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精霊の友として  作者: 北杜
二章 下人編
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9

季節は冬。寒い時期になりました。雪が積もり大変です。辺境の村の母上様、お元気ですか。私は寒さに負けそうです。辺境の村はそんなに寒くなかったのにこっちは雪が積もるほど寒いです。なんでだろう?

朝食の支度がはじまりデカルさんと創作料理をしています。朝食の献立は寒いのでコーンスープとフレンチトースト。前世の料理を提供しています。食材や調味料があまり無いから作れる物は限られているが今のところ大丈夫。

午前中の子供達の勉強が終わって昼食を食べて次の仕事にとりかかります。

昼からはエイルド様と一緒に剣術の訓練がはじまります。寒いから外に出たくないな。部屋の中でゆっくりと過ごしたい。

そんな事を考えて鍛錬場に向かっているとエイルド様がこちらに向かって来た。


「トルク、今日は雪が降っているから鍛錬場は使えないぞ。だから今日は外で遊ぶ」

「エイルド様、今日は寒いので部屋の中でゆっくりしませんか?」

「何を言っている!外で遊ぶぞ。ドイルと三人で雪投げをしよう」


雪投げとは、雪合戦みたいなもので相手に雪を当てて遊ぶものらしい。


「温かい恰好をしてください。体調を崩して風邪でも引いたら大変ですから」

「分かった、玄関で待ち合わせだ」


エイルド様は着替えるために部屋に戻った。オレも温かい恰好をするために部屋に戻る。丁度ダミアンさんが部屋に居た。


「ダミアンさん、今日の雪で鍛錬場が使えないので、エイルド様とドイル様と一緒に雪投げをします」

「分かった、温かい恰好に着替えて風邪を引かないように」

「ありがとうございます」


温かい服を着て玄関に向かう。玄関で少し待っているとエイルド様とドイル様が来た。あれ?ポアラ様もいるぞ?


「待たせたな、雪投げをするぞ」

「ポアラ様も雪投げに参加するのですか?」

「そうだぞ、暇そうに本を読んでいたから誘ったんだ」

「よろしいのですか?ポアラ様。読書中だったのでしょう」

「大丈夫」


何が大丈夫だろうか……。まさか雪のかわりに魔法を当てるために雪投げに参加をするのか。


「よし、行くぞ」

「はい、兄上」

「ん」


元気な声で外に向かう。子供は風の子、元気だな。




男爵家の庭に着いてオレ達は雪投げをしています。


「よし、まずはトルクに投げるぞ」


とエイルド様が言ったことでオレに雪玉が集中して投げられています。

エイルド様・ドイル様が雪を投げ、ポアラ様は水魔法の水の玉を当ててきます。雪投げですよ、ポアラ様。魔法を使うのを禁止にすれば良かった。

オレも負けずと応戦をする。エイルド様に雪玉を全力で投げ、ポアラ様・ドイル様には顔には当てないように投げる。ポアラ様の水の玉だけは回避する。当たりそうな場合はこちらも魔法を使い、水の玉、水の壁で相殺をする。

ポアラ様、水魔法は当たると痛いから当てないで下さい。ヤバい、当たらないから火の玉まで使っているぞ。ポアラ様はオレに恨みでもあるのか。

エイルド様も雪玉が顔に当ったからって木刀持ってきて接近戦に持ち込まないで。オレは丸腰だぞ。

ドイル様も笑ってないで助けてくれ。

みんなで雪投げ&魔法合戦&模擬戦をして遊んだ?そういえば集団で遊ぶのは初めてだな。村では子供達とは遊んだことなかったし、マリーと二人で遊んだ事しかない。みんなで一緒に遊ぶのは疲れるが楽しかった。

雪投げの遊びが終わって、みんな満足そうに家に戻る。


「楽しかったな、トルク。またやるぞ」

「次こそは魔法を当てる」

「面白かった」

「はい、分かりました。ですが魔法と接近戦は禁止です」


またみんなで雪投げで遊ぶ約束をした。しかしポアラ様、マジで魔法を当てないで下さい。エイルド様も雪投げで接近戦はダメです。


「あ!皆さん少し待ってください。雪が服に付いてますから、払うので後ろを向いてください」


念のために回復魔法を使おう。少し体力を戻すために回復魔法を使う。よし!大丈夫。


「雪は取れましたよ」

「では、後でな」

「では失礼をします」


そう言ってオレは子供達と別れた。

あー疲れた。夕食の準備をしないといけないな。着替えるために部屋に戻ろうとするが、レオナルド様に声をかけられた。


「トルク、今大丈夫か?」


なんだろう?


