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精霊の友として  作者: 北杜
三章 伯爵家滞在編
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お待たせしました。お料理バ〇ザイ!の時間です。司会・解説・実況はトルクがお送り致します。

今回の料理は唐揚げです。材料に使う肉は鳥のモモ肉・ムネ肉の唐揚げです。まずは肉を柔らかくするために肉にフォークで穴をあけてお酒に漬けます。次に塩を振って揉み込んだ後、小麦粉と溶いた卵と水を少しをまぜて肉をまぶします。油はオリーブオイルみたいなものを使って油で揚げます。きつね色になるまで揚げたら油を切って出来上がり。副料理長と執事長が今回の毒見ではなく味見役です。


「旨い、油を使う料理と聞いていたがこんな料理法は初めて見たぞ」

「サクッとして肉も味がついていて旨い。これならサムデイル様達も喜ばれるだろう」


毒見もとい味見の人達もオレの料理をベタ褒めして厨房の料理人に食べさせる。今回は上手くできたかな?オレも食べてみる。


「・・・イマイチだな。少しやり方を考えるか」


やはり、一味足りない。どうしてかな?ここには料理の相談をしているデカルさんはいないし。どうしよう。椅子に座って考える、考える。


「どうしたんだい?」


考えている最中にイーズ父が訪ねた。


「この唐揚げが何か物足りなくて。考え中です」

「この料理に不満が有るのかい」

「味に不満が有ります。改善できるか考え中です」

「待ってくれ。この料理はとても美味しかったよ。それでも君は不満が有るのか?」


副料理長がオレに言った。


「オレには何かが一味足りないのですよ」


なんか厨房が静かになった。これで考え事に集中できる。そういえばソースは作ってないよね。それにレモンをかけたらおいしいはずだ。そうと決まれば食糧庫に行くか。席を立って食糧庫に向かうと副料理長が声をかけた。


「トルク、どこに行くんだ」

「食糧庫に食材を探しに行きます」

「私も行こう。食糧庫のドアのカギは私が持っているからな」


もう食糧庫のドアは修理したんだな。流石は伯爵家だ。ドアの修理も早いな。


「私も行きましょう。トルク殿がどんな材料を使うか気になりますので」


執事長さん、さすがに変な材料は使いませんよ。でもあの話を聞いたら信用されてないな。「トルクはゲテモノ好き」だと。


「副料理長さん、酸味のある果物ってあるかな?」

「これなんでどうだ。酸っぱい果物だ」


おお、レモンっぽいものだな、見た目もレモンだ。そうだ野菜も油で揚げるか。カボチャと人参とピーマン、それから魚ってあるかな?


「魚は有りますか?」

「魚かい、これなんてどうだ。川魚の良いやつだ」


ヤマメっぽい魚だな、ヤマメかな?これを揚げるか。厨房に戻って野菜や魚の天ぷらを作る。いつの間にか天ぷらを作っているよ、なんで?

とりあえず完成をしたのでみんなで食べる。唐揚げにはレモンの汁をかけて食べる。天ぷらは汁が作れないから塩で食べるが味はやはりイマイチ。周りの人は絶賛しているがもう一工夫ほしいな。何か手は有るかな。椅子に座って考える、考える。

・・・出てこない。オレの前世の食生活を思い出したらコンビニ飯や外食が多かったし、簡単で雑な男料理だからな。詳しい事は解らないよ。



夕食の時間が迫ってきたので厨房で料理を作る。本日の献立は鶏のから揚げに天ぷらです。脂っこいものばっかりだからサラダも付けます。

副料理長やイーズ父、伯爵家料理人と作り完成。お代わり分も用意をしておく。唐揚げや天ぷらは熱いうちに食べるのが美味しいからね。

執事長さん達が料理を食堂に持って行く。これで仕事は終わった。次に伯爵家で働く人達の夕食を作らないとね。


「トルク、君も来なさい。配膳を手伝ってくれ。それから料理の説明をしないとな」


執事長さん、オレは伯爵家の使用人ではないですよ、男爵家使用人です。

執事長さんと副料理長に連れられてオレも食堂に向かった。食堂に入ると伯爵夫婦と男爵家族が全員揃っている。皆さん新しい料理に目を向ける。


「これが唐揚げと天ぷらと言う料理か。この黄色の皮みたいな物はなんだ?」

「小麦粉と卵を油で揚げたらこんな色になります」


オレは問いに答える。それから伯爵様は副料理長を見る。


「その通りです。その皮は衣と言います。その衣の中には鳥の肉や野菜が入っています」


どうして伯爵様は副料理長に確認をする。


「これが油で揚げる料理か。それでは食べてみよう」

「うん、これは旨いな」

「サクッとして中は柔らかいのね」

「野菜も甘くておいしいな」

「唐揚げにレモンの汁がかけられているのね。サッパリしているわ」

「肉も魚もすごく旨いな」

「美味しい」

「トルク、お代わりはあるの?」


料理は好評のようだ。頑張ったかいがあったよ。しかし天ぷらつゆが出来なかったな。あれが出来たら良かったんだけど。今度は調味料を考えてみようかな。みんなの食事が終わって団らんタイムになりました。エイルド様、ポアラ様、ドイル様の今日の出来事をみんなで話したり聞いたりしている。エイルド様やドイル様は伯爵家の兵達と訓練をしていたそうだ。伯爵様も途中から参加してエイルド様とドイル様と試合をしていたらしい。孫と遊ぶお爺様のようですね。ポアラ様はマリーと一緒に遊んだそうだ。しかし途中からアンジェ様と母さんと一緒に外の街に買い物に出かけたそうだ。オレだけ働いているのにみんな楽しそうだな。


「トルク」

「はい」


いきなりクレイン様から呼ばれた。なんだろう?


