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精霊の友として  作者: 北杜
四章 男爵家使用人編
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閑話 男爵領視察報告書

〇〇〇村は前年度の税は××。

村の人に聞いたところ今年の出来と去年の出来を聞いて比較した結果、今年は去年よりも出来は良いとの事。

曇りが少なく日が照って水害も無く作物に問題は無いとの事です。

村の人間に腐葉土の事を教えて来年から始めてみると言ってました。気候が良ければ来年の作物も増えるでしょう。

今回避難民がこの村を頼って来て村の人口が少し増えています。現在の村の人口は下の数字を見て下さい。

今まで村に居た人。男性(十五歳以上)〇〇人、女性(十五歳以上)△△人、十五歳以下(男女含む)□□人。

避難民。男性(十五歳以上)〇〇人、女性(十五歳以上)△△人、十五歳以下(男女含む)□□人。

合計。男性(十五歳以上)〇〇人、女性(十五歳以上)△△人、十五歳以下(男女含む)□□人、合計◇◇人。

人口が増えたので村の食料が不足するかもしれません。それによって避難民が食糧不足になる可能性があるので早めに対策をした方が良いです。そして若い男達が帝国に恨みを持っているので兵になると言っています。若い男が兵になるとその村の労働力が減るので税が減る可能性がありますが人口が減って食糧問題も解決します。

兵を希望する者達に制限を設けて村の労働力が減らないようにする事が良いと思います。


「なかなか良い出来だ。税の事も書いているし、村の人口増加で食料が不足か。他の村でも食料が足りない可能性があるな。急ぎ手配しよう。それから男が減って村の労働力が減る可能性も考えていたのか」

「トルクが他の村人から何を聞いているのかと思っていたらこんな事を聞いているとは。アイツは村で畑仕事をしたり村人と話したりしていたがこんな事を聞いていたとは驚きです。村長だけに聞くよりも詳しい内容です」

「村長一人に話を聞くよりも他にも話を聞いた方が良いかもしれないな」

「さすがに難しいですよ。私も他の村人に聞いた事ありますが受け答えが上手くないので苦労した覚えがあります」

「……トルクはどうやって聞いたんだ?」

「私が聞いた話では村の人達は簡単な質問をして簡単に答えを貰ったそうです。それを大勢の人から情報を聞き出して理解する。そしてその情報を元にして他の人間にも理解しやすい様に聞き直したら答えてくれたと言っています」

「それで解るのか?」

「トルクはそれで理解したと言っています」

「……次の項目を読むか」




今回の見回りで道には避難民の死体が多いので、これを土葬します。それによって、獣や魔獣に食べられないし病原菌や伝染病の抑制になる筈です。本当は火葬が一番良いですが時間の都合上、土魔法で穴を掘って土葬しました。手伝ってくれた兵の皆様に褒美を頂ければ幸いです。


「なんだ?病原菌?伝染病?火葬?死体を燃やすのか?」

「私が聞いたところ、病原菌という目に見えない物が人間の体内に入ると病気になるそうです。そして伝染病とは急速に大人数が病にかかり死亡する病気と言っていました。おそらく死者の足音や水脱病等の事でしょう」

「昔、発生したから街ごと全部燃やした病か」

「はい、死体を小動物が触ってそれを人が触る。人が触ったものに触ったら感染して大規模な病が発生すると言っていました」

「だがら死体を燃すのか。だが今回は死体を土葬したがそれは良いのか?」

「深く埋めているから問題ないと言っています」

「他の村、巡回している兵達に連絡して死体に直接触れない様に土葬もしくは火葬するように伝えてくれ」

「わかりました」

「死体に触ったら手を洗っておけば良いのか?」

「トルクはそのように言っています」

「それから手伝ってくれた兵達にも褒美を渡すか」




今回の村の壊滅状態からみて今年の税収が期待できません。ですから他の方法で税を取ろうと思います。

まず農園に避難している人達にトランプを作らせて伯爵領の街で売る計画です。

農園の避難民にトランプの作り方を教えます。男爵家で農園の人達が作ったトランプを買い取って伯爵領で売ります。そして伯爵家の信頼できる商人を使って王都、もしくは派閥の領地で売ってもらおうと思います。男爵家は伯爵家にトランプを売り、避難民はトランプを作り現金が貰える仕事が与えられ食事に困らなくなるでしょう。伯爵家も税収が増え新しい娯楽を提供できます」


