処なのかもまだ分かってないし、まず移動して川とか洞窟を探そうかな。
杉みたいな木が多いしここは温帯なのかな。葉っぱが燃えるらしいからちょっとだけ集めておこうか。
よし木の枝が倒れた方にでも進むかな。
パタッ
「よし、こっちか」
一時間ほど歩き続けたころ
「うおっ」
15mほど先に2m程の体長の蛇を見つけた。デカいな、どうしようか、たんぱく質は大事だから仕留めておきたいな。
その場で一旦止まり、蛇の動きを見つつ近付いていく。5m位まで近付くと威嚇し始めたのでそこからゆっくりと距離を詰める。
飛びかかってきたら、後ろに引いたらダメだ。前に跳ばないとな。
バッ
すると蛇が跳びかかって来た。反射的に後ろに跳ぶとそのまましりもちをついてしまった。
「危なっ」
急いで立ち上がり距離を取る。良かった。蛇はあまり動いてなかった。次はちゃんと前に出る。そう意気込むと、鎌首をもたげてまた威嚇して来た。そろそろ来そうだな。
来たッ
蛇が跳ぶのと同時に頭の上を飛び越え急いで首もとを押さえつける。躰を押さえた腕に絡みつけすごい力で締め付けて来たが、もう一方の腕で手頃な大きさの石を拾い蛇の頭に叩きつける。
ガンッ ガンッ グシャッ
頭が潰れるとその躰から力が抜け、するりとほどけた。
「くぅ~、痛って~。アザになってんじゃねぇのか?でもたんぱく源ゲット!」
『レベルが上がりました』
「え、ファンタジーなの?」