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精霊の友として  作者: 北杜
八章 帝国皇都騒動編
212/276

13 意識を失った後

いつの間にか文字数が1,000,000文字突破!

亀速度の更新ですが頑張ります!

 白い空間にいる……。この空間は久しぶりだな。

 自分が落ち着いているのが分かる。サクラが怒りを抑えてくれたのだろう。

 しかしパトラッシュさんの息子さんが王国の暗殺者や賊達の黒幕だったとは……。

 人生何が起こるか分からないモノだな。

 とりあえず、この空間から出ようかな。

 ……どうやって出ようか?

 おーい! サクラー! ララーシャル! そろそろこの空間から出ようと思うから覚醒させてくれ!

 ……返事がないな。いつもならすぐに返事をしてくれるのに。

 仕方がないから、少し横になるか。

 ゆっくりとした空間で横になるのは久しぶりな気がする。欲をいうならうす暗い方が眩しくなくて寝やすいのだけど。

 そういえば男爵領の農園で横になっていた時のことを思い出すな。あの声の主はきっと精霊だったのだな。……ドジョウすくいの踊りも、あのとき、ゴランさんから習ったっけ。……ゴランさんや男爵領の皆は元気かな?


「トルク、落ち着いた? ってなに寝ているの?」


 サクラ、やっと来たか。おはよう?


「おはよう、じゃないでしょう! ……まったく、トルクがキレて大変だったんだからね!」


 あー、ごめん。でも元凶がボルドランだったから、仕方ないだろう。彼が王国に暗殺者や賊達を寄こさなければ、オレは平和に暮らしていたはずだったんだよ。


「それに関しては、ボルドランも反省しているわよ。御使いのトルクを間接的に害したことをみんなに謝っていたわ」


 そういえばララーシャルは? アイツもこっちに来ると思っていたけど?


「ララーシャルは現実世界で貴方を見守っているわよ。それで気分はどう? 落ち着いた?」


 この空間に来て、心は落ち着いたよ。……みんなに迷惑かけて悪かった。……ボルドランに襲いかかって悪かったな。でも仕方がないだろう?


「……貴方が怒ったせいで、帝都にいる精霊が屋敷に来て大変だったのよ。「御使いを怒らせた奴は誰だ!」とか「ぶっ殺して御使いと飲み会だ!」とか「祭りだ! ヒャホー!」とか言って集まって来たから、公爵に頼んでかき集めたお酒を精霊達に渡して」


 ……公爵さんにも大変迷惑をかけたな。怒るのを自制しないと。


「お酒を貰った精霊達が屋敷で宴会開いて、屋敷の食べ物をつまみにして、どんちゃん騒ぎ。つまみが無くなり、お酒を飲み干して、宴会が終わって解散したわ」


 本当にみんなに迷惑をかけたな。マジで怒るのを自制しよう。ごめんなさい。


「トルクの心情も分かっているからね。でも気をつけて頂戴」


 わかった。それでオレはいつ目を覚ます予定なんだ?


「いつでも良いわよ。ちなみに、トルクがキレてから二日経っているわ」


 え? そんなに寝ていたのか?


「屋敷に集まっていた精霊達に会わせないように寝かせていたの。宴会中にトルクが起きたら、酒に酔った精霊達が何をするかわからなかったからね」


 ララーシャルがこっちに来てない理由って……。


「ララーシャルは屋敷に来ていた精霊達からトルクを守っているわ。私は宴会中の精霊達がトルクの部屋に行かない様に見張っていたの。本当に大変だったんだから」


 今もララーシャルに守られている。……本当に頭を下げて謝罪しないといけないな。


「ベルリディアもララーシャルを助けてくれたし、クリスハルトもお酒やおつまみを用意して、最後の締めのデザートにアイスクリームを作る為に、オーファンが魔法で氷を作ったりして。もう大忙しよ」


 起きたらみんなに謝ろう。恩返しをしないといけないな。


「恩返しなんて考えなくて良いわよ。トルクの為にみんなが動いたのよ。トルクがみんなを助けたから、今度はトルクを助けようってオーファンとベルリディアが言ってね」


 オーファン、ベルリディア。ありがとう……。


「公爵もクリスハルトもトルクに少しでも恩返しができるって言ってね。……あ、ボルドランとウルリオも裏方でお酒のつまみを作っていたわよ」


 ボルドランとウルリオも手伝っていたのか。……ってなんで! その二人が手伝っているんだよ!


