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精霊の友として  作者: 北杜
四章 男爵家使用人編
71/275

4 賊達

11万PV突破&2万ユニーク突破。

皆様ありがとうございます。


2/3 サブタイトル修正

ツボ……。体にあるツボ、面積の単位のツボ、食糧や飲み物を入れるツボ。どれだ?

他に意味があるのか?又は隠語か?それとも突っ込むべきだったのか?


「ツボって何のツボ?」

「馬鹿だな、お前は。ツボって言ったら一つしかないだろう。物を入れるツボだ」


ツボを割って物を取る国民的RPGを思い出した。そーかー。壺の精霊か。


「何で壺の精霊だよ。風と光で来ているから気体とか液体の精霊とかだろう。百歩譲って固体の精霊でもいい。なんで壺だよ。原料は土だろう?土の精霊じゃないのか?」

「壺を馬鹿にするな。土じゃなくて金属だ。現に敵を倒したし、いろんな物が入る硬くて強い壺だぞ」


オーケー、壺の精霊なんだな。解ったよ。解ったからそんなに近づくな、唾が飛ぶだろう。

それよりも敵を動けない様にしないとな。ロープの類が無いから敵の服を剥いで手と足を縛っておく。後はレオナルド様達に知らせないといけないがどうやって知らせよう。


「おーい。頼みがあるがいいか?」


壺の精霊よ。なんだよ今考え事をしているから少し黙っていてくれよ。


「ここを掘ってくれ。ここにオレの本体の壺が埋まっているんだ」


今考え事をしている。邪魔するなよ。


「敵から子供を救っただろう。頼みくらい聞いても良いじゃないか」

「わかったよ。そこら辺だな?土魔法を使うが大丈夫か?」

「大丈夫だ。深さは僕の三倍くらいだ」


そこまで深くないな。土魔法を使って穴を掘る。そしたら土で汚れている金属の壺が出てきた。結構重いな。掛け声とともに壺を穴から取り出した。


「ふー、重かった」

「ありがとう。それでお願いがあるんだ。この壺は君にあげるからオレの壺を他の場所へ連れて行ってくれ。オレは壺の周辺しか行動が出来ないんだよ。この場所は飽きたし、人もいなくなった。お前が住んでいる所に行ってみたいから壺をお前が住んでいる所に持って行ってくれないか」

「まあ、壺は貰えるのは別にいいけど、どうして壺がこんな所に埋まっていて壺の持ち主は誰だ?」

「ここに壺を埋めて他の場所で壺の持ち主は死んだ。光と風はどこでも自由に行けるからこの村の外でも活動できる。でも僕の行動範囲はこの村周辺までだ。光と風も僕の為にこの辺りにいるんだよ。僕も他も所に行ってみたい。そしたら光も風も他の場所に行ける。僕が動ければ良いが壺は一人では動けない。だから壺を君が住んでいる場所に連れて行ってくれ」

「いいぞ」


しかし壺を持って行くのは別にいいがどうやってレオナルド様達に言ったらいいんだよ。「変な壺を見つけました。持って帰ります」何て言ったら変な子供だと思われるだけだぞ。それに敵からエイルド様を救ったか考えないといけないし。


「こっちの方向です。変な光が見えたのは」

「分かった」


ヤバい兵隊さんの声が聞こえた。どうやって説明すればいいんだよ。気絶している敵とエイルド様。壺を持っているオレ。他の人には見えない精霊。そして光の精霊、其の三の光。えーと?えーと?えーと?ダァーーー!!なるようになれ。


「この辺です。トルク殿、一体どうして此処に。エイルド様は御無事ですか?」

「はい、私も変な光を見てここに来たら大人がエイルド様を連れていましたから大人を無力化しました。エイルド様は気絶しているだけです。この大人は誰ですか?無力化しても良かったのでしょうか?」

「こいつは賊の類です。エイルド様がご無事で良かった」


本当に良かったですね。首が繋がったからな。あ、レオナルド様だ。


「トルク、お前が賊を無力化したのか?」

「なんとか。土魔法で穴を掘って転倒させたら打ち所が悪かったのか賊は頭を打って気絶した様です」

「それでその壺はなんだ?」

「土魔法の穴から出てきました」

「どれ、結構年代物の様な気がする。金属か。うん?これは金じゃないか?」


レオナルド様は袖で磨くと壺が金色に輝く。金の壺かよ。どうしてこんな所に金の壺が埋まっているんだよ。壺の精霊其の一。金なら金と言えよ。


「とりあえず村に戻りませんか?エイルド様を寝かせてあげないと」

「そうだな。トルクは壺の事も含めて私に説明してくれ。お前達は賊を縛り上げて村の広場へ。私はエイルド様を連れて行く。トルク来い」

「分かりました」


あれ?精霊達が見当たらない。どこに言ったんだ?小声で精霊達を呼んだが声も聞こえなくなっている。でもこの壺が精霊の本体って言っていたから近くにいるんだろう。また精霊達が見えたり声が聞こえたりするだろう。オレはレオナルド様に今回の事を説明する事にした。大丈夫かな?矛盾は無いよね。




