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精霊の友として  作者: 北杜
四章 男爵家使用人編
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23 砦に行く前に

エイルド様達を見送った後伯爵様と一緒に行動をする。


「私達も明日には出発する。トルクも他の騎士達との顔合わせや部下たちの準備、それから周りの者達への挨拶を忘れないように」


伯爵様と一緒にオレは部下になる人達、先日洗脳された兵隊さん達に会いに行く。

隊の偉い人のケビンさんがオレをみて兵隊を集合させる。


「トルク隊長に敬礼!」


……隊長?なんか恥ずかしいから止めてもらい呼び捨てにしてもらおうとしたが。


「呼び捨てなんて出来ません。ではトルク殿でよろしいでしょうか?」


出来れば敬語も無しの方向でお願いします。


「トルク殿。貴方は騎爵位を伯爵から頂き、私達の命の恩人であります。どうぞご容赦ください」

「わかりました」

「それから私達には敬語は必要ありません。どうぞ呼び捨てでお願いします」

「癖の様なものだから治すまで待っていてください」


オレの周りは偉い人達しかいなかったからな。唯一敬語で喋っていないのはマリーとイーズくらいしかいないよな。

ケビンさんとイーズの様に話すのか……。むずかしいな。イーズは同年代のような感じの奴だし。ケビンさんは伯爵様達から信頼されていた兵隊だからな。イーズとは違う。

そんな人がオレの部下になるなんて……。


「サムデイル様達から聞いていると思うが明日には砦に出発します。各員準備をお願いします。それと魔法が使える者は誰かいますか?」

「私達の中で魔法を使える者は誰もいません」

「……そうか。なら訓練をするか。魔力を感じる事から始めよう」

「あ、あの私達は訓練をしましたが魔力を感じる事が出来ませんでした」


そうなのか?とりあえず訓練してみよう。自分が学んだ方法をみんなに教えてみる。運がよければ魔力を感じる人がいるかもしれない。

オレは初歩である魔力の感じる方法をみんなに教える。

自分の中にある変な力を感じる事だ。

楽な姿勢で目を瞑り、呼吸を整え、心を落ち着かせ、自分と向き合い魔力を感じる。考えるな!感じろ!元〇玉だ!


「後は暇なときに訓練をしてください。では解散!」

「トルクが教える魔力の感じ方は一般的ではないな」


あ、伯爵様を忘れて訓練していた。


「一般的ではなかったですか?母から教わった事を自分なりに考えてみたんですけど」

「私も詳しくはしらないが目を瞑って心を落ち着かせるか。私も訓練してみるかな」


……向上心がある事は良い事だとおもう。

次に一緒に騎爵位を貰った人達に会いに行こうと思ったが……。


「他の騎士の人達は館には居ないようです」


ありがとうケビンさん。で、どうしてオレの側にいるの?


「副隊長ですので」


隊長オレ、副隊長ケビンさん。だがらオレの側に居るんだね。

でも挨拶回りだけだから他の所に行って良いよ。


「では、明日の準備に取り掛かります」


ケビンさんと別れてオレは館の厨房に行き料理長やモータルさんに挨拶がてら夕食を食べる。

食事中にイーズとエリーさんに会って別れの挨拶をして、最後は中庭の木の所に行く。

精霊達の声が聞こえるかわからないが念のために行ってみた。


「トルク、明日ここから出て行くのか?」

「どこに行くんだ?」

「もしかして美味い食べ物がある所か?」


声は聞こえるが姿は見えない精霊三人衆の声だ。


「明日には館から出るよ」

「どっち向いて話している」

「オレ達はこっちだ」

「目が悪いのか?それとも頭が悪いのか?」

「うるさい!お前達の姿が見えないからしかたないだろう!」

「そうなのか?」

「君は精霊が見えたり、見えなかったりするみたいだね。訓練をすれば見えるようになるよ」


三人衆とは違う声だ。この声は中庭の木の精霊だ。


「どうすれば見えるようになるんだ?」

「念じれば見えるよ」

「よし!念じるんだ!」

「オレ達はここに居るぞ!」

「さあ!心を開いてオレ達を見ろ!」


……見えなくても良いと思うのはオレだけだろうか?騒々しい上に面倒な存在を見なくても良いと思うのはオレだけじゃないはずだ!


「……すまない。訓練が足りないから見えない。後日訓練するから今日のところは諦めよう」

「よし!頑張れ」

「負けるな!」

「ついでに甘味を頼む!」

「とりあえず、オレは明日から他の所に行く。別れの挨拶を言いに来た。またな」


戻ろう。これで義理は果たしただろう。戻ろうとすると髪の毛を引っ張られた。なんだよ!


「オレ達もついて行ってやろうか?」

「オレ達が行くと色々出来て便利だぞ」

「オレ達を置いて美味い物を食いに行くのか?」


……一名?一匹?が勘違いしている。


「明日から戦場に行く予定なんだよ。だからお前達は行かない方が良いぞ」


それにお前達の面倒を見るのも御免だ!


「戦場か……。あの子も戦場に行ったきり戻ってこなくなったんだよね」


あの子っていうのが中庭の木の精霊の友人なのかな?


「大丈夫なのか?」

「無事に戻ってくるのか?」

「やはりオレ達も行くべきではないのか?」

「大丈夫だよ。戦場とはいっても後方に居るだけだから。命の危険性は無いと思うよ」


後方で怪我人を回復させるだけの仕事らしいから問題ないだろう。


「あの子もそう言っておったが戻って来なかった」

「オレ達も行こう!」

「友人の為に!」

「甘味の為に!」


戦場に食い物や甘味なんかないぞ。いい加減に誰か突っ込めよ!


「心配してくれてありがたいが、オレは大丈夫だ。お前達はここの領地を守ってくれ」

「仕方がない友の頼みだ!」

「オレ達の友の為に!」

「甘味の為に!」


……ツッコミ役は居ないのか三人衆。全員ボケ役なのか?


「……じゃあ、友人として頼む。この領地を守ってくれ」

「見返りは!」


……無料じゃないのか?友人の頼みだろう?


「……今度、お菓子を持ってくるよ」

「任せろ!」

「任された!」

「任せとけ!」

「僕にも頂戴ね」

「じゃあ、頼んだ」


部屋に戻って明日の準備をするか。疲れた。どうしてこんなに疲れたんだろう?こいつらと話すと体力が持っていかれる。

夜、寝ようとしてふと思った。

今回のツッコミ役はオレだったのではないのか?突っ込んだ方が良かったのか?三人衆のツッコミ役はオレなのか?

お菓子を持ってくるときに聞くべきか、スルーするべきか。

……明日の朝に中庭の木の前にお菓子をお供えしておこう。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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