「はい、何でしょうか?」

「農園に行ってくれないか。ゴランに渡す書類がある」


……農園までお使いか。寒いから行きたくないが仕方ないか。


「分かりました。行ってきます」

「これがゴランに渡す書類だ。頼んだぞ」


子供は風の子、大人は火の子。大人は寒いときは動かないものだ。オレも精神年齢は大人なのに。




寒い中、農園に向かいゴランさんの書類を届ける。風が出てきて寒いな~。


「ゴランさん、レオナルド様から書類を預かってきました」

「おう、ありがとよ。寒かっただろう。少し火に当たっていけ」

「すいません、戻って仕事をしないと」

「お茶の一杯くらい飲んでいけ、な」

「ありがとうございます」


相変わらず押しが強い。でも寒かったからありがたい。火に当たりながらお茶を飲む。温かくて心地よい。


「家での仕事はどうだ?」

「大変ですよ。主に子供達の対応が大変です」

「ガハハハッ、それは大変だな。だが将来の為だ。頑張れよ」

「今日もみんなで雪投げをしてたらエイルド様は木刀を持ってきて接近戦に持ち込むし、ポアラ様は雪の代わりに魔法を使って当ててくるんですよ。当たったら怪我しますよ」

「ガハハハッ、まあ頑張れや。冬が終わればクレイン様ご家族は旅行に行く。そしたら少しは休めるぞ」

「旅行?どこかに行くんですか?」

「毎年、春になる前に奥様の実家の伯爵家に行くんだよ。伯爵家で何日か泊るからな。年に一回の家族旅行だな」


奥様の実家が伯爵家?伯爵から男爵に嫁いだのか。


「奥様は伯爵家の方だったとは知りませんでした。しかし男爵家に嫁いだって随分、思い切った事をしたんですね」

「クレイン様は戦争で功績を上げていたからな。それに二人とも相思相愛だったらしい。今でも夫婦円満だしな」

「そうですね、二人とも仲が良くて羨ましいです」


自分の親の事を思うと、今世の父親は下種の極みだ。近くに居たらぶん殴る位では済まさない、全殺しだ。母親は病に倒れてもオレを愛してくれた。病気は治っていると思うがこの冬の寒さで体を壊していなければいいけど。

下種の父親の元に居る妹の事が一番気になる。母親も心配しているが元気にしているだろうか?将来は父親の元から助け出したいが、現状では無理だな。

お茶を飲み終わりゴランさんに礼を言って男爵家に帰る。早く帰って仕事を始めなければ。

帰る途中に後ろから声をかけられた。


「よう、久しぶりだな。トルク」


誰だったけ?覚えがないな。


「すいません、どちら様ですか?」

「テメエ、オレ達の事を忘れたのか」


うーん……、覚えがないな。誰かと勘違いをしているのかな?でもオレの名前を知っているし。


「オレ様が農園の基礎を教えてやった恩を忘れたのか」

「農園の基礎を教えてもらったのはゴランさんですよ。本当に誰ですか?」

「テメエ、ぶん殴って思い出させてやる」


いきなり殴り掛かってきた、避けて足を引っかけて転ばせる。沸点低いなこいつは。起き上がってくる前に相手の右足に土魔法で落とし穴を作りまた転ばせる。


「急ぎますので失礼をします」


急いで帰ろう。バカには付き合いきれない。


「待ちやがれクソガキ」


後ろでバカが騒いでいるが無視をしよう。

夜、ベッドで寝てるときに思い出した。農園の最初の班長だ。確か瞬間湯沸かし器の……名前は……忘れた。

まあ、いいか。おやすみなさい。名前はそのうち思い出すだろう。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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