プロローグ
世界は様々な感情にあふれている、例えば喜び、例えば怒り、例えば哀しみ、例えば楽しみ、例えば嘆き、そして例えば憎しみ。
その全てが人を人足らしめるモノであり、人を不完全な存在にする足枷のようなモノである。
では悪とは何か、善とは何か、それはその感じるモノによって変わるだろう・・・
だが、悪意を受け止めるための器は必要である、その器を必要とするものも少なからずいるだろう。
ならば創ればいい、世界が人の手で滅ぶ前に、世界が人に完全に支配されてしまう前に・・・
ここは何もない空間、ただどこまでも白だけが続く世界の中、よく通る高い合成音声のような声が響く。
『しすてむおーるぐりーん、自動整備しすてむ通称【必要悪】【魔王生誕】起動』
『【魔王の器】二相応シイ魂ヲ持ツ存在ヲ検索中・・・』
『検索完了、コレヨリ相応シキ魂ノさるべーじ及ビ肉体ノ再構築ヲ開始致シマス』
『さるべーじ及ビ肉体ノ再構築完了、だんじょんますたートシテノ能力ノ転写開始』
『【ファーストダンジョン】ノ構築完了致シマシタ、能力転写後、【魔王】ヲ【ファーストダンジョン】内に転移、覚醒後、知識注入、肉体ノ微調整』
『ソレ以降ノ干渉ハ不測ノ事態ガ発生シナイ限リ行ワナイヨウニ致シマス』
『ナヲ、ぷろぐらむ実行及ビ、魔王ノ存在、等ノ情報ハ規制れべる4、主神様及ビ該当れべる以上ノ閲覧権限保持者以外ノ閲覧ヲ完全二禁止致シマス』
『マタ、ぷろぐらむノ実行ノ通知ハ行ワレマセンノデゴ注意ヲ』
そして世界に悪意を受け止めるための、さらなる悪意の種が世界に生まれ落ちたのだった・・・
プログラムはただ何もない空間にてそのまま沈黙を続ける・・・どちらかが滅びきるその直前まで・・・
世界は回る、人と、そして魔なるモノを乗せ回る・・・どちらが勝とうとそれはプログラムは関係ない、ただ、世界が1色に染まらなければそれで良いのだから・・・