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さつき、余命宣告をうける

恐れていたことがこの身にふりかかりました。


「心臓が悪い。移植しないとこのまま死んでしまいますね。」

医者はそう告知しました。

「・・・しかし、今のちきゅうの法律では、人の為に何かすることは禁止されていますから・・・」


目の前が真っ白になりました。

立ちあがろうとしても腰が抜けてしまって立ち上がれません。

そばで看護師さんたちがさつきを支えてくれます。


・・・やっぱり、さつきは、死ぬんだ。


何を引き換えにしても、このことから逃げたくて逃げたくてたまらなくなる気持ちです。


死ぬことは、この地球にいる人すべての定めだとすると、みんながみんなこんな気持ちでこの地上とバイバイしていくのでしょうか。


なんの意味があるの?いったい、何の意味があるの?

いままで頑張ってきたことのすべて。頑張って生きて、積み上げて努力してきたことのすべてがガラガラと、いえサラサラと言ったほうがいいでしょうか。音もたてずに砂のように塵になって空気の中に消えていくのです。

いま目に見えるビルも大空も車もおうちもお金も、もう私とは関係のないこと。


まとまりのない、決して答えの出ないいろんな考えがさつきの頭の中で次々と生まれては、消えて、別の考え方に取って替わられることが、川の流れのように絶え間なく続いていきます。

何をどう捉えて、受け止めたらよいのでしょう。

整理がつきません。

みんなみんな、さつきの目の前に迫った「死」をごまかすための暇つぶしみたいなものです。

目に見えるすべてのもの、手に触れるすべてのものが、さつきの目の前に迫った運命の前にみんなみんな崩れていき、ひとつも残らないようです。


そういえば、「ちきゅうの毒」ってあった。

なんだったっけ・・・恨みやつらみや憎しみや許せないとか・・・うん。

心の中から、ものすごくグロテスクな草が生えてきて、その人の身体を食い尽くしてしまうんだった。


ずっとずっと、忘れていた、忘れていた。

・・・これは・・・罰だ。

そうだ、罰だ。自業自得なんだ!

自分を愛そうとしてくれたにいちゃんを自分の手で振り払った罰。裏切った罰。


同時にこんなことも思わずにはいられません。

「なんで・・・なんで・・・私だけがこんなことになるの。理不尽だよ。」

私は運命を呪いました。


「なんで私が死ぬの?私より悪いやつらは世の中にいっぱいいるじゃん。」


自分で自分のことを、わずかでも受け止めることができなくて、心がコントロールできなくなるようです。



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