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精霊の友として  作者: 北杜
一章 村人編
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 村に来てから一年が過ぎた。まだ村八分は続いている。叔父さんとマリー以外は誰もオレ達に話しかけてくれない。

 母親は病気がちで体調を崩してベッドから起きられない日が続く。

 オレの日課は午前中に叔父さんの畑の手伝いをして、午後からはサウルを捕っては叔父さんや村人、村長に渡している。

 サウルをお土産として村中の家に渡しているのだ。引っ越しそばならぬ引っ越しサウルだ。

 サウル(ウサギもどき)を村人に渡しているから評判は少しずつ上がっていると叔父さんは言っている。

 だが村長が村八分を解除しないからまだ無視は続いている。村長の家にもサウルを渡した事があるが村長に渡したら暖炉に投げられて。


「薪にもならん物を持ってくるな」


 と言われて殴られた。

 今度はサウルと薪を持って挨拶に行ったら今度は無言で殴られた。仕方がないので今は村長の奥さん、おばあさんに渡している。

 おばあさんはそこまで怒っていないようだがおじいさんの言うことに従っている。

 この村は男尊女卑の世界の様だ。叔父さんが村長になったら男女平等を掲げてほしい。

 そしてオレは魔法も上達して色んな属性魔法が使えるようになった。


 水魔法→コップ一杯から桶一杯くらいに。

 火魔法→マッチの火位に。

 風魔法→扇風機の弱風(約10秒ぐらい)

 土魔法→広さ三十平方センチメートル深さ三十センチメートル位の落とし穴。


 一年位で結構成長したもんだ。

 母親に言わせるとかなりの才能らしい。比較対象がいないからわからないが才能があると信じよう。

 それから叔父さんの娘のマリーも魔法に興味を持ったみたいでオレと一緒に魔法の勉強をしている。

 現在は魔力を感じる訓練をしている。目をつぶって、むぅむぅ言いながら訓練をしている姿は小動物みたいで微笑ましい。

 魔法を使える村人はオレと母親だけだ。母親の祖父、オレのひいじいさんが魔法を使えたので基礎を習って、貴族の家で習い上級レベルになったらしい。

 上級の水魔法が使える母親には才能が有る。魔法が使える人は結構少ないらしいから頑張って中級以上の魔法を覚えておけば就職にも役立つよね。

 その前に村の為に役に立って村長をはじめ皆から認めてもらって村八分を解除してもらわないと。村八分さえ無くなればこの村で一生を終えても良いかもしれないな。

 なんにせよ、将来の事は後で考えよう。まだ時間はあることだし。

 なお、一番覚えたい光魔法の回復魔法はまだ使えない。どうすれば良いのか試行錯誤しているが、きっかけすら掴めないでいる。

 光魔法の使い手はほとんど居ないと母親が言っていた。なんでもこの国に100人位しか居ないとか。

 それを聞いたときは「希望するのはタダだから一応頑張ろう」と前向きに思うようにした。

 今日も、仕事が終わって魔法の勉強をしていたマリーを家まで送り返す。

 歩いている最中も魔力を感じる訓練をしているみたいでまたむぅむぅ言っていた。

 アドバイス等もしているが人によって魔力の感じ方が違うから詳しく言っても混乱するらしい。

 ちなみにオレの魔力の感じ方は「元〇玉」だった。「みんな、オレに力(魔力)を分けてくれ」という変なことをしていたら体から変な力が出てきたから「元気〇ー」と言いながら手を木に向けたらコップ一杯分の水が出てきた。


「あ、水出た……」


 とつぶやきながら変な力に違和感を覚えながら、ゆっくりと体に馴染ませながら家に帰って母親に報告をした。

 変な力のせいでふらつきながら報告をする。母親から「どんなふうに魔力の訓練をしたの?」と聞かれたのでオレは「〇気玉!」とドヤ顔で答えたが、母親は返答に困ったようだった。

 まぁ知っていたら凄いだろうからな。ド〇ゴン〇ール万歳!

 マリーは家に帰りながらも歩きながら魔力の訓練をする。たまに集中して足元を見ないで転倒するから良く見ないといけない。でも一番の問題は。


「獲物を発見したぞ、みんな攻撃だー」


 村の子供達の攻撃、石や泥からマリーを守ることだ。子供の投げる石や泥の命中率は悪いが偶に命中する。命中する確率はプロ野球選手の打撃率くらいだろうか?

 マリーの手を引いて急ぎ家に向かって走る。マリーは足が遅いから偶におんぶをして走る。

 苛めが始まったのはマリーがオレの家で魔法の勉強を始めた少し後からだ。

 最初の苛めはオレがマリーを叔父さんの家に送っていたときに、村の子供達から石を投げられたが足元に落ちたから無視して、特に被害は無かった。家に帰ったらマリーは「石を投げつけられた」と泣きながら叔父さんに抱き着いた。

 ごめんなー、マリー。オレ達親子のせいだよね、多分。

 もう、オレの家には来ないかなー、と思っていたら叔父さんが慰めて説得したのか、次の日もオレの家で魔法の勉強をしていた。

 叔父さんに心配をさせない為にも、オレが子供達の苛めからマリーを守るために毎日送り迎えをしている。

 頑張れマリー、負けるなマリー。



誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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