オレはこの賊、いや賊達の事をレオナルド様から聞いた。

最初はエイルド様が村を散策中に十人位の賊達が襲い掛かってきたらしい。その時護衛の人数は五人しかいなかったためエイルド様を守りながら応援を待つ陣形を取っていた。だがエイルド様が台無しにした様だ。

エイルド様も戦闘に参加しようとしたが、武器が無く、賊が落とした武器を拾おうとして賊から殴られ気絶させられた。賊はエイルド様を担いで森へ逃げだした。兵達を襲っていた賊達もエイルド様を捕まえたら一目散に森へ逃げ出し、護衛達は急いでエイルド様を助けようとして攫った賊を追いかけていたが追っている賊がエイルド様を運んでいないのに途中で気づき、エイルド様を探すために村周辺を探索した。

……見事に囮に騙されたんだな。これは賊が見事と言うべきか、護衛の兵達が間抜けと言うべきか。

その後、騒ぎを聞きつけたレオナルド様はエイルド様と賊達を探すために部隊を分けて指示をした。そして指示をする為に村の広場に戻ったら、荷物や食料がある馬車を盗もうとしている賊達を見つけたのでこれを成敗したが数人が逃げた。

……賊達の狙いは食糧が有る馬車だったようだ。一体どこに隠れていたのか?周辺の森には居なかったはずなのに。廃墟の中かな?

レオナルド様達は賊達を捕縛中に森の奥で光が発生したから見に行ったら気絶している賊と攫われたエイルド様。そして壺を持っているオレ。

オレが土魔法で地面に穴をあけて賊を転倒させて意識を失わせて、エイルド様を助け出した。そして賊が転げた穴の中から何故か金の壺が出てきたので回収。

それが今回の事件の全容だ。

オレ達は気絶したエイルド様と賊と壺を持って村に戻り、エイルド様は家の中で休ませて広場に賊を連れて行った。

広場には十人位の賊が捕まっており残りは森へ逃げて近くには居ない様だ。この辺で賊になっているってことはこの村出身の奴が賊になったのかな?そう思って賊の顔を見ているが見覚えがない。というよりもオレは村人の顔を思い出せない。思い出せるのは親戚の叔父と祖父と祖母だけだ。他の村人は思い出せない。サウルを渡してもほとんど話もしてないし付き合いが無かったからな。

レオナルド様達と一緒に賊を見ていると賊の一人が言った。


「お前、トルクだろう。村長のところの」


あれ、オレを知っている人がいた。言葉からするとこの村の村人かな?しかし誰だろう?思い出せない。オレに喋った奴はこの村出身だと思うが思い出せない。


「お前、オレ達を助けろ。村が壊滅してからオレ達は食料も無くて苦労しているんだぞ。どうしてオレ達がこんな目に遭うんだ」


それはお前達が賊に成り下がったからだろう。確かに村が壊滅したのは帝国のせいだと思うが賊になる必要はなかったんじゃないか?


「これもお前達親子のせいで帝国が攻めてきて村が壊滅したんだぞ」


え?どういう意味?


「もともとこの村はヴァング男爵様の領地だったのにお前の母親が馬鹿したせいで他の馬鹿な貴族の領地になったんだ」


その貴族様を馬鹿にしているのかな?お前を捕まえた周りの兵達はその領地の人達だよ。


「オレ達は男爵様の兵だ。それもただの兵じゃないぞ。特殊な事が出来る兵だ。ヴァング男爵のためにオレ達はいろんな事やった。帝国から守るために帝国の人間達を殺したり、村を襲ったり。男爵の命令通りにオレ達にしかできない事を」


それって今回、王国がされている事だよね。まさかお前達が帝国領の辺境の村を破壊したりしていたの?でも、この人数で帝国領の村を襲ったりしていたのか?少ないような気がするし、こいつら兵隊ではなくて村の農民だよね。ちょっとおかしくない?レオナルド様も少しおかしいと思って何か言おうとしたが賊に声を遮られた。


「ヴァング男爵が帝国から領地を守るために戦っているんだ。オレ達はその先兵だぞ。他の村を襲ったりしてもヴァング男爵の命令なら罪に問われなかったのに。これも全部お前の母親のせいだ」


全部逆恨みだよね。しかしヴァング男爵って結構すごい事していたんだね。しかし母親が元男爵を騙したと思っているんだ?母親がこいつになにか恨まれる事をしたのか?


「お前の母親がヴァング男爵を騙したのだろう。あの女のせいだ。せっかく男爵にあの女の事を教えて村から出たのにまた戻ってきやがって」


……こいつのせいで母親は不幸になったのか。そして妹と離れ離れになったのか。こいつのせいでオレ達は不幸になったのか?

