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精霊の友として  作者: 北杜
五章 伯爵家騎士編
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プロローグ

新章です!十二時間後に次話を予約投稿。

戦争……国と国、もしくは複数の集団の間で物理的暴力を伴う紛争。

王国と帝国の間で何十年も戦争をしている。

何が原因なのかはその時代の当事者しか知らないだろう。

王国側は帝国が約定を破り戦争を仕掛けてきた。

帝国側は王国が帝国の領土を侵して民を傷つけた。

分かる事はこの戦争が長続きしている事で、国土が荒れ、戦死者が増え続けている。

二つの国の間で停戦協定を結んだ事もあったが数年で戦争が再発した。

理由は両国とも同じ事を言った「お前達が約定を破った」という事。

その結果、王国の和平派は責任を取らされて少なくなり逆に戦争派が増える事になる。

現在王国の派閥は帝国を攻めて領地の拡大を狙う戦争派が主流で和平派は少ない。

そして戦争派や和平派でもない中立派も存在する。

元々中立派は昔に停戦協定を結んだ和平派の者達だったが、帝国が約定を破り戦争になった事を責められ責任を負った貴族達の末裔や辺境貴族や戦争派閥の貴族達を見限った者達などだ。

和平派はもっとも数が少なく水面下で中立派の手を借りて細々と動いているのが現状だ。戦争派が多い王国では和平派・中立派は軍需品や食料を条件に戦争派をけん制しつつギリギリの立場で動いている。

そして主流である戦争派の勢力は中立派を派閥の下位組織として取り込もうとしている。

戦争派の者達は王都に住む貴族達が多く領地持ちの貴族も王都の近隣に対して、中立派の者達は帝国の国境線の近くに領地を持つ貴族が多いので、軍需品や食料等の準備が容易であるから、物資を取り上げて帝国と有利に戦えるように。

数で言うなら戦争派が六、和平派が一、中立派が三で戦争派が半数以上を占めている。




国境線の砦は二つある。一つは戦争派閥のアイローン伯爵領の砦。もう一つが中立派のバルム伯爵領の砦。

バルム砦は丘の上にあり攻め辛く停戦後に砦を改築し、難攻不落の砦として作り直し帝国から現在まで王国を守ってきた。

周辺には豊かな土地もあり軍需品や食料等は問題ない。

砦の中も兵達の事を考え店や酒場などの娯楽施設があり砦と町が一緒になっている。

唯一の欠点は砦が王都から遠い事。

バルム砦は王都から遠く、王都に住んでいる者達からは「辺境の田舎貴族の砦が突破されても問題ない」との考えがある。

今までバルム砦を突破された事が無いのと、辺境だから兵站の軍需品や食料の補充が難しくなり迎撃が簡単だと思っている。

そして兵站の軍需品や食料は周辺の領土を攻めれば簡単に手に入る事を王都の貴族達に伝えても貴族達は「帝国が領地に攻めてきたら物を焼き払え!」と無茶な事を言って一蹴した。