「ボルドランは自称付き人として、ウルリオはボルドランの手伝いよ。ウルリオが愚痴っていたけど「借りがあるだろう? 今返せ!」って言ってボルドランの手伝いをしていたわよ」


 どうなっているんだ? 起きたらなんか凄い事になってそうだ。起きるのが怖くなってきた。


「そんな訳で、起きたらみんなに謝って、今後の予定を相談しなさい。オーファン達の事もあるでしょう。ついでにボルドランの事もね」


 分かったよ。とりあえず起きるか。それで起きる方法は?


「今回はこれよ!」


 ……ねこじゃらし? そんなもんでどうするんだ?


「これを鼻に入れてくしゃみをしたら目が覚めるの!」


 他の方法は? そんな馬鹿みたいな方法で覚醒したくないんだけど……。拒否しようとしたけど、何故か体が動かない!


「いいから! くしゃみをして! 起きなさい!」


 サクラにねこじゃらしを鼻に入れられる。鼻の奥まで入れられて痛い! ハ、ハ、ハクション!




「ハクション!」


 くしゃみと一緒に起き上がる。鼻にモノを入れられた感覚が残っている。鼻がかゆい……。


「あ、起きたのね、トルク。調子はどう?」

「おはよう、ハ、ハクション! ララーシャル。鼻がかゆい。ハクション!」

「風邪でも引いた? 大丈夫?」

「大丈夫。くしゃみも一時的なもの、ハクション!」


 サクラの起こし方のせいでくしゃみが出る。今後はもっとましな起こし方を要求する!


「そう……。それでトルクは何処まで覚えているの?」

「覚えている? 寝る前の事か? ボルドランに殴りかかろうとしたけど、帝国の英雄に邪魔されて、サクラとララーシャルに意識を失わされたまでかな?」

「……その後は?」

「記憶にない」


 室内は暗く、現在は夜みたいだ。ララーシャルはため息をついて話し始める。


「私が背後から抱き着いて、サクラがトルクの意識を失わせたけど、トルクってば、それでもボルドランに殴りかかろうとして、私を振りほどいて、ボルドランに向かったわ」


 記憶にございません。


「ボルドランの前に立ちふさがった帝国の英雄のウルリオがトルクを捕まえようとしたけど、トルクは両手両足から風魔法を発動させて、近距離からとんでもない速度で体当たりしたのよ。それも記憶にない?」


 ……記憶にございません。


「あの体当たりは凄かったわ。でもその衝撃を受け止めた帝国の英雄も凄かったわね。トルクを受け止めたウルリオはそのまま捕まえたけど、束縛から逃れようとして暴れるわ、魔法を使うわで大変。その後やっとサクラの暗示が効いたのか動かなくなったわ」


 ……全くもって記憶にございません。


「室内はトルクの魔法で家具はグチャクチャ、騒ぎで駆けつけた人達も室内の破壊具合に驚いていたわよ」

「ごめんなさい」


 頭を下げて謝る。……意識が無い状態でそんな事をしていたなんて。


「本当に感情に支配されないでよね。その後も大変だったんだから」

「精霊達が屋敷に来たって、サクラから聞いた。そして宴会が始まったとも」

「屋敷に集まっていた精霊達をサクラが説明して落ち着かせたわ。その説明で精霊達は「さすがは御使いだ!」とか言って御使いを称えたていたわ」


 説明ってなに? サクラはどんな説明をした?


