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精霊の友として  作者: 北杜
十章 帝国皇城混乱編
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14 登城 トルクルート④

 我が名はトルク。

 現在、私を罰すると宣言している盟友ララーシャルと対峙している。

 ララーシャルは接近戦に持ち込もうとしているが、精霊の力を借りて光の玉を数多く作成して近づけない様に弾幕を張るが、精霊ララーシャルの回避運動には目を見張るモノがある。

 全てを避けて近づこうとするララーシャルは偶に魔法を使って、我をけん制して弾幕を張れない様にして、こちらの攻撃を阻害する。

 流れ弾が城や街に当たっている様だが気にしない。対戦中なのだから。

 帝都の混乱なんて気にしない! ララーシャルを相手に手加減は無理だから。

 ……しかし遠距離戦も飽きた。そろそろ接近戦で戦うか! 行くぞ! 天と地を司る精霊よ!


(任せたまえ御使いよ! ちなみに爆音と効果音はどうする?)

「我の声を聞け! 光よ、集いて剣となれ!」

(オッケー!)


 我の声に精霊が応える。手の平に集まった光が剣となった! これで接近戦が出来るぞ!


「受けよ、ララーシャル! 天地を砕く光の聖剣を!」


 唐竹わりの様に光剣で切りつけるが、ララーシャルに避けられる。追撃の胴薙ぎに動こうとする前にララーシャルから魔法を撃たれてオレが後ろに退く事になった。


「やるな、ララーシャル。さすがは我の相棒だ」

「その相棒になに攻撃しているのよ! いい加減に正気に戻りなさい!」

「我はいたって正気だ」

「だったらその変なポーズ止めなさい! 気持ち悪いわよ」


 ……悲しい事だ。このポーズを受け容れられないとは……。


(まったくだよ。御使いのポーズの素晴らしさが分からないなんて。……悲しいね)


 精霊の言う通りだ。

 だから我々はララーシャルに勝たなければならない!

 我の立ち振る舞いこそが至高だという事を!


「いくぞ! ララーシャル! 我が聖剣の光を喰らうが良い!」

「その前に、サクラはどうしたの?」


 ……サクラ? そういえば用事で少し出ると言ってまだ帰って来ていないな。

(サクラならお昼寝中さ。だから代わりに僕が来たんだよ)

「さすがは天と地を司る精霊だ。さあ我に更なる光を!」

「だからサクラはどうしたの! トルク!」

「サクラよりも我の対戦に集中しろ! 喰らえ! 我が閃光の連撃を!」


 ララーシャルよりも上空に飛び、光の剣を振り回す。振り回した剣から斬撃を飛ばして、ララーシャルに当てようとするが避けられ、光の斬撃が城や人に当たり爆発する。


「トルク! なんて事を!」

「フン。ララーシャルよ。目を見開くが良い。城は無事だ」


 斬撃の方に剣を向けてララーシャルに見せる。斬撃の当たった城や人には害はない。


「この光の剣は切るモノを見定めるのだ! 切ろうと思ったモノを切る。これこそ聖なる剣の御力」


 光剣を向けてポーズを取る。……このポーズが一番見栄えが良い!


(な、なんて素晴らしい決め台詞と決めポーズ!)

「フッ、我が名はトルク! 精霊の友である御使い! そして光を纏うフゴッ!」

「ポット~ォ! 覚悟は良いかしら~!」


 ん、我が友精霊サクラが怒りを露わにしているな。どうしたのだ?


「今まで何処に行っていたのだ? 我が友サクラよ。そしてなぜ我を叩く?」


 サクラに叩かれた頭に手を当てながらポーズを取る。


「トルクも勝手に精霊を体の中に入れて、思考を同調させて馬鹿なの! 自我が元に戻ったら死ぬほど後悔するわよ!」

「フッ、後悔などしない。何故なら我はグハッ!」


 サクラに再度殴られる。今度はボディブローだ……。これは後に響く……。


(御使いよ! 今のサクラは混乱している! 正気を取り戻すには叩いて治さなければ!)

「……なるほど、昭和時代のテレビの要領だな! しかし精霊を叩く事は可能か?」

(今の状態なら大丈夫だ! フュージョン中は半精霊状態だから叩けるはずだ!)