その結果バルム砦は王国よりも周辺の領地を守る為に命を懸けて戦う者達が多く、中立派はバルム砦よりもアイローン砦を優先している現状の戦争派には恨みを持っている。

そしてアイローン領地にあるアイローン砦は王都から比較的近く平地に砦を築いている。

アイローン砦の先の帝国側にも砦が築かれておりその間で争いをしている。

この砦が落ちたら王都まで数日で着くので戦争派はこちらの砦に力をいれている。

そして現在アイローン砦は優勢との事で、大規模な戦争が起こる予定だ。

王族が他の貴族達や王都にある傭兵ギルドや魔法ギルドに招集している。

ある者は戦争で武勲をたてる為に、ある者は金の為、ある者は上司から命令をされて。

大規模な戦争が始まる事は王都でも噂になっており商人たちも金を稼ぐために動き始めていた。


「なあ、知っているか?アイローン砦方面でデカい戦争がはじまるのを」

「知っているよ。王都に住んでいるなら直ぐに分かる」

「ならこれも知っているか?今度は王族も出兵するって?」

「確か第四王子か第五王子か継承権の低い王族たちだろう。兵達の士気を高める為だとか」

「いや、オレが聞いた話では武勲をあげて王太子になる為に第一王子が出兵するって聞いている」

「どこから聞いた噂が知らないが、そんな噂あてにならんな。オレ達には関係ないだろう」

「まあ、騎士や兵隊でもないタダの平民だからな。だが商人たちはこれを機に色々と動いているぞ」

「アイローン砦は王都から比較的近いからな。物資の輸送で儲けるつもりなんだろう」

「そうだ!今回は大規模な戦になるらしいからな。オレ達も一口乗るか?」

「そういえばバルム砦のほうでも大規模な戦争があったらしいがそっちはどうなっているんだ?」

「バルム砦?あっちの砦はうまみがない。遠いから輸送費も高い。それよりも今から始まるアイローン砦だ。いい話だぞ」

「……やめておくよ。貴族様に近づいて無茶な事を言われるのは嫌だからな」

「そういうなって。今回は貴族様もご機嫌でな。いい稼ぎになるって」

「……戦争派の貴族様か?なおさら近づきたくないね。オレの親戚が戦争に行ったときに戦争派の貴族に見殺しにされたからな」

「大丈夫だって!今回は後方で物を売るだけだ!簡単に儲かるぜ」

「……やはりやめておく。命あっての物種だ」

「おいおい、絶対儲かるよ!……全く、何が命あっての物種だ!腰抜けめ。詳しい話を聞かずに去りやがって!」

「兄ちゃん、稼げる話があるんだって?どんな話だ?」

「なんだ、聞いていたのか?どうだい、一口乗るか?」

「内容によるな。どんな事をするんだ?」

「簡単な仕事だ。アイローン砦に荷物を運ぶだけだ」

「そのくらいで稼げるのか?」

「速さが肝心だ!昼夜馬車を使って可能な限り早く荷物を運ぶ仕事だ」

「荷物の中身は?」

「オレも知らない。貴族様が相場の五倍出すから可能な限り早く荷物を運んでくれと」

「……まあ良いだろう。詳しく聞かせてくれ」


王都の者達にとっては戦争なんて儲け話しにしかならない。

当事者以外は。


「アイローン砦の件だが」

「物資・食料・人材等を準備しています」

「此度は王族も出兵するからな。準備には不備がないように!」

「勿論です」

「各地の貴族達も招集しての大規模な戦争だ。これで帝国領を殲滅できるな」

「今回の作戦はなんでも第二王子が考えたと聞いていますが」

「うむ、武勲を挙げて第一王子よりも相応しい事を王国に知らしめるために自ら考えたのだ」

「第二王子が我々を支持してくれますので心強いことです」

「そうだな、我々貴族にも派閥があるように王族にも派閥がある。表立って第二王子が我々に味方してくれているから他の派閥も強く言えん」

「中立派の辺境貴族も王族には逆らえませんから」

「その辺境貴族共はアイローン砦には来るのか?」

「王命ですから来ないと罰せられるでしょう」

「うむ!」

「その辺境貴族ですが、バルム砦に援軍の派遣を求めております」

「……またか。今はそれどころではないだろう。第二王子の指揮のもとで帝国領土に攻め入るのだぞ。あんな辺境の砦は後回しだ!」

「了解しました。ではそのように指示します。では失礼をします」


部屋を退出し次に会う貴族の下に向かう。


「失礼します。バルム砦の件で伺いました」

「どうだった?」

「後回しと言われました。アイローン砦に物資を送った後に物資を送ります」

「……わかった。今の状況だ。アイローン砦だけに物資を送れと言われないだけましだろう」

「なんとか去年と同じくらいは確保します」

「出来そうか?」

「時期をすこし遅らせて運ぶ予定です。アイローン砦に送った後にバルム砦に物資を送る予定ですが数回に分けて送ります」

「……わかった。それで頼む。お主がいて助かった」

「派閥は違いますが私はバルム領地内の出身です。故郷を守るのは当たり前です」

「中立派と言ってもなにも出来ん。物資や食料を条件に維持している派閥だ。他の者達を守る事しか出来ぬ。どうにかせねばならん」

「……戦争派は第二王子を擁立しました。王都や貴族院にも変化があるはずです」

「しかし動くと他の貴族の者からいらぬ勘繰りを受ける。他の者達と相談してからだな」

「バルム伯爵が一旦王都に来てからアイローン砦に向かうと聞いています」

「……わかった。良い知らせに感謝する」


派閥は違えど帝国から王国を守る。その為に出来る事をするが派閥争いに嫌気がする。

人が多い戦争派の派閥にはさらに派閥がある。

王都の貴族達の派閥と領地持ちの貴族達の派閥だ。

戦争派の派閥にはさらに二つの派閥があり争っている。

不毛な争いをして帝国に勝てるのだろうか?


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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