手に力が入る。こいつを殴って恨みを晴らしたい。


「あの女が村から居なくなって清々したぜ。あの女が好きだった男も戦争に行って死んじまったし、残念なのはそのときに顔が見れなかった事だ。だが村に戻ってきた時に言ってやったよ。「お前が好きだった奴は戦争に行って死んだ」ってな。そしたらあいつ気絶しやがった」


レオナルド様の雰囲気が変わった。この賊に怒っている。何かあれば剣を抜いて殺すだろう。その前にオレがキレて殴りたいが賊を殴ったりしたらレオナルド様から怒られるだろうな。ここは我慢我慢。


「ガハハ、楽しかったぞ。あいつの顔が白くなって気絶するさまを見るのは。女は黙って男に媚と腰を振っていればいいんだよ。それを何かとつけて五月蠅くしやがって」


……我慢しろオレ。中の人も我慢しろよ。オレは理性ある大人、オレは理性ある大人。


「オレ達がこの国の辺境を守ってやっているのにどうして捕まらないといけない」


レオナルド様が低い声で言った。


「お前達は王国の兵ではない、盗賊だ。子供を攫い馬車を盗もうとした罪で死罪か強制収容所で死ぬまで働くかだ」

「何が盗賊だ。オレ達はヴァング男爵の私兵だぞ。戦争時は人を殺しても罪にはならない。今回も、今迄もそうだったんだ」

「勘違いしている様だが、ヴァング元男爵は罪を犯して死罪になった。知らないのか?」

「そんな事は知っている。それでもヴァング男爵の後継者がオレ達を守ってくれる」


居たのか?ヴァング男爵の後継者が。


「ヴァング男爵領は領地没収だ。現在ヴァング男爵領は無い。後継者や家族は平民に落とされ行方知れず。お前達を守るヴァング元男爵はもうこの世にはない」

「ガハハ、何を言っている。あの男爵が簡単に死ぬ訳あるか」

「事実だ。男爵は死んだ」

「……やっぱりあの女のせいだ。あの女が何かしたに違いない。男爵の事など無視してオレが殺せばよかった。いや殺す前に犯して地獄見せて殺してやる。そのガキもだ!お前もぶち殺してグフッ」


レオナルド様がいきなり切りつけて殺した。首を切りつけて血が飛び出る。レオナルド様に血が付くが関係ない様にその場にいる。


「何が王国の兵だ。それなら村を蹂躙した帝国兵を殺せ。ウィール男爵領に蔓延る賊が!」


こんな怒っているレオナルド様見たのは初めてだ。めっちゃ怖い。


「トルク、エイルド様を見てきてくれ。起きているならここに来るように。起きていないなら目覚めを待ってここに来い」

「はい、分かりました。それから血で顔と服が汚れています。水を持ってきましょうか?」


レオナルド様は顔と服が血で汚れている。無表情でめっちゃ怖い。


「そうだな。だが、まずはエイルド様の所に行け」

「わかりました」


どうかエイルド様が寝ているように願いながらオレは家に向かったが起きていた。それも話も聞いていた様だ。


「エイルド様、起きてましたか。お加減はいかがですか?」

「大丈夫だ。トルクが助けてくれたと聞いている。ありがとう」

「運よく近くにいたからですよ。それよりレオナルド様がお呼びです。広場に行きましょう」

「……なあトルク。レオナルドは何をする気だ?」


エイルド様がめっちゃ怖がっている。周りの護衛の兵達も怖がっているよ。


「わかりませんが、私達も行きましょう。これも剣の達人になる試練でしょう」


桶に水魔法で水を入れてエイルド様の手を取って向かった。あまり行きたくないが仕方がない。今のレオナルド様には近づきたくないよ。何をさせる気なのかな。物騒な事じゃなければいいが。

広場に来ると盗賊達が全員縛られて口を塞がれていた。


「ご足労ありがとうございます、エイルド様。今からこの盗賊達の二、三人残して他の奴は死刑にします。本当なら二人に賊を殺してもらいたいのですが二人ともまだ子供です。今回は人が死ぬところを見ていて下さい。これも領主として貴族として騎士として歩む道です」


物騒な事だった。それもとびきり物騒な事だ。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 物騒とか言ってるけど剣士にしろ人をや害虫を殺すもんだぜ?道楽とかならチャンバラゴッコすればいい。ガキだろうが大人だろうが武に生きると言うなら、人の上に立つと言うなら殺す覚悟も殺される覚悟もす…
2021/07/23 18:06 退会済み
管理
[気になる点] 誤字報告しましたが、どっちが正しいのか不明です。 20,33,34,35:ヴォルグ 71:ヴァング 別人物でしたら申し訳ない。 https://ncode.syosetu.com/…
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