「旨い料理だった。これからも頼むぞ」

「ありがとうございます」

「それから明日は休みだ。ゆっくりしていいぞ」

「ありがとうございます」


やったー。初めての休みだよ。何をしようかな。街に遊びに行こうかな、それとも一日中寝て過ごそうかな。


「明日は休みか、ならオレと遊ぶぞ」

「トルク、明日が休みなら僕と一緒に遊ぼうよ」


エイルド様、ドイル様、待ってくれ。オレの休みが無くなるよ。


「明日はお母様とお婆様と劇を見に行くから一緒に行く?」


ポアラ様も誘わないで下さい。劇は気になるけどマリーや母さんを誘ってよ。クレイン様が目で断れって言っているよ。


「申し訳ありませんが、男爵家での初めての休暇ですので今回は辞退します」

「・・・待て、トルク。初めての休暇だと?」

「はい、村から出てきてから休みをもらった事はありません」

「使用人は十日に一回の休みが有るはずだが」

「休みはもらってないです」

「・・・レオナルドを呼んできてくれ」


また変な事を言ったようだ。使用人に休みが有ったなんて知らなかったよ。

でも、オレは下人と勘違いしていたからな。下人には休みが無いと思っていたし。少ししたらレオナルド様が入って来た。


「お呼びと聞きました」

「すまん、トルクが休みを取った事が無いと言ってな。トルクに休みを取らせてないのか?」

「・・・休みは有りました。トルクの休みの日は何故かエイルド様、ポアラ様との訓練や勉強の日と被るのです。それ以外の休みは何故か休みが潰れたり無くなったりしています。トルクの日課ですが朝はデカルと朝食の準備。それからエイルド様達と勉強。それから鍛錬や魔法の勉強、私の手伝い、その後は屋敷の掃除や雑務。夕食の料理を手伝って夜は勉強をして休むそうです」


・・・オレって結構働いているな。


「そして、休みの日に何故か用事が入って休めなかったようです」

「代休は出来なかったのか」

「その代休に用事が入っていたようです。主にエイルド様達の用事で潰れたようです」

「トルク、どうして言わなかった」

「すいません、下人には休みは無いと言われてまして、最初の農園の人からは「貴様のような下人は休みなんて有るか」と言われた記憶が有ります」

「・・・済まなかったトルク、明日はゆっくりしていいぞ」

「・・・そうですね。働き詰めだったので少し休みます」

「お前達も明日からトルクと遊ぶのは無しだ。お前達と遊ぶと休暇ではなくなる」


クレイン様、ありがとうございます。


「明日、街で買い物が出来る様に給金を渡しておこう」


レオナルド様もありがとうございます。


「明日はゆっくりしていいわよ」


アンジェ様もありがとうございます。

オレは何故か休みを手に入れた。でもなんだろう?変な感じがする。前世で次の日が休みなのに休みの日に新しく仕事が入って同僚から連絡があり休みが潰れそうな感覚だ。職場からの連絡は取りたくないが、取らないと休み明けが怖い。そして職場からの呼び出しで休みが無くなるような感覚だ。休日の計画が崩れて嫌々職場に行く感覚に似ている。なんだろう?この嫌な感覚は。これは休みを取らない方が良いような気がしてきた。



次の日、オレの休みの日だ。ベットで寝ているマリーを起こして、食堂で母親とマリーと食事をした。


「今日は休みを貰ったから部屋で一日中ゆっくりするよ」


嫌な予感がするときは何もせずに部屋にこもるのが一番だ。


「そんな事しないで街にでも遊びに行きなさい。今日もいい天気よ」

「でもね」

「貴方も大きい街は初めてでしょう。見学でもして勉強なさい」

「しかし」

「私とマリーちゃんは家にいるから今日は羽を休めたらいいわよ」

「だが」

「街はとても面白かったよ。お土産よろしくね」

「お土産よろしくー」


母親はオレを外に出したい様だ。お土産の催促付きで。マリーよ、お前もお土産を催促するな。サウル(ウサギみたいな動物)を捕って土産にするぞ。仮病を使って部屋にこもろうかな。


「仮病はダメよ。キチンと街で遊んできなさい。帰ってからどこに行ったか教えてね」


勘の良い母親を持つと苦労する。仕方が無いので外出する準備をした。途中でレオナルド様に会い給金を貰った。


「今回はいろんな事をしてくれたからな。奮発して銀貨10枚と大銅貨10枚だ。大事に使えよ」


そういえばお金を使うのは初めてだな。確か銀貨1枚で大銅貨10枚。大銅貨1枚で銅貨10枚。銅貨1枚で小銅貨10枚。ついでに銀貨10枚で大銀貨1枚だ。その上は金貨に大金貨だ。大銅貨が1枚が1000円位の値段だよね。だから計算すると11万円位か。結構もらったな。


「こんなに貰っていいんですか?」

「お前には結構、苦労をさせているからな。今日くらいはゆっくり遊べ。あとお土産もよろしくな」


レオナルド様にもお土産を催促されたよ。これって男爵様達にもお土産を買ってこないとダメなパターンじゃないかな?とりあえず全員分のお土産を買ってくるか。お土産は経費で落ちるかな?


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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