「なんだ!この計画は?」

「男爵領の村が壊滅して税収が減ったからどうすれば良いか考えていたのに、トルクは何事も無かったように手紙に書いているんですよ。手紙を確認のために読んだときはトルクを呼んで叱りつけようと思いました」

「叱りつけるのか?」

「手紙に書く内容ではないでしょう。この計画を進めると男爵家も伯爵家も税収が増えます。そして王都で売れば間違いなく大儲けできます」

「それもトルクに聞いたのか?」

「はい、王都でトランプが流行ったらどうなるか。平民用の安いので銀貨三枚の三万ドルム、貴族用の凝った作りにして銀貨十枚の十万ドルム。避難民達が作った平民用の安いトランプを男爵家が銀貨一枚で買い、伯爵家に銀貨二枚で売る。大儲けできますよ」

「これは義父上に相談して決めよう。トルクに口止めしておけ。だが先にトランプを作っておくのは良いのではないか?」

「先にトランプを作らせましょう。半年以内には伯爵家に行きますから」

「よし任せた」




〇〇〇村を参考にした破壊された村の補修費(推定)

村の住人は約二百人、一家族五人で計算をした結果です。

家の補修費・・・一家〇〇〇ドルム(推定)×四十家分

畑・・・〇〇〇ドルム(推定)

家具・・・〇〇ドルム(推定)×四十家分

補修にかかる労働費・・・〇〇〇ドルム(推定)

村の清掃代・・・〇〇ドルム(推定)

村人が作物を作って生活するまでの食事代・薪・消耗品代・・・〇〇〇ドルム(推定)


「村の補修費はこんなに必要なのか?」

「今考える必要は無いので飛ばしても良いと思います。私は飛ばしました」

「……よし、飛ばそう」

「因みに賊達が溜めた財宝で賄えば良いとトルクは言っていました」

「採用しよう」




・〇〇〇村ではエイルド様は護衛兵達と追いかけっこをしていました。たぶん暇だから逃げ出したのだと思います。

・道端で避難民の死体を見て顔色が悪くなってました。その後、兵達と一緒に埋葬を手伝ってくれて嬉しく思いました。

・エイルド様が壊滅した村の現状を見て怒っていました。領主の御子息に仕える者として心強いです。

・盗賊達に攫われて気絶していたエイルド様の心の傷が心配です。

・領主の後継者として人の死を間近で見たエイルド様が馬車で考え事をしています。後で相談に乗ってください。

・エイルド様がいろんな人の話を聞いて考え方が変わったかもしれません。後で相談に乗ってください。


「エイルドは大変だったようだな」

「はい、しかし今回の見回りはエイルド様にとって得難いものになっているでしょう」

「……そうか、エイルドは家に帰って来ても考え事をしている。アンジェも気にしているから近いうちに話を聞いてみるか」

「それが良いかと思います。私もエイルド様と今回の見回りの事を話しましたが、酷くショックを受けていました。領地がこんな事になっている事が余程堪えたのでしょう」

「そうか、エイルドを見回りに出して良かったと思うべきかな」

「それはエイルド様が持ってくる答え次第ですね」

「しかしレオナルド、それにしても思い切った事をしたな。エイルド達に殺す現場を見せるなんて」

「将来必ず通る道です。早い方が良いでしょう」

「流石に人を殺すのは止めたようだな」

「二人はまだ子供ですから。剣を習っているとはいえ賊を殺す力は無いです」

「だが何度も刺したり、切ったりすれば人は死ぬ。賊を一撃で殺したのは賊に対する情けか?」

「何度も切りつけるのは時間と体力の無駄ですから。それだけです」

「そういう事にしておこう」




賊に捕らわれていた女性達。

カミーラ、赤い髪の女性。◇×◇村の出身で一番最初に賊に攫われた。親兄弟親族は賊に殺されて天涯孤独。今後の身の振り方は考え中との事。現在、男性が怖いので男が多い農園の仕事は難しいと思います。使用人の仕事なら女性が多いので大丈夫と思われる。


