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プロローグ ご都合主義の異世界転移

久しぶりに書いた、あらすじも粗いが内容も荒い。

暇つぶし程度に見てもらえればいいんで、もうブックマークとか気にしないもので。


あと他に書いてた作品の要素も惜しみなくぶっこむよ!

 ――――歴代勇者物語第25章泣き虫勇者。


 その勇者は大層泣き虫であった、召喚されて泣き、王に会い泣き、そして龍神に会って泣いた。


 家に帰りたいと、訓練が辛いと、そして魔族が怖いと泣き続けたという。


 そして彼は魔王を倒しても泣いたそうな。


 親愛なる師であった龍神を亡くし、魔王を倒し唐突に元の世界へと帰され泣いた。


 のちの人々は彼をこう讃えた、『雨涙の勇者』と。



 ――――

 これは夢、いや記憶だろうか。


 あちこちが炎上している。


 そこにある命は三つ、内一つはもう消えかかっていた。


「せん……せぇ……嫌だ、やだよ……死んじゃやだぁ……」


 目を真っ赤にして泣きぐずる少年と、それに抱えられた血まみれの龍の頭を持つ人型、この世界において龍神と呼ばれる存在であり、少年はその教え子で勇者と呼ばれる存在であった。


「がふっ……泣くな、男であろう? ……我はこの程度じゃ死なぬ、などと軽口が叩ければ良いが、どうやら死ぬようだな」


 龍神は自らの傷を見ると呆気なく認める。


「ごふ……とりあえず我が生きているウチにアレを倒してしまえ……こんな状況で律儀に待っているのだぞ? 決着をつけてこい」


 龍神は少年の涙をぬぐってやるがその手は自信の血にまみれていたため余計に少年の顔を汚した。


「はい……先生、見ていてくださいね」


 少年が龍神に背を向けるとそこには少年の三倍も大きな魔人が居た、腕を組み仁王立ちする彼こそが人間から魔王と呼ばれ恐れられている存在である。


「もう、良いのか?」


「早くお前を倒して、先生を治療する」


「出来るといいな……来い」


 その戦いは龍神が今まで見てきたどの教え子より力強く、また早く、そして賢いものであった。

 薄れゆく意識の中龍神は最期に一言だけ……。


「見事」


 そう言い残し目を閉じた。



「……きりー」


 ゆさゆさ。


「おーいおきろー」


 ゆさゆさゆさゆさ。


「んん……せんせぃ…?」


「おう、先生だぞ?」


 居眠りをしていた生徒を起こした担任が怪訝な顔をする。


「うっ……すみません、()()()()……」


 顔を赤くし恥ずかしがり言い直せば神林(かんばやし)と呼ばれた担任は呆れ顔で頭を掻いた。


「はぁ……なんで言い直すかなぁ、それにまるで先生をお母さんって呼んじゃった時のような反応をするな」


 その発言に他のクラスメートが大笑いする。


「お前ら笑うな、名切(なきり)が泣くだろうが」


「せんせーの方が酷いと思います」


 名切と呼ばれた生徒のあだ名は泣きっちゃん、よく泣くというところから来ているらしいがここ二年ほど全く泣いていない。


「うるせー、それじゃホームルームは終わっからな、今日も一日しっかり勉学に励み、くれぐれも他の先生方に迷惑かけてくれるなよ?」


 そう言って担任は教室を出て行った。


「もー、せんせーも大人気ないわね……」


「仕方ないんじゃない? 教員免許もない用務員だから面と向かって先生呼びされないのは結構辛いのかもよ?」


 女生徒達は言いたい放題である。


「うちらの担任をもう三年もやってんのに先生って呼べねーってのはどうかと思うが、まあなきっちゃんのは理由が理由だしな」


「死んだ恩師以外先生って呼べないってやつだっけ? そういうのわからなくねーんだけどそれはそれで神先(カミセン)もかわいそーだよな、教師じゃないけどホント俺らに良くしてくれてるし」


 自分たちも大概あだ名呼びなのを棚上げする男子達。


「なっちゃんも、もうちょっと気をつけたほうがいいよ? せんせー呼び出来ないんなら男子みたいにカミセンって言えばいいし」


「けど……それはそれで失礼な気がするんだ」



「ここまでの流れ毎日やってて飽きないの君ら」


 これがこのクラスの毎朝の日課である。



 そして用務員たる神林龍雄の業務内容はほとんどが校内の清掃活動だ、たまにドアの立て付けやら電灯の交換作業なんかもあったりするがLEDの普及もあってか最近はもっぱら清掃ばかりである。


