さつき、にいちゃんにみつめられる
「昔・・・僕は言ったと思う。
『うちゅうはあなたを愛している。
自分のことをたいせつにするように、おともだちのこともたいせつにすること。』
これが一番大切なことなんだ、って。
・・・だけど、これ以上大きなやさしさはない。
『大切なおともだちのために、自分の命を差し出すこと。』」
にいちゃんは、最後に目を見開いていつくしみながら言いました。
「愛しているよ、さつき。」
にいちゃんは闇の中で最高の光を放ちました。
そして、そのままあのばけもののなかにゆっくりと微笑みながら歩いていきました。
「まさか・・・やめて!にいちゃん!」
ばけものが、にいちゃんを飲み込むと、ばけものの動きがとまりました。
濁流のような景色は、次第に秩序を取り戻していって、もとの宮殿の壁になっていきました。
ちきゅうのあちこちで、天変地異が収まり穏やかさが取り戻されていく風景が映ります。
「ああ、神様、僕はあなたとの約束を果たしましたよ。」
そう言って、微笑みながらにいちゃんは目の前で目をつぶって死んでいきました。
さつきもはるか先生も、涙が止まらなくなって、ずっとずっと泣き続けました。
うれしいとかかなしいとか、この地球の言葉では言い表せないくらい。
それまで、にいちゃんも、はるか先生も「宇宙の素敵な話」のことをいっぱいいっぱいしてくれた。
だけど、もう、何も話さなくても・・・その大きな大きなやさしさがあるだけでそれ以上は何もすることがないように思われたのです。
***
ちきゅうでは、大きな大きな花が咲きました。
美しい花です。
高原には、花という花が咲き乱れています。
そのまわりで、人びとが笑顔で走ったり、のんびりしたり、とても平和にしている姿を見て、
さつきは涙がこぼれそうなくらいに幸福です。
その中をにいちゃんが歩いてきます。
優しい目をしたにいちゃんでした。
にいちゃんはさつきに向かってこういいました。
「さつき・・・君は・・・この星を救うことのできる勇者なんだよ。自分を信じて!」
にいちゃん!
さつきはわんわん泣き出しながら、おもわずかけだしてにいちゃんに抱きつこうとします。
そこで、目が覚めます。