ファルラ、茶髪の女性。男爵領の町の商人の娘で年齢は十六歳。馬車で他の村に向かっている途中で親と恋人を賊に殺された。親族が男爵領の町にいるそうなのでそちらを頼るそうです。男爵領の町に親族がいるか確認をお願いします。


マーナ、金髪の髪が長い女性。〇×〇村出身の十六歳。姉の方です。両親を目の前で殺されて親族も居ない様です。村八分にされていた様で村に味方が居ない様です。出来れば男爵家で保護をお願いしたいです。


ミーナ、金髪の髪が短い女性。〇×〇村出身の十五歳。妹の方です。両親を目の前で殺されてかなりのショックを受けています。男が近づくと混乱するので近づかない様にしてください。


「この女性達には酷い思いをさせたな」

「はい、どのように報いるのか考えないといけません」

「我が領土にこのような賊が居るなんて」

「その事ですが。この盗賊達ですがヴァング男爵のいた頃の賊でして。尋問した結果ヴァング男爵は帝国領の辺境の村々を襲って金品の強奪や女性に乱暴を働いたりしていたそうです。それだけではなく王国領でも商人の馬車を襲ったり、女を攫っては貴族に売りつけたり、輸送中の馬車を襲ったり盗賊まがいの事をしていました。ヴァング男爵は村毎に数人選んで集まらせ私兵として扱っており男爵の命令で略奪をしていたとのことです。略奪した金品や女の半分はヴァング男爵に残りは賊にと分けていたようです」

「王国と貴族院はこの事を知っているのか?」

「調べている最中です。私もヴァング男爵がどのような罪になって死んだのか詳しく知りませんでした」

「そうか。引き続き頼む」

「話を戻します。ヴァング男爵が死罪になって領地が変わりました。ヴァング男爵から命令がなくなっても盗賊達は略奪行為を楽しみ王国・帝国の村々の略奪、砦に輸送中の馬車を襲ったりしていたそうです。しかし今回は一部の帝国兵に捕りましたが、手伝ってくれたら解放してやると言われて村の場所を教えて帝国に手を貸したそうです」

「なんという奴らだ。クソ、私が直に殺したい」

「そして、トルクの居た村出身の賊が言っていましたが、リリア殿を男爵に教えたと言っていました。少なくとも十年以上は盗賊行為をしていたと思います」

「待て、数年前に砦に輸送中、賊に襲われた馬車があったはずだ。まさかその賊達か?」

「確認中です」

「盗賊達は帝国兵達と一緒に村を壊したのか」

「自分達が育った村を壊すのはしていないようですが金品は盗み、女は攫ったようです」

「村が焼かれるのをみて何もしなかったのか。なんて奴らだ」

「その後、帝国兵に解放されてアジト周辺で盗賊行為をやり続けました。破壊した村から金品を盗み、逃げ遅れた女達を攫い、金目の物を持っている者を殺して金品を奪ったそうです」

「盗賊達は村に住んでいてヴァング元男爵の命令で集まり盗賊行為をしていたのだったな」

「はい。村で何事も無く暮らし、年に何回か集まって盗賊行為をすると言っています」

「賊だが何人かは生きているだろう。そいつらは農園の避難民の前で罪を言い渡して殺せ。避難民には今回の事は帝国と王国の裏切り者のせいで村々が滅んだ事として恨みを向けろ。あと賊に家族が居るはずだ。生きているならそいつらは農奴とする。トルクの村出身の賊の家族を忘れるな」

「了解しました。近日中に処理します」




村の近くで壺を拾いました。金の壺の様です。どうしましょうか?


