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精霊の友として  作者: 北杜
二章 下人編
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10,000アクセス突破。ありがとうございます。


気絶しているドイル様をおんぶして上流へ向かって歩いていく。結構下流に流されたようだ。やはり精霊とおしゃべりしている最中も流れていたからな。失敗した。

ドイル様はまだ気絶中だ。外傷も特には見当たらない。回復魔法を念のためにかけておこう。

しかしあの賊め。子供を人質にとって脅すなんて、トラウマになったらどうするんだ。今度会ったら痛い目に遭わしてやる。

……ヤバい、フラグが立ったかもしれない。帰り道に賊にばったり会うかもしれない。なんでオレはそんな事を思ったんだ。

それにしても精霊か。声しか聞こえなかったが、綺麗な声だったな。マジでありがとう。溺れずに済んでドイル様も無事だし。後は陸に上げる方法をもう少し考えてほしかった。


「うーん、どうしてトルクにおんぶしてもらっているの?」


そんな事を考えているとドイル様が目を覚ました様だ。良かった良かった。


「ドイル様、目が覚めましたか?体の調子は大丈夫ですか?気絶する前の事は覚えていますか?」


ドイル様を地面に降ろす。体調は大丈夫か?意識はしっかりしているか?


「えーと、確か賊が出てお父様が倒したけど……、賊に捕まって……。そうだ川に落ちたんだ。トルクその後はどうなったの?」

「私も一緒に川に落ちてしまってその後の事は分かりません。今はクレイン様が居ると思われる川の上流に向かっている最中です。そういえば体の調子は如何でしょうか?川に落ちて流されましたが怪我はありませんか?」

「大丈夫。痛い所は無いよ。トルクが僕を助けてくれたんだね。ありがとう」

「いえいえ、ドイル様にもしもの事があったら、私の首が飛びます」


……物理的に飛ぶだろうな、オレの首。


「しかしこの川に落ちてよく無事だったね」

「運が良かったですね。これもドイル様の日頃の行いが良かったからですよ」

「日頃の行い?」

「普段の行動や日常を過ごす態度が良いと運が良くなる事です。食事で好き嫌いをしないとか、人に優しく接するとか、クレイン様やアンジェ様の言う事を良く聞くとかですね」


流石に川の精霊のお陰で助かりましたなんて言えないよね。


「へー、じゃあ僕の日頃の行いが良かったから助かったんだね。今度からも日頃の行いに気を付けるよ」


オレも精霊の友人として日頃の行いに注意をしようかな。変な印を付けた精霊だが感謝はしてやる。


「はい、頑張ってください。それでは一旦、水で濡れた服を乾かすために休憩をしましょう」


燃えそうな薪を集めて、火魔法で燃やす。やっぱり魔法って便利だな。

二人でたき火を囲い、服を乾かす。このたき火の煙を男爵様が見つけてくれれば良いけど。

たき火に当たっていると上流の方から人の声が聞こえてきた。誰か来たみたいだ。クレイン様達かな?


「何とか逃げ切れたようだな」

「なんとかな」

「クソ、お前がしっかり人質を捕まえないからこうなったんだ」

「仕方ねえだろうが、あのクソガキの変な魔法のせいだ」

「お前も魔法が使えるだろうが、このヘボ魔法使いが」

「そのヘボ魔法使いに何回、助けられたと思っている。ボケが」

「黙りやがれ、最初からぶっ殺せばいいだろうが」

「黙れ、なんの為にこんな所で賊をしていると思っている」


……フラグが立ったようだ。二人の賊がクレイン様達から逃げ延びたのか。

こっちに気付いたみたい。ヤバいな。武器は無いし、ドイル様が側にいる。援軍はまだ到着していない。敵は大人が二人でこっちは子供が二人。

よし逃げよう。全速力で逃げよう。逃げて援軍を待とう。


「ドイル様、逃げますよ」


ドイル様の手を取って下流の方に全速力で逃げる。賊達もオレ達を追いかける。やはりドイル様が走るのが遅いために賊に追いつかれた。


「よう、クソガキ。あの川に落ちても生き延びていたか」

「よう、クソガキ。よくもやってくれたな」

「お久しぶりです、盗賊さん。調子はどうですか?」


軽口を叩きながら賊さん二人に対応をする。


「調子は最悪だよ、テメエのせいでな」

「オレのせいにしないで下さいよ。盗賊なんてやっているからでしょう?」

「黙りやがれ。ぶち殺してやるよ!」

「まて!捕まえて奴隷にした方がいいだろう。一人は魔法が使える。もう一人はこのガキの人質だ」


ヤバい、オレとドイル様を捕まえて奴隷にする気か?それもドイル様を人質にしてオレに手を出させない様にするつもりかよ。ドイル様はオレの後ろで怯えている。


「殺さなきゃいいんだろう?教育してやるよ!」


オレは半殺し確定ですか?賊二人が近づいてくる。目の前に来た瞬間にオレは全力で土魔法の落とし穴を使った。落とし穴の深さ・幅は最大で二メートル位しかない。全力で魔法を使って近づいてくる賊二人を落とした。


「ドイル様、逃げますよ!」


ドイル様をお姫様抱っこして全速力で川の上流へ逃げる。クレイン様の所まで逃げ切れたらオレの勝ちだ。

一目散に逃げている最中に背中に衝撃と痛みが走った。背中に硬い物が当たったようだ。土魔法の使い手が居るんだ。石礫の魔法を使ってオレに当てたのか。

ドイル様を地面に落としてしまい、オレも衝撃と痛みで倒れこんだ。

こんな子供に魔法を使うなよ。石礫でも当たり所が悪ければ死ぬぞ、殺す気か。


「このクソガキめ!」


ヤバい!痛みで走れない。段々と賊が近づいてくる。


「ドイル様!逃げて!」


ドイル様に言っても怯えて逃げ出さない。賊の一人がオレの襟をつかみ持ち上げ、顔を殴られた。殴られて地面に落ちる。倒れた所に腹を蹴られて痛みでうずくまる。こいつオレを殺す気か?

痛みで頭が働かない。その後も顔を殴られた。ダメだ、体がフラフラする。意識を失いかけようとしたときに声が聞こえた。


「ドイル!トルク!無事か」


クレイン様の声だ。その声に失いかけていた意識が呼び戻される。オレが今出来る事はドイル様を再び人質にしない事だ。オレはドイル様の周りに土の壁を作り落とし穴に落とした。これで少しは時間が稼げる。ドイル様を人質に出来ないことが分かった賊がオレを人質にしようとするが。


「無駄、だよ。オレは、下人だ。人質の、価値は、ない」


痛みをこらえながら言った。男爵様が近づいてくる。賊の魔法使いが男爵様に火魔法を使い、炎を男爵に当てようとするが、オレが水魔法の水の壁を作り、炎を相殺する。

魔法を使った賊がオレを見る。その瞬間に男爵様が魔法を使った賊を剣で切った。もう一人の賊が逃げようとするが兵隊さんに捕まって無力化された。

オレは「助かった」と思った瞬間に意識を失った。


下人編終了。

次は伯爵家滞在編です。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。


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