「サクラが精霊達に説明した内容が、「暗黒面の闇に捕らわれている精霊を助ける為に、トルクは怒りの感情を利用したの」って説明をしてね。『御使いが怒ったのは精霊を助ける為、一時的に暗黒面に落ちたから』って事で落ち着いたわ」


 なに、その中二病的な説明は……。恥ずかしかー。


「そして屋敷に集まった精霊達を解散させるために、ロックマイヤー公爵とクリスハルトに頼んでお酒をお願いしてそれを渡したの。酒瓶を受け取った精霊達はその場で飲んで宴会に。酔った勢いで、「仲間を助けてくれた御使いの御見舞いに行こう!」という状況をサクラがなんとか抑えて、私はベルリディアちゃんと一緒に精霊達がトルクに近寄らない様に部屋で見守っていたわ」


 ベルリディアはソファーで寝ている様だった。見守ってくれてありがとう。


「寝かせているトルクの体調を確認していたら、体当たりの衝撃で肩の骨が折れていたから治療したからね。ベルリディアちゃんが「トルクの肩がおかしい」って言って分かったの」


 肩が折れるくらいの体当たりの衝撃。そんな破壊力ある魔法を室内で使ったのか。意識不明なのにそんな事ができるなんて驚きだよ。……他に体調に異変はあるかな? ……無いようだ。


「オーファン君も途中までは私と一緒にトルクの看病をしていたんだけど、屋敷に集まった精霊が『宴会の締めにアイスクリームを食べたい!』って言ったから、氷が作れるオーファン君が呼ばれて、アイスクリームを作る羽目になったの」


 オーファンにも被害が出てしまったか。……帝都に来てからオーファンが一番精霊の被害にあって

ないか? サクラには改造され、集まった精霊達からはアイスクリームを作らされて。


「そんなこんなで、少し前に宴会が終わって、精霊達も帰ったわ。だからトルクを起こしたのよ」

「凄く迷惑をかけたようで申し訳ない」

「みんなにも謝ってよ。……謝るといえば、ボルドランがトルクに謝罪したいって言っていたわ」

「そう……。彼はまだ屋敷にいるの?」

「今は、宴会の後片付けで使用人達と食器を洗ったり、掃除をしていると思うわ」

「……男爵家の跡取り息子だろう。そんな人がなんで雑用しているんだ?」

「トルクに謝罪する為に屋敷に居続けたの。そして謝罪の意を表す為に精霊達に出す料理を手伝おうと厨房で働いていたわ。ついでに帝国の英雄にも手伝わせていたわよ」


 ボルドランと話さないといけないな。今度は落ち着いて話さないと。ついでに帝国の英雄にも襲った謝罪をしないといけないな。


「ボルドランと会って話そう……」

「今度は私も立ち会うわ。サクラも一緒よ」


 ベッドから出て、ボルドランの所に行こう。……あ、ベルリディアは此処で寝せておく? ソファーで寝ているベルリディアをベッドで寝せた方が良いかな?


「ベルリディアちゃんは私が抱きかかえて行くから大丈夫よ」


 ベルリディアを抱えるララーシャル。別にサクラだけでも良いよ。そういえばサクラはまだオレの

中にいるようだけど、出て来ないな。……そのうち出るだろう。


「やっぱりトルクがベルリディアちゃんを運んで頂戴」


 そう言って、ララーシャルがベルリディアをオレに背負わせる。


「ベルリディアは部屋に寝せたままの方が良いんじゃないか? 無理して移動させなくても?」

「駄目よ。護衛も兼ねているんだから。早く背負って頂戴」


 無理して背負わなくても良いと思うんだけど。部屋にオーファンを呼んでベルリディアを背負わせた方が良いと思うが、ララーシャルが「お姫様抱っこの方が良いの? でも護衛としては背負った方が良いと思うんだけど?」と言ってオレに背負わせる。

 ……ベルリディアは重くないから別に良いんだけどね。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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[一言] 精霊たちって徹頭徹尾自分たちの勝手でしか動かず、結局トルクの事も平然と裏切るドクズだらけ ベタベタくっついてきて大事な時には妨害するとかストーカー以下の有害物質 自分たちの判断で勝手にやめさ…
[気になる点] ボルドランは優秀で有能かもしれませんが、オーファン達の件を見るに安易に洗脳を使う危険人物の可能性大。 敵に回すと厄介だけれど味方にするには信用ならない感じで扱いに困りそう。 話なんてし…
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