「どうして金の壺を拾ったんだ?」

「エイルド様を助けるために賊を転倒させようとして土魔法で穴を掘ったらそこから出て来たそうです」

「どんな幸運だ。素人目で見てもかなりの価値が有るぞ。なんでそんな物が村の近くに埋まっているんだ?」

「私も不思議に思っています。いかがしましょう」

「……壺は拾ったトルクの物だ」

「私もそのように言ったのですが盗まれるのが心配だからクレイン様に預かってほしいと言っています」

「……分かった、預かろう。リリア殿にも伝えているのか?」

「トルクが自分で言っているはずです」

「だが男爵家よりも伯爵家に置いていた方が良いかもしれない。その事をさりげなく言ってくれ」

「私が言うよりもクレイン様が言った方が良いのでは?」

「男爵家には宝物庫は無いからな。しかし万が一の事が有る。だからトルクに言ってみてくれ」

「男爵家の警備では金の壺を守り切れない可能性があると。だから宝物庫がある伯爵家の方が安全だと言うのですか?」

「私がそれを言ったら男爵家の警備がなってないという事になるだろう。そんな事は言えん」

「しかし私がそのような事を言ったら男爵家の警備を悪く言う事になります。男爵家に仕える者としてそのような事は言えません」

「……仕方がない。理由を付けて義父上に壺を見せるために伯爵家に持って行こう。その間は何としても守らなければ」

「守る物が増えてクレイン様もご苦労されますね」

「だったらレオナルドが壺を守るか?」

「遠慮します」




ドアからノックの音が聞こえる。部屋に入って来たのはエイルドとアンジェだ。

エイルドは今回の見回りで壊された村を見て、人が殺されるところを見たりして子供にはキツイ体験だと思うがこれも領主になる為、騎士になる為の試練だ。

私も子供の頃に人の死を見たり、罪を犯した者を殺したりした。

人を殺した日の夜は寝れなくて静かな夜に殺した者の断末魔が耳に残り、目を瞑れば頭の中に殺した者が浮かんでくる。寝れなくて辛い思いをしたものだ。


「お話の最中に申し訳ありません。エイルドが話したいと言って」


アンジェがすまなそうに言ってきた。今回の見回りの事だろうか?私はアンジェとエイルドを座らせて話を聞く事にした。


「お父様、どうして領地に帝国が攻めてきたのでしょうか?」

「帝国が王国の領地を欲しがっているからと聞いている。何十年も前から帝国は王国に戦いを仕掛けている。帝国から領地を守るためにお前の祖父も帝国と戦い亡くなった」

「どうして村を壊したり、人が殺されたりするのですか?」

「男爵領は帝国領に近い。国境を越えて村を襲ったり人を殺したりしている。領地内の兵もそれを阻止するために見回りをしているのだ」

「領地内の村を襲われない方法は、村人が殺されないようにするには帝国に戦争で勝てばいいのですか?」

「そうだな。戦争で勝てばいい」

「今回の旅で色んな事を聞きました。戦争に参加して亡くなった人の事や村を襲われて大変な目に遭った人の事。お父様、私は戦争を無くしたい。村を壊されて悲しんだトルクを見て思いました。どうすれば帝国に勝てるのですか?」


アンジェを見ると首を振って目を落としている。二人で話し合ってきたのか。母親としては戦争に参加させたくないだろう。

しかし貴族の子供だ。戦争に参加しなければならないだろう。私も戦争に参加して運よく生き残った。

だが戦争を我が子にも経験させないといけないとは貴族に生まれた事を後悔した。

エイルドは領地を守るために帝国と戦うと言っているが、それで勝てるならもう終わっている。

王国では戦争派と和平派と中立派で別れていて大半は戦争派だ。和平派と中立派は少数で義父は中立の立場を取っている。中立と言っても好んで戦いを仕掛けないだけだ。勝つ見込みがあれば戦争を仕掛けるし、和平が必要ならその方法も取る。

私も昔は戦争派だったが戦争を経験して変わった。無茶な作戦で知り合いが戦死して私も死ぬ思いをした。

戦場を知らない王国の貴族が上層部に居て下の者たちの事をまるで分っていない。戦意が足りないから負けた、命令通りに行動しないから戦死した。負けたり戦死したのは上層部の作戦が悪いからだ。下級貴族や平民の兵達が死ぬ思いで戦っているのに奴らは後ろで酒を飲みながら作戦を立てる。そんな奴らの作戦で友人や知り合いが戦死して私は戦争に極力参加するのを止めた。バカ貴族の作戦に付き合っていたら命がいくつ合っても足りない。

少しでも勝てる確率を上げるには上層部に行くしかない。少しでも指示が出せるように偉くなる王国騎士や部隊長として戦えるのならば命が助かるかもしれない。

その為には。


「帝国と戦うのなら王国の上級騎士になる方が良いと私の護衛騎士が言っていました。私は帝国と戦う為に王宮騎士か上級騎士になります」


上級騎士は王族や王宮のために働く騎士の事だ。領主が任命する普通の騎士とは異なり、王都や王宮を守るための騎士を上級騎士。王族を守る騎士は王宮騎士又は近衛騎士と呼ぶ。