「お疲れ様です、神林先生」


 神林は背後から聞こえた声に反応して頭を下げながら振り向くという器用なことをやってのけた。


「お疲れ様です、理事長」


 顔など見なくともわかると言わんばかりに頭を下げたままさり気なく落ちているゴミを拾い続ける神林。


「ほっほっほ、精が出ますな……ところで、今日は欠席者は居ましたかな?」


「いえ! 本日も無遅刻無欠席であります」


 神林を用務員に採用したのはこの理事長であり、ただの臑齧り(ニート)の手に職を与えた恩人であるからかつい、軍人のような口調になってしまう。


「それは良かった、今日という日を儂がどれだけ待ちわびたことか……くれぐれを皆を頼みましたぞ、先生」


「はっ? ……それはどうい――――」


 神林が言われた意味が分からず理事長を見ようと思い顔を上げた時には煙のように消えてしまっていた。


「んー、わからんな……まあいいさ、仕事仕事」


 神林はゴミ拾いを続けた。



 六限目が終わり再びホームルームのために教室へとやってきた神林、いの一番に確認するのは早退者が居ないかであるが、今日は誰も早退はしていないようだ。

 このクラスの生徒は皆複雑な家庭環境にあり、一年次は不登校や早退絶えないクラスであったが二学期の始業式の時特別学級に指定され、クラス担任どころか先日までニートだった神林が急遽担任に抜擢、以後様々な方法でクラスに溶け込むと、三ヶ月で不登校、早退者を0にした実績がある。

 それでもたまに早退したりサボったりするものもいるが、神林の給与に直接響くと言われてからは皆我慢強く最後まで残っているのだった。


「今日はなんかあったか?」


 半分信じられないといった感じで口を開いた神林に、サボり早退筆頭の鹿塩(かしお)が答えた。


「なんか今日ほとんど自習だったけど、カミセンはなんも聞いてないの?」


 自習と言われても思い当たる節はない、何より職員会議的なものはなかったしそもそも参加自体させてもらえない用務員にはわからない情報であった。


「わからんなぁ、たまたまか? いやでも理事長になんか言われたような……?」


 皆を頼むとはなんだったのかという疑問が再燃したが、わからないことだらけなのでそれは横に置いといて。


「とりあえず今日泊まるやつは手を上げろー」


 日課となりつつある家に帰りたくないから用務員の宿直室に泊まる会の参加者を問う。

 すると全員手を挙げた。


「全員とか無理……となると教室そのまま借りれるか聞かなきゃならないが……ちょっと待っててくれ今問合わせてくる」


 参加者を無理に絞ることはせず皆を受け入れる形にした神林は教室を出ようとしてすぐさま違和感を覚えた。


「ドアが開かない……?」


 生徒のイタズラ防止に中からは鍵を締められない仕組みになっている戸が開かないのだ、その様子に気づいた生徒たちも窓やドアを開けようとするがビクともしなかった。


「なんで」


「さっきまで開けてたのに、いつのまに閉まったの?」


 不気味な現象に皆戸惑い始めたその時神林は言った。


「まあ食料とかお前らなんか持ってんだろ? とりあえず開かないんじゃ仕方ないからここで籠城でもして夜ふかししようぜ!」


 明日はなんと都合よく休校日でありそもそも教室を借りて泊めるつもりだったのでこの状況は願ったり叶ったりだ。


「せんせー、いくらなんでもちょっとは騒ごうよ……そういうとこ好きだけど」


「まーカミセンだしなー」


 少しづつ落ち着きを取り戻していく生徒たち、だが一番焦っていたのはやはり神林であった。

 生徒を不安がらせないように内心に留めていたが、状況は最悪と言えた。

 出るために窓を割った場合弁償しなければならないだろうと早々に却下、けれど籠城って言ったって食料はともかくトイレとかどうするんだよなど様々な思考に耽っていると再び生徒たちの悲鳴が聞こえた。


「なんじゃこりゃぁぁぁ!!」


 床が光っていた、それも、全面がではなく何か円と模様なものが発光しながら浮かび上がっていた。


「まさか」


「本当に…?」


 なんて声も聞こえるがそれは不安というよりもむしろ喜びにあふれた声だ。

 何人かどころか全員がこの状況に覚えがあるのか、落ち着いた様子でその時を待っていたのだが……。


「お、おい! おまえら! これが何かわかるのか!?」


 知らぬは神林だけだ。


「せんせー、知らないの?」



 ――――これは異世界召喚だよ!



 嬉しそうな女生徒の声とともに発光が一番大きく輝くと神林は情けなく気絶したのだった。

更新不定期、書きたいときに書いて行くいつものスタイル。



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