「分かった! ではサクラを正気に戻す為に戦おう!」


 ビシッとポーズを決めると後方が爆発する! さすが精霊だ。

 しかしサクラはオレ達を見ていない。ララーシャルと会話中だった。


「サクラ! トルクはどうなっているの!」

「ごめんさない、私が少し目を放したら中二病精霊に取り付かれてしまったわ」

「中二病精霊?」

「トルクに取り付いている精霊は音と幻の精霊ポット。そしてライから中二病を学んだお馬鹿な精霊よ」

「……中二病。だからトルクは『アレ』なのね」

「そう『アレ』なの。そして音と幻の精霊だから爆発してもうるさいだけで被害もないから問題無いわ」

「……だから爆発しても被害が無いのね」


 天と地を司る精霊ではなかったのか! 精霊ポットよ!


(私は天と地を司る精霊! 中二病も幻も音も聖なる力の副産物だ!)

「……サクラ、精霊をトルクから解放させる方法は?」

「ぶん殴って解放させるわ! 私とララーシャルとでトルクを解放させるわよ!」


 ……二対一か。しかし我も精霊を宿しているから数は互角!

 互角なら勝てるだろう!

 そして我には奥義がある!

 その奥義を今、使う時だ!


「刮目せよ! 我が奥義を!」


 サクラとララーシャルに向き合い、我は言葉を発す!


「精霊よ我の声を聞き、望みを叶えたまえ! 我が名トルクにおいて精霊に願い求める! 相反する光と闇の精霊達の御力を鍵とし、冥界を司る精霊に願い奉る!」


 我の言葉に精霊ポットが暗然たる雰囲気と効果音を作り出す。


「冥界を司る精霊よ! 地獄の業火を司る精霊、源光を滅する暗黒を司る精霊、我が両手に宿り怨敵を払う刃となりて、全てを消滅させる天魔の剣!」


 精霊ポットの力を借りて、我が両手に炎の剣と暗黒の剣が現れる。


「冥界の至宝が天魔の剣! 地獄の業火で敵を魂まで消滅させ、源光を飲み込む暗黒のグハッ! な、なにをする! まだ呪文を唱えている最中だぞ!」


 後ろからドラゴンに捕まり、ハリセンを持ったララーシャルとサクラに頭を叩かれた!


「馬鹿ね。敵の目の前で長ったらしい呪文を使う馬鹿が何処に居るのよ」

「それ以前に、何よその変な呪文は。言っていて恥ずかしくないの?」


 ドラゴンの短い腕は我から自由を奪い、魔法すら使う事が出来なくなった!

 せっかく作った二振りの剣も両手から消えてしまった。

 ……どうでも良いが、ドラゴンの腕が長くなっていないか? 前はもっと短かったよな? 我を捕まえるだけの腕の長さはなかったはずでは?


「さすがのトルク殿も僕の腕が伸び縮みする事は知らなかったようだね。腕だけではなく、足も首も伸び縮み出来るんだよ。精霊だから」


 クッ! なんて精霊だ! ドラゴンを甘く見ていた!

 我が友精霊よ! 脱出が可能か? 我の体から脱出して、お前だけでも生きのびてくれ!


「それでサクラ。どうやってトルクから中二病精霊を追い出すの?」

「私がトルクの体内に入って精霊を追い出す方法と、トルクの体を殴って精霊を追い出す方法の二つかしら?」

「……サクラ、中二病精霊を逃がさない方法は?」

「後者の方法ね。体から出て来たところを捕まえるから」


 ……あぁ、サクラとララーシャルが良い笑顔で我を見る。

 ……友よ、私達は此処までの様だ。


(……御使いよ。楽しかったよ。短い時間だったが、素晴らしき時間だった)


 友よ、我もだ。楽しい時間だった……。

 生涯初のマギキレの女性二人からの怒気を受けながらオレは言った。


「我が倒れても第二第三の我がグアッ! ドギャッ! ギャフッ! アベシッィ!」


 ララーシャルとサクラに殴られ続けオレは意識が遠くなり気絶した。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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― 新着の感想 ―
イタイイタイイタイポンポンイタイwww
最高に笑わせていただきました。
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