コネが大半だが男爵以上の身分やランクも最低D級以上での武力がないと上級騎士にはなれない。

身分は男爵でギリギリだ、ランクも王宮学校卒業までにD級いやC級になれば大丈夫だろう。問題は知識と礼儀作法だな。エイルドは勉学が苦手で礼儀作法も未熟。それを五年間でモノに出来るかは本人の努力次第だな。


「なる事は可能だが今の勉強では難しい。まずは知識と礼儀作法を学ぶ事だ。学校の成績上位の者しか王宮騎士にはなれないぞ」


王族自らに任命されて王宮騎士になるか、王宮で上級騎士の試験に合格するか。王族自ら騎士に任命する場合は学校で上位の成績を収めて王族の目に留まれば可能性はある。王宮の上級騎士は学校の成績からランク、礼儀作法までいろんなテストがある。私の知り合いが上級騎士になっているがかなり苦労したと言っていた。そして上級騎士になった後も大変だったとぼやいていたな。


「努力します。帝国から領地を守る為ならどんな事でもやります」


エイルドを見るが意思は固そうだ。

アンジェを見るが顔が曇っている。どうやら答えを間違ったようだな。アンジェはエイルドが上級騎士になるのを望んでいない様だな。

レオナルドは特になにも言わない。レオナルドは上級騎士になる成績だったが爵位が足りなくて諦めて私の騎士になっている。レオナルドに教えてもらえば大丈夫だろう。そしてトルクを側に就けておけば良いと思うがこればかりは勝手には決める事ではないか。


「ならば明日から上級騎士になる為に鍛える。王都の学校に行くまで時間が無いから厳しくいくぞ」

「どんな事にも負けません」


明日から鍛える事にしてエイルドを部屋から退出させた。明日から忙しくなりそうだ。主にレオナルドが。


「レオナルドよ。エイルドを鍛えてくれ」

「本当によろしいのですか?」

「帝国との戦争には行く。上級騎士になっていればその時に生き延びる確率も高いだろう。エイルドが自分で考えた将来だ。頼んだ」


ため息をついて「厳しくいきます」と答える。ついでにトルクも鍛えてくれと頼んだ。


「貴方、本当にエイルドは上級騎士を目指すのでしょうか?」

「本人が言っているし爵位も問題ない。あとは学校の成績だな」

「どうして上級騎士になる事を選んだのでしょう。他にも道があるかもしれないのに」

「エイルドの護衛達がそのような事を言ったようだな。今回の旅でエイルドは成長をしたな」

「親としては嬉しい反面悲しいですね。あの子が自分で将来を決めるのですから。私もエイルドに礼儀作法やダンスが出来るように指導しましょう。ポアラやドイルの見本になってくれたら嬉しいのですけど」

「そうだな。長男としての自覚が出てきたと親として喜ぼう。今からトルクと賊に攫われた女達を呼ぶがアンジェはどうする?」

「私も参加しましょう。殿方だけの部屋に女性を呼ぶのですから。何かあったら大変です」

「大変な事なんて起きないぞ」

「男性の視点から見たらそうかもしれませんが女性の視点から見たら大変な事が起きるかもしれませんよ?」

「わかった。女性が居た方が彼女達も緊張しないだろう。レオナルド、トルク達を呼んできてくれ」


レオナルドは一礼をして部屋から出た。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] そこまでのことされてたにも関わらず対処を遅らせるもしくはしなかったのは泳がせてたからなのか単に気づけず放置してたのかで評価変わるだろうが後者なら王国だかなんだか知らんが自浄能力がない愚国なら…
2022/03/05 19:00 退会済み
管理
[一言] 貴族なのに馬鹿じゃね?たかが一国滅ぼせた所で人間が複数いる時点で争いは終わらんよ。ホントに争いを終わらせたいなら世界を洗脳するか人っ子一人残らず滅ぼして世界から人間を無くすことだな。
2021/07/23 18:29 